コラム COLUMN

築古アパートは、入居者がいてもいなくても売れます。
「古いアパートを売りたいが買い手がつかない」と言われるのは、収益物件としての価値が正しく計算されていないことが原因であるケースが少なくありません。
解体費用を出して更地にする前、多額の費用をかけて建て替える前に、まずは売却査定で「今の状態のまま、いくらになるのか」を確認してください。
判断はそのあとで十分間に合います——この記事では、築古アパートの出口を実務ベースで整理します。
この記事のポイント
- 入居者がいるなら「オーナーチェンジ売却」。立ち退き交渉をしなくても、そのまま売却できます。
- 全空・空室だらけなら「リノベ前提で投資家に売る」。リノベ費用込みの実質利回りを提示できれば、買い手は見つかります。
- 解体・建て替えは最後の選択肢。木造アパートの解体費は規模により数百万円単位。先に売却査定を取るのが損をしない順番です。
執筆者:アパート14棟を運用する現役大家

自らアパート14棟・戸建て40戸(計134戸)を運用する現役の不動産投資家です。
買う側・売る側両方の経験から、築古アパートの出口を実務ベースで解説します。
この記事の目次
1. 古いアパートを売りたい人が最初に知るべきこと

「築38年、6室のうち入居は2室だけ。去年は給湯器、今年は雨漏りの補修で、家賃収入より出ていくお金のほうが多かった」——こうしたご相談を毎月のようにいただきます。
そして多くの場合、地元の不動産会社から「この築年数だと買い手はつきません、更地にしたほうが早いですよ」と言われた直後です。
最初にお伝えしておきます。
「築年数が古いこと」と「売れないこと」はイコールではありません。
むしろ築古アパートを積極的に探している買主層が、確実に存在します。
まずは、なぜ「売れない」と言われがちなのか、その中身を分解してみましょう。
1-1. 築古アパートとは|法定耐用年数を過ぎたアパートのこと
築古アパートとは、一般に法定耐用年数を経過した、あるいは経過が近いアパートを指す呼び方です。
明確な法律上の定義があるわけではなく、実務では「木造で築20〜25年以上」「鉄骨造で築30年以上」あたりが目安として使われます。
この「法定耐用年数」は、国税庁が定める減価償却資産の耐用年数のことで、建物の構造別に次のように決まっています(住宅用の場合)。
| 木造・合成樹脂造 | 22年 | 築20年〜 |
| 木造モルタル造 | 20年 | 築18年〜 |
| 軽量鉄骨造(骨格材3mm以下) | 19年 | 築17年〜 |
| 重量鉄骨造(骨格材4mm超) | 34年 | 築30年〜 |
| 鉄筋コンクリート造(RC) | 47年 | 築40年〜 |
ここで誤解されやすいのが、法定耐用年数は「税務上、何年かけて経費に落とすか」を決めた数字であって、建物の寿命ではないという点です。
木造アパートの耐用年数が22年だからといって、22年で住めなくなるわけではありません。
実際、築40年、築50年を超えて現役で稼働している木造アパートは全国にいくらでもあります。
1-2. 「築古アパートは売れない」と言われる4つの理由
とはいえ、築古アパートの売却が一般的な戸建てやマンションより難しいのは事実です。
理由は主に次の4つに整理できます。
①金融機関の融資が付きにくい
収益物件への融資期間は「法定耐用年数 − 経過年数」を基準に設定されることが多く、耐用年数を超過した築古アパートは融資期間が極端に短くなるか、融資対象外となることがあります。
買主が現金を用意できる層に絞られる分、母集団が小さくなります。
②修繕リスクが読みにくい
屋根・外壁・給排水管・給湯器は、築30年を超えると更新時期が重なります。
買主から見れば「買った直後に数百万円かかるかもしれない」というリスクであり、その分だけ購入価格を下げたくなります。
