30秒でわかる、この記事の答え
- 答え売れない原因は、価格・資料・届け先の3つのどれかです
- 理由入居者がいることは、売れない理由にならないから
- まずやること問い合わせ・資料請求・買付の数を不動産会社に聞く
あなたの状況から読む
- 半年たっても売れない止まっている段階の見分け方へ
- 値下げを勧められた利回りから見た価格へ
- 打つ手を比べたい売れないときの選択肢へ
- なぜ売るか聞かれた買主の疑いに答える準備へ
「入居者がいるアパートを売りに出して半年。問い合わせはあるのに、話が進まない」
「値下げを勧められるけれど、どこまで下げればいいのか分からない」
結論からお伝えします。
オーナーチェンジ物件が売れない原因は、ほとんどが次の3つのどれかです。
「価格が利回りと合っていない」「買主が判断するための資料が足りない」「その物件を買える買主に届いていない」
どれが原因かは、問い合わせ・資料請求・買付(購入の申し込み)の数で見分けられます。
原因が分からないまま値下げを重ねると、手取りだけが減っていきます。
この記事では、売れない理由、原因の見分け方、そして築古アパートを入居者がいるまま売るための選択肢を、順にお話しします。
入居者がいるから売れないんでしょうか。空けてから売るべきですか。
入居者がいること自体は、売れない理由になりません。家賃が入っていることは、買主にとって安心材料です。売れない理由は、たいてい別のところにあります。
この記事を読んで理解できること
- オーナーチェンジ物件が売れない、よくある理由
- 問い合わせの数から、売れない原因を見分ける方法
- 価格が利回りから逆算されている仕組み
- 売れないときの4つの選択肢と、それぞれの向き不向き
- 買主の「なぜ売るのか」という疑いに答える準備
この記事の目次
オーナーチェンジ物件が売れない、よくある理由
同じ地域の空き家は売れているのに、うちのアパートは売れません。
空き家とアパートでは、買う人がまったく違います。アパートを買う人は、住む人ではなく家賃を目的にした投資家です。
入居者がいるまま売る物件(オーナーチェンジ物件)は、買主が自分で住めません。
買うのは、家賃収入を目的にした投資家か、買って直して貸す不動産会社にほぼ限られます。
そのうえで、次のような理由が重なると売れにくくなります。
| 売れない理由 | 買主から見ると |
| 価格が利回りと合っていない | 年間家賃に対して価格が高く、求める利回りに届かない |
| 室内を見られない | 入居中の部屋は中を確かめられない。見えない分だけ、修繕費を多めに見積もる |
| 銀行の融資がつきにくい | 木造で築年数が古いと長いローンが組みにくく、現金で買える人に絞られる |
| 家賃の中身が分からない | 家賃が相場より高い部屋・長く住んでいる人・滞納の有無が分からないと、退去後の家賃が読めない |
| 大きな修繕が近い | 屋根・外壁・給湯器などの交換時期が近いのに、その費用が価格に入っていない |
| 「なぜ売るのか」が見えない | 大きな修繕の前に手放そうとしているのでは、と疑われる |
どれも「入居者がいること」そのものではありません。
買主が数字で判断できない部分が多いほど、買主はその分を安全側に見て、買わないか、大きく値引きを求めます。
たとえば「室内を見られない」は、見せ方を工夫すればかなり補えます。
空室が1つでもあればその部屋を見せる、外廊下・階段・屋根・外壁の写真をそろえる、といった形です。
入居中の部屋の中は見られなくても、同じ間取りの空室を見れば、買主は直す費用を見積もれます。
室内を見られないときの見せ方
- 空室1つでもあれば、その部屋を見せる
- 外まわり外廊下・階段・屋根・外壁の写真をそろえる
- 同じ間取り空室を見れば、買主は直す費用を見積もれる
見せられるものを増やすほど、買主の「多めの見積もり」は小さくなります。
区分マンションと一棟アパートでは、事情が少し違う