③空室が多いと収益が計算できない
収益物件は「いくら家賃が入るか」で価格が決まります。
全空や空室だらけの状態は、買主にとって「本当にこの家賃で埋まるのか」が分からない状態であり、この不確実性がそのまま値引き要因になります。
④売り方を知っている担当者に当たりにくい
居住用の売買を主戦場とする会社にとって、築古の一棟アパートは扱い慣れない商品です。
結果として「売りにくい=更地にしたほうが早い」という提案になりがちですが、オーナーにとっては解体費という実損を伴う提案でもあります。
注意:「更地にすれば売れる」の前に確認したいこと
建物を解体して更地にすると、その土地は住宅用地の特例が外れ、翌年から固定資産税の負担が増えるのが原則です(小規模住宅用地は課税標準が6分の1に軽減されているため)。
解体費を支払ったうえに保有コストも上がる——という二重の負担になり得ます。
解体は「売れなかったときの最終手段」と位置づけ、先に現況での査定を取ってください。
逆に言えば、①〜③は「買主が投資家であり、かつリノベーション後の収益を正しく計算できる」なら、いずれも解消しうる問題です。
ここが本記事の要になります。
詳しくは「4. 空室だらけ・全空の場合の売り方」で解説します。
なお、老朽化・空室・雨漏りなど何らかの事情を抱えた物件全般の売却については、訳あり物件の売却方法をまとめた記事もあわせてご覧ください。
私自身、築40年台のアパートを何棟も買っている側の人間です。「古いから買わない」なんて考えたことは一度もありませんよ!見ているのは築年数ではなく、直したあとにいくらで貸せるか。それだけです。
2. 古いアパートの出口戦略は3択|費用・期間・リスク比較
① そのまま売却(オーナーチェンジ)
立ち退き交渉・解体費が不要。入居者がいても売れる。多くのオーナーに最も負担が軽い出口
② 解体して更地売却
解体費数百万円+全室の立ち退きが必要。土地の需要が強い立地向け
③ リノベ・建て替えで経営継続
投資回収まで年単位。資金と経営意欲がある人向け
「建て替えてもう一度アパート経営をするか、解体して更地にするか、それとも売るか」——判断基準はシンプルです。
これから追加でお金とリスクを負うか、ここで手仕舞いするか。
建て替えは追加投資、解体は追加費用、そして売却は追加ゼロです。
2-1. 3つの出口を費用・期間・リスクで比較する
古いアパートの活用法・出口戦略は、突き詰めると次の3つに集約されます。
それぞれの特徴を一覧にしました。
| ①そのまま売却 | ②更地にして売却 | ③経営継続 | |
| 初期費用 | 0円 | 解体費 数百万円 | 数千万円 |
| 期間 | 数週間〜数か月 | 半年前後 | 1年以上 |
| 立ち退き交渉 | 不要 | 必要 | 建て替えは必要 |
| 保有コスト | 売却で終了 | 固定資産税が増える | 続く |
| 向いている人 | 手間なく手放したい人 | 土地需要が強い立地の人 | 資金に余力がある人 |
2-2. 「まず①、それでも駄目なら②③」が損をしない順番
3つを並べると分かるとおり、①そのまま売却だけが、追加の持ち出しなしで検討できる選択肢です。
②と③は先に費用を投じ、そのうえで結果が出るかどうかは市場次第という構造になっています。
ところが実務では、②や③を先に検討してしまうオーナーが非常に多いのが実情です。
理由は単純で、「築古は売れない」と最初に言われてしまい、売却という選択肢が検討リストから消えてしまうからです。
順番としては、①現況のまま売却査定を取る → 納得できる金額が出れば売却、出なければ②③を検討。
この順番であれば、少なくとも「解体費を払ったのに土地が売れない」という最悪のパターンは避けられます。
査定を取ること自体には費用も義務も発生しません。
古いアパートの活用法を検討する順番
- 現況(建物あり・入居者ありのまま)で売却査定を取る
- 査定額と、保有し続けた場合の修繕費・空室リスクを比較する
- 売却が有利なら売却。土地の立地が突出して良ければ解体も検討
- 資金余力と後継者があり、事業として続ける意思がある場合のみ建て替え
一番もったいないのが、解体費を払って更地にしたのに土地が売れない、というパターン。費用は戻ってきませんし、固定資産税だけが上がります。順番を間違えないでくださいね。
3. 入居者がいる場合の売り方|オーナーチェンジ売却
「10年以上住んでいる入居者さんに、自分から出ていってくださいとお願いするのが辛くて動けない」——これも非常に多いご相談です。
結論から言えば、その必要はありません。
3-1. オーナーチェンジ売却とは|賃貸借契約ごと引き継ぐ売却方法
オーナーチェンジ売却とは、入居者が住んでいる状態のまま、賃貸借契約を新しい所有者に引き継いで物件を売却する方法です。
建物の所有権が移転すると、賃貸人の地位も原則としてそのまま買主に承継されます。
入居者は引っ越す必要がなく、売主も立ち退き交渉をする必要がありません。
この方式には、築古アパートのオーナーにとって大きなメリットが3つあります。
立ち退き交渉・立ち退き料が不要
建物の老朽化を理由に賃貸借契約を終了させるには正当事由が必要とされ、実務上は立ち退き料の支払いを伴うことが少なくありません。
オーナーチェンジならこの工程が丸ごと不要になります。
家賃収入が途切れない
退去を待ってから売る場合、その間の家賃はゼロになり、固定資産税と維持費だけが出ていきます。
オーナーチェンジなら決済日まで家賃収入が続きます。
買主にとって「収益が確定している」状態で売れる
投資家が最も嫌うのは不確実性です。
実際に家賃が入っている実績は、それ自体が価格の裏付けになります。
3-2. レントロールの整え方|ここで価格が変わる
オーナーチェンジ売却で価格を左右する最重要書類がレントロール(賃貸借条件一覧表)です。
買主はこの一枚を見て利回りを計算し、購入可否を判断します。
次の項目を、部屋ごとに正確にまとめてください。
部屋番号・間取り
空室も含め全室分を書く
現行賃料
実際の入金額を書く
敷金の預り額
買主へ引き継ぐため確定させる
契約期間・更新日
更新が近い部屋の有無
入居年数
長期入居は安定材料
契約種別
普通借家か定期借家か
滞納の有無
隠さず開示する
保証会社
加入していれば評価にプラス
よくある失敗:情報を「よく見せよう」として後で崩れる
空室を記載しない、滞納を伏せる、修繕履歴を出さない——こうした対応は、買主の調査(デューデリジェンス)でほぼ発覚します。
その時点で信頼が失われ、大幅な減額交渉や契約解除に至ることも。
不利な情報こそ先に出したほうが、結果的に高く早く売れます。
雨漏りや傾きなどの不具合も同様で、告知したうえで「その分の補修費を織り込んだ価格」で合意するのが最短ルートです。
3-3. 修繕履歴と図面をそろえておく
レントロールと並んで効くのが、修繕履歴です。
「いつ・どこを・いくらで直したか」が分かると、買主は購入後の修繕リスクを具体的に見積もれます。
屋根や外壁の塗装、給湯器の交換、給排水管の更新などは、直近10年分だけでも領収書や見積書を集めておくと交渉が有利になります。
建築確認済証・検査済証、間取り図、確定測量図があればさらに万全です。
これらが手元にない場合でも売却は可能です。
特に相続した物件では書類が散逸していることが普通ですので、「ない」ことを前提に進める方法もあります。
親が亡くなったあとの不動産手続きもあわせて確認しておくと安心です。
買う側として正直に言うと、レントロールがきれいに整っている物件は「この大家さん、ちゃんと管理してきたな」と伝わって、それだけで安心して値を出せます。書類の精度は、そのまま価格ですよ!