オーナーチェンジの物件には、マンションの1室を貸している「区分」と、アパート1棟を貸している「一棟」があります。
区分なら、入居者が退去したあとに自分で住みたい人にも売れますが、一棟アパートは住む人には売れません。
この記事では主に、築古の一棟アパートの売り方をお話しします。
売れない原因は「問い合わせの数」で見分ける
不動産会社からは「値下げしましょう」としか言われません。
値下げの前に、どの段階で止まっているかを聞いてください。止まっている段階によって、打つ手がまったく違います。
売り出してから、次の3つの数を不動産会社に聞いてみてください。
専任で依頼しているなら、不動産会社には定期的に売主へ活動状況を報告する義務があります。
どの段階で止まっているか
- 問い合わせほとんど無いなら、価格か情報の出し先
- 資料を見る見て終わるなら、資料が足りない
- 買付大きな値引きなら、修繕・空室のリスク
- ローン通らず流れるなら、買主が合っていない
| どこで止まっているか | 考えられる原因 | 打つ手 |
| 問い合わせがほとんど無い | 価格が高すぎる。または物件の情報が買主に届いていない | 利回りから見た価格を確かめる。どこに情報を出しているかを聞く |
| 問い合わせはあるが、資料を見て終わる | レントロール(家賃の一覧)・修繕履歴・建物の状態などの資料が足りない | 分かる範囲の資料をそろえる。分からないことは分からないと書く |
| 買付は来るが、大きく値引きを求められる | 修繕費や空室のリスクを買主が大きく見ている | 修繕費の見積もりを取る。買主が見ているリスクを数字で確かめる |
| 買付は来るが、ローンが通らず流れる | 融資がつきにくい物件なのに、ローンを使う買主ばかりに当たっている | 現金で買う投資家や、買取の会社にも声をかける |
物件の情報が、ちゃんと出回っているか
専任媒介・専属専任媒介で売却を頼んでいる場合、不動産会社には登録の義務があります。
ことばの説明:専任媒介
売るのを、1つの不動産会社だけに任せる約束のことです。任された会社には、レインズへの登録などの義務があります。
レインズ(不動産会社どうしで物件情報を共有する仕組み)に物件を登録し、売主に登録証明書を渡す義務です。
国土交通省の発表によると、2025年1月から不動産会社の義務が増えました。
レインズに、物件の取引状況も登録しなければなりません。
取引状況は「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3つです。
登録証明書の二次元コードから、売主専用の画面で自分の物件の状況を確かめられます。
覚えがないのに「売主都合で一時紹介停止中」になっていれば、他の不動産会社は物件を紹介できません。
国土交通省は、自社で買主も見つけるために情報を隠す「囲い込み」の防止にこの機能を使うよう呼びかけています。
半年売れないときは、まずここを確かめてください。
その物件を「買える人」に届いているか
築古の一棟アパートを買う人は、大きく3つに分かれます。
銀行のローンを使って買う個人投資家、現金で買う投資家、そして買って直して貸す不動産会社です。
木造で築年数が古いアパートは、ローンを使う投資家には買いにくい物件です。
築古の一棟アパートを買う人
- ローンを使う個人投資家木造で築年数が古いと買いにくい
- 現金で買う投資家ローンが通らず流れる物件の相手
- 直して貸す不動産会社買取の会社。そのまま買う
問い合わせが来てもローンが通らずに流れるなら、現金で買う投資家や買取の会社に情報が届いているかを確かめてください。
物件が悪いのではなく、声をかけている相手が合っていないだけ、ということがよくあります。
オーナーチェンジ物件の価格は、利回りから逆算されている

買ったときの値段や、ローンの残りを考えると、これ以上は下げられません。
お気持ちは分かります。ただ買主は、売主の事情ではなく、家賃と修繕費から値段を出します。その計算に合う価格かどうかを、先に確かめましょう。