4. 空室だらけ・全空の場合の売り方|リノベ前提で投資家に売る


「何年も空いたまま、内装も昭和のまま。こんな状態で買う人が本当にいるのか」——います。
というより、空室が多い築古アパートを狙って探している投資家がいます。
彼らが買うのは「今の状態」ではなく「リノベーションしたあとの収益」だからです。
4-1. 投資家が本当に見ているのは「表面利回り」ではない
収益物件のポータルサイトに並ぶ「利回り18%」「利回り25%」といった数字の多くは表面利回りです。
計算式は「年間家賃収入 ÷ 購入価格 × 100」。
この式には、購入後にかかる費用が一切含まれていません。
築古アパートの場合、そこに大きな落とし穴があります。
落とし穴①:リノベーション費用が入っていない
全空の築古アパートは、そのままでは入居付けができません。
実際には内装・水回り・設備の更新費用が必要ですが、表面利回りの計算にこの費用は入っていません。
落とし穴②:家賃が「想定」で計算されている
空室部分は想定賃料で計算されます。
この想定が現在の実勢とかけ離れていると、利回りは机上の数字にすぎません。
落とし穴③:運営コストと空室率が反映されていない
固定資産税、管理費、原状回復費、火災保険、そして空室期間。
これらを引いた実質利回りは、表面利回りより相当低くなるのが通常です。
結果として何が起きるか。
投資家は「表面利回りの数字は当てにならない」と考え、そのぶん安全マージンを大きく取った、つまり大幅に低い価格でしか買わなくなるのです。
これは業界全体が抱える構造的な課題であり、売主であるオーナーが不利益を被っている部分でもあります。
表面利回りと実質利回りは、これだけ違う(全空・木造6室の計算例)
売出価格:1,200万円
想定年間家賃(6室×月4.5万円):324万円
表面利回り:27.0%
リノベ費(6室×150万円):900万円
運営コスト(固定資産税・管理費・保険等):年60万円
空室率20%を見込んだ実収入:259万円
実質利回り=(259−60)÷(1,200+900):約9.5%
※あくまで考え方を示すための計算例です。
実際の数値は物件の状態・エリア・仕様により大きく変わります。
ここで伝えたいのは、投資家が判断しているのは27%ではなく9.5%のほうだということです。
4-2. 「リノベ費込みの実質利回り」を提示できると価格が変わる
逆に言えば、この不確実性を潰せば価格は上がります。
具体的には、次の3点をセットで提示することです。
投資家の不安を消す3点セット
リノベーション費用の精度の高い見積り
「1室あたり◯万円、全6室で◯万円」と根拠つきで示す
リノベ後の実勢家賃
同エリアの同グレード物件の「成約」賃料に基づく想定
それらを反映した実質利回り
購入価格+リノベ費に対する、運営コスト控除後の利回り
ただし、この3点を精度高く出せるのは、実際にリノベーション工事を手がけている事業者に限られます。
工事の実績がなければ、費用も、仕上がりも、リノベ後に取れる家賃も、根拠をもって示すことができないからです。
4-3. リハコが「より早く、より高く」を実現できる理由
株式会社リハコは、空き家・築古物件を再生してきたリノベーションの実務会社です。
累計100戸以上の空き家をリノベーションしてきた実績があり、「この部屋をこの仕様で直すといくらかかり、いくらで貸せるか」を自社の施工実績から逆算できます。
そのうえで、リハコの売却支援は次の2段構えになっています。
ステップ1:仲介で買主を探す
まずリハコが仲介として、買主(多くは不動産投資家)を探します。
このとき投資家に提示するのは、表面利回りではなく「リノベ費込みの実質利回り」です。
数字の根拠が明確なので投資家は判断しやすく、結果として買取価格より高い金額での成約が期待できます。
ステップ2:売れなければリハコが買取
期間内に買主が見つからなければ、リハコ自身が買い取ります。
リハコはリノベーションの実務会社なので、解体を前提とせず、建物を活かした再生を前提に評価します。
「売れなかったらどうしよう」という不安を抱えたまま待つ必要はありません。
投資家向けの提示資料や販売スキームの詳細はリハコの投資家向けパッケージで公開しています。
実際の再生事例は館林市の空き家売却事例もご覧ください。
なお、物件の状態・立地・賃貸需要・接道条件などにより評価は大きく変わるため、この記事で金額を断定することはできません。
ただし、「値段がつかない」「解体しないと無理」と言われた物件こそ、リノベ前提の評価軸では価値が出ることがあります。
まずは現況のままお聞かせください。
全空って、実は投資家にとってはチャンスなんです。既存入居者に気を使わず一気にリノベできますからね。「空だから売れない」ではなく「空だからこそ買いたい人がいる」と考えてみてください。
他社で「値段がつかない」と言われた築古アパートこそ、ご相談ください。
まずは仲介で投資家を探し、見つからなければリハコが買い取ります。
査定・ご相談は無料です。
5. 相続した古いアパートの注意点|相続登記義務化と共有名義
「父が亡くなったときに手続きが面倒で、名義をそのままにしてある」——正直に申し上げると、ここが売却の一番のボトルネックになりやすい部分です。
しかも2024年4月から相続登記は義務になりました。
5-1. 相続登記は2024年4月から義務化|過料10万円以下の対象に
2024年(令和6年)4月1日から、不動産の相続登記が義務化されました。
相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならず、正当な理由なくこれを怠った場合は10万円以下の過料の対象となります。
重要なのは、この義務は施行日より前に発生した相続にも適用されるという点です。
「父が亡くなったのは10年前だから関係ない」とはなりません。
過去の相続についても、2027年3月31日までに登記を申請する必要があります(施行日と、相続を知った日のいずれか遅い日から3年以内)。
実務的にも、相続登記が済んでいない不動産は売却できません。
登記上の所有者が故人のままでは、買主に所有権を移転できないからです。
売却を考えるなら、登記の完了は必須の前提条件になります。
5-2. 共有名義の落とし穴|全員の同意がないと売れない
相続時に「とりあえず兄弟で法定相続分どおり共有にしておこう」と処理されているケースは非常に多いのですが、これが後々の売却を難しくします。
共有不動産の全体を売却するには、共有者全員の同意が必要です。
一人でも反対すれば売れません。
さらに厄介なのが、時間の経過とともに共有者が増えていく現象です。
一次相続(親→子)
兄弟2〜3人の共有。全員と連絡が取れれば売却できる
二次相続(子→孫)
いとこ同士を含む5〜10人。意見集約に時間がかかる
三次相続以降
面識のない親族が10人以上。所在調査から必要になる
共有者が増えるほど、連絡先の特定、意思確認、書類の取りまとめに時間がかかります。
共有名義の問題は「気づいたときが一番早い」タイミングです。
先送りするほど確実に難易度が上がります。
5-3. 管理不全化のリスク|改正空家等対策特別措置法
空室が増え、管理が行き届かなくなった築古アパートには、もうひとつのリスクがあります。
2023年12月に施行された改正空家等対策特別措置法により、「管理不全空家等」という区分が新設されました。
従来は、著しく保安上危険な状態などに至った「特定空家等」に対してのみ行政の措置が行われていましたが、改正によってそこに至る前段階の、放置すれば特定空家になるおそれのある状態でも、市区町村から指導・勧告の対象となり得るようになりました。
管理不全空家等または特定空家等として市区町村から勧告を受けると、その土地は住宅用地の特例(固定資産税の課税標準が最大6分の1に軽減される制度)の対象外となります。
結果として、翌年度からの固定資産税額が大幅に上がります。
空室が増え、屋根や外壁の傷みを放置している築古アパートは、この対象になり得ることを念頭に置いてください。
相続した物件をどう扱うか迷っている段階の方は、空き家が売れないときの対処法や古い家を売る方法もあわせてご覧ください。
アパートに限らず共通する考え方をまとめています。
名義の整理は、放っておくと関係者が雪だるま式に増えます。「いずれ話そう」で10年経ってしまった案件を何度も見てきました。今日が一番若い日、というやつですね。
6. 築古アパート売却にかかる費用・税金
「売れたとして、手元にはどのくらい残るのか」。
築古の収益物件には、居住用とは違う注意点がいくつかあります。
特に「減価償却が進んだ物件は、思ったより譲渡所得が大きく出やすい」という点は、事前に知っているかどうかで資金計画が変わります。
6-1. 売却時にかかる主な費用
仲介手数料
売買価格×3%+6万円+消費税が上限
印紙税
千円〜数万円
登記費用
抵当権抹消など
測量費
境界未確定なら数十万円
敷金の引き継ぎ
決済時に精算
譲渡所得税・住民税
売却益が出た場合のみ
6-2. 譲渡所得の計算|減価償却済み物件は「利益が出やすい」
不動産を売って利益が出た場合、譲渡所得として所得税・住民税が課されます。
計算式は「譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)」です。
ここで築古アパート特有の注意点が出てきます。
取得費のうち建物部分は、保有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額になります。
つまり、長く保有して減価償却を取り切った物件ほど、取得費は小さくなります。
たとえば建物を2,000万円で取得し、減価償却で1,800万円を経費化していれば、建物の取得費は残り200万円として計算されます。
帳簿上の価値がほぼゼロになっている築古物件は、売却価格がそれほど高くなくても譲渡所得が大きく出やすい——これが「思ったより税金がかかった」となる典型パターンです。
また、税率は所有期間によって変わります。
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63%(復興特別所得税含む) |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315%(復興特別所得税含む) |
相続で取得した物件は、被相続人(親)の取得日と取得費を引き継ぎます。
親が長く所有していた物件なら、相続してすぐ売っても長期譲渡所得として扱われるのが原則です。
「親の代から」の物件は、この点で有利になります。
取得費が分からない場合
購入時の契約書が見つからず取得費が不明なときは、売却価格の5%を取得費とみなす概算取得費という方法があります。
ただしこの場合、売却価格の95%が譲渡所得となり、税負担がかなり重くなります。
古い通帳、住宅ローンの返済予定表、当時のパンフレット、登記時の記録など、取得費を推認できる資料が残っていないか、必ず一度は探してください。
6-3. 消費税の扱い|賃貸用建物の売却には注意が必要
個人が居住用として使っていた不動産の売却には消費税はかかりません。
しかし、アパートは事業用(賃貸用)の資産です。
売主が消費税の課税事業者に該当する場合、建物部分の売却代金は課税対象となります(土地の譲渡は非課税)。
個人オーナーであっても、基準期間の課税売上高などの条件によって課税事業者に該当することがあります。
売買契約書で土地と建物の価格をどう按分するかによって納税額が変わるため、売却前に税理士へ確認しておくのが安全です。
なお税制は改正されることがあり、個々の状況により取り扱いも異なります。
本記事は一般的な考え方の解説であり、実際の申告・納税にあたっては必ず税務署または税理士にご確認ください。
「売却価格=手取り」ではありません。私は必ず、譲渡所得税まで引いた手残りで判断します。売却を考え始めたら、早い段階で税理士に一度当ててみてくださいね。
7. 高く売るタイミングと2026年の市場環境
「今売るべきか、もう少し様子を見るべきか」。
築古アパートに限って言えば、「待てば上がる」という性質の資産ではありません。
1年待てば築年数は1年進み、修繕箇所は増えます。
7-1. 築古アパートは「待つほど不利」になりやすい資産
まず押さえておきたい原則として、建物は時間の経過とともに評価が下がります。
特に木造アパートは、耐用年数を超過するほど融資が付きにくくなり、買主層がさらに絞られます。
空室期間が長引くほど内装の傷みは進み、リノベーションに必要な費用も膨らみます。
固定資産税、火災保険料、管理委託費、突発的な修繕費といった保有コストも積み上がるため、「家賃収入より支出が多い年がある」状態なら、保有期間が延びるほど手取りは目減りしていきます。
7-2. 2026年、築古物件への投資家需要は厚みを増している
一方で、市場環境には追い風もあります。
①新築価格の高騰による相対的な妙味
建築資材費と人件費の上昇により、新築アパートの建築コストは高止まりしています。
新築で利回りが取りにくくなったことで、「築古を安く買ってリノベーションし、利回りを作る」戦略を採る投資家層が厚くなっています。
築古アパートは、その主戦場です。
②金利環境の変化
金利が上昇する局面では、投資家はより高い利回りを求めます。
そして高利回りを取りやすいのは、価格の安い築古物件です。
金利上昇は、築古アパートにとって必ずしも逆風だけではありません。
③老朽化物件の出口整備が進む市場変化
2026年4月には改正区分所有法が施行されます。
これは老朽化建物の建て替えや敷地売却の決議要件などを整備するもので、制度の対象は区分所有建物(分譲マンション等)であり、一棟のアパートに直接適用されるものではありません。
ただし、老朽化不動産の出口づくりに社会の関心が集まり、関連する実務が整理されつつあるという意味で、築古アパートのオーナーにとっても検討を進めやすい環境になっているとは言えます。
売却を検討すべきタイミングのサイン
- 年間の修繕費が家賃収入の3割を超えるようになった
- 屋根・外壁・給排水管など、大規模修繕の時期が近づいている
- 空室が半分以上になり、募集をかけても反応が薄い
- 相続が発生した/今後の相続で共有名義になる可能性がある
- ご自身の年齢・健康面から、あと何年管理できるか見通しが立たない
7-3. 季節性より「準備が整っているか」が効く
賃貸の繁忙期(1〜3月)に合わせて売り出すと入居付けの見込みが立てやすい、という考え方はあります。
ただし築古アパートの売買では、季節要因よりもレントロール・修繕履歴・登記の整理といった準備の完成度のほうが、価格と成約速度に大きく影響します。
相続登記が未了、共有者の同意が取れていない、といった状態では、良い買主が現れても契約に進めません。
「売ろう」と思った時点で、まず情報と権利関係を整える。
これが最も確実な準備です。
買い付けを入れた物件が「登記が未了で進められません」と止まること、けっこうあるんです。売り時を逃す一番の理由は市況じゃなくて準備不足。ここは本当にもったいないですよ。
8. よくある質問
8-1. 築40年を超えた木造アパートでも売れますか?
売れます。
法定耐用年数(木造22年)は税務上の区分であり、建物の寿命ではありません。
実際に築40年、築50年を超えて稼働している木造アパートは多数あります。
ポイントは「築年数」ではなく「リノベーション後にどれだけの家賃が取れ、いくら費用がかかるか」を具体的に示せるかどうかです。
リハコはリノベーションの実務会社として、その根拠を示したうえで投資家に提案します。
8-2. 入居者に「売却する」と伝える必要はありますか?
オーナーチェンジ売却では、賃貸借契約がそのまま買主に引き継がれるため、入居者の承諾は不要です。
ただし所有者と家賃の振込先が変わるため、売買が確定した段階で新オーナーから通知するのが一般的な流れです。
売却検討中の早い段階で入居者に伝えると、不安から退去につながることもあるため、告知のタイミングは不動産会社と相談して決めることをおすすめします。
8-3. 解体して更地にしたほうが高く売れるのでは?
立地が非常に良く土地単体で強い需要が見込めるなら、更地のほうが有利になる場合もあります。
ただし木造アパートの解体費は規模により数百万円単位となり、これは先払いです。
さらに更地にすると住宅用地の特例が外れ、翌年から固定資産税の負担が増えるのが原則です。
解体を決める前に、現況のままの査定額を必ず取ってください。
比較してから判断しても遅くありません。
8-4. 相続した古いアパートを、兄弟の共有名義のまま売れますか?
共有不動産の全体を売却するには、共有者全員の同意が必要です。
一人でも反対すると売却できません。
また2024年4月から相続登記が義務化され、正当な理由なく3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になります(施行前の相続にも適用)。
まずは登記の状況と法定相続人の確定から着手してください。
手続きの進め方が分からない場合も、状況をお聞かせいただければ整理のお手伝いをします。
8-5. 他社で「値段がつかない」と言われました。相談できますか?
そうしたご相談こそ、リハコの本来の対象です。
リハコは空き家・築古物件のリノベーションを100戸以上手がけてきた実務会社で、解体を前提とせず「再生後の収益」から物件を評価します。
まず仲介として投資家を探し、期間内に買主が見つからなければリハコが買い取る、という2段構えで進めます。
査定・ご相談は無料です(お電話は0120-228-590)。
9. まとめ|解体を決める前に、売却査定という選択肢を

「築古だから売れない」と決めつけて、何年も動けずにいるオーナーは本当に多いです。
査定を取ったからといって、売らなければならないわけではありません。
数字を見てから、保有を続けるか手放すかを決めれば十分です。
この記事のまとめ
- 築古アパートは入居者がいてもいなくても売れる。法定耐用年数は税務上の区分であり、建物の寿命ではない
- 出口は3択(そのまま売却/解体して更地売却/建て替え・リノベで継続)。追加の持ち出しがないのは「そのまま売却」だけ
- 入居者がいるならオーナーチェンジ売却。立ち退き交渉は不要。レントロールと修繕履歴の精度が価格を左右する
- 全空・空室だらけならリノベ前提で投資家へ。表面利回りではなく「リノベ費込みの実質利回り」を示せる相手に相談する
- 相続物件は登記と名義の整理が先。2024年4月から相続登記は義務(過料10万円以下)。共有名義は時間が経つほど難しくなる
- 減価償却が進んだ物件は譲渡所得が出やすい。手取り額は税金まで含めて試算する
- 解体・建て替えを決める前に、現況のままの査定を。比較してからでも遅くない
株式会社リハコは、神奈川県川崎市を拠点に、空き家・築古物件のリノベーションを100戸以上手がけてきた会社です。
関東圏を中心に、全国からのご相談も承っています。
訳ありのその物件、リハコならより早く・より高く売却できます。
まずリハコが仲介として買主(多くは不動産投資家)を探し、期間内に見つからなければリハコ自身が買い取る——リノベーションの実務会社だからこそ、「リノベ費込みの実質利回り」という確かな根拠を投資家に提示でき、それが価格に反映されます。
入居者がいるまま、空室だらけのまま、相続登記が未了のままで構いません。まずは現況をそのままお聞かせください。同じ大家として、遠慮なくご相談いただけたら嬉しいです!
他社で厳しい査定を受けた古いアパートこそ、一度お聞かせください。
ご相談・査定は無料、しつこい営業もいたしません。
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NTTデータ・博報堂を経て、不動産再生の世界へ。自らアパート14棟・戸建て40戸(計134戸)を運用する現役投資家・宅地建物取引士として、累計100戸以上の空き家・築古物件を買い取り、再生してきました。日々「手放したい売主様」と「買いたい投資家様」の間に立つからこそ、他社で値段がつかなかった物件にも、根拠ある価格と確かな出口をご提案できます。

リハコが解決します
「0円で処分します」「100万円の処分費用をお支払いいただければ引き取ります」と他社に納得いかない買取査定を受けた方こそ、リハコにご相談ください。
ゴミ屋敷、築50年以上、再建築不可、未登記、隣地越境、市街化調整区域、10年以上空き家、ハクビシン、傾き物件、雨漏り、ツタや草、旗竿地、築古アパート、シロアリ
このような訳ありの空き家でも、 納得のいく価格で売り出すこと ができます。

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