投資家は、年間の家賃が価格の何%にあたるか(利回り)で値段を判断します。
たとえば年間家賃300万円のアパートなら、買主が10%の利回りを求めれば3,000万円、12%なら2,500万円です。
年間家賃300万円のアパートの価格
収益物件サイトの健美家が公表している「収益物件 市場動向 四半期レポート」(2026年4〜6月期)を見てみます。
一棟アパートの売り出し時の表面利回りは、築20年以上で全国9.48%、一都三県7.65%でした。
ことばの説明:表面利回り
1年分の家賃が、物件の価格の何%にあたるかを表す数字です。修繕などの費用は引かずに計算します。
築40年、50年を超えた木造アパートは、ここより高い利回りで見られることがほとんどです。
一棟アパートの表面利回り(売り出し時・築20年以上)
※健美家「収益物件 市場動向 四半期レポート」2026年4〜6月期。築40年、50年を超えた木造は、これより高い利回りで見られます。
さらに買主は、表面利回りに入っていない次の費用を引いて考えます。
- 空室を直して貸せるようにする費用(原状回復・設備の交換)
- 屋根・外壁・給湯器など、近いうちに必要な修繕
- 家賃が相場より高い部屋が退去したあと、家賃が下がる分
- 滞納している部屋の家賃
売主が「このくらいで売りたい」と思う価格と、この計算で出る価格の差が大きいと、何か月たっても売れません。
値下げをするなら、「いくら下げるか」ではなく「何%の利回りになる価格にするか」で決めると、無駄な値下げを重ねずに済みます。
相場の見方はアパートの売却相場・買取相場で詳しくお話ししています。
家賃が相場より高い入居者がいるとき
長く住んでいる入居者の家賃が、いまの相場より高いことがあります。売主にとってはありがたい部屋ですが、買主は「この人が退去したら家賃が下がる」と見ます。レントロールには、今の家賃と一緒に、今募集したらいくらで貸せるかも書いておくと、買主の計算と話がかみ合います。
売れないときの4つの選択肢
結局、どうすれば売れるんでしょうか。
選択肢は4つあります。物件の状態と、いつまでに売りたいかで選んでください。
| 選択肢 | 中身・向いているとき・気をつけること |
| 入居者がいるまま、条件を見直して売る | 中身:利回りから見た価格にする。資料をそろえる。販路を広げる 向いているとき:家賃が入っていて、大きな傷みがない 気をつけること:値下げだけで終わらせず、資料と販路も見直す |
| 空室の1室を直して見せる | 中身:空いている部屋を1つ直し、直したあとの家賃と工事費を示す 向いているとき:空室が多く、直したあとの姿が想像しにくい 気をつけること:直す費用は売主の持ち出し。全室は直さない |
| 全室を空けて、土地として売る | 中身:立ち退いてもらい、建物を壊して土地で売る 向いているとき:土地の値段が高く、建て替えたい人が多い地域 気をつけること:立ち退きには正当な理由と立退料が要り、年単位になることも。解体費もかかる |
| 不動産会社に買い取ってもらう | 中身:直して貸す会社が、そのまま買う 向いているとき:築古・空室が多い・傷みがある。早く確実に売りたい 気をつけること:仲介より価格は低くなりやすい。手取りと時期で比べる |
入居者に立ち退いてもらう方法は、法律上の正当な理由が必要で、交渉を不動産会社が代わりに行うこともできません。
立ち退きを考えているなら、始める前に築古アパートは立ち退きなしで売却できるを読んでください。
立ち退かずに売った場合の金額と、必ず比べてください。
どの選択肢を選ぶにしても、比べるのは「売り出し価格」ではなく「最終的な手取りと、それが手に入る時期」です。
仲介で高く売り出して1年売れず、その間の固定資産税や修繕費、空室の増加で手取りが減っていく、という例は少なくありません。
比べるのはどちら?
- 1年売れないこともある
- その間に税金や修繕費で手取りが減る
- それが手に入る時期も一緒に見る
空室を埋めてから売る、は慎重に
「満室にすれば利回りが上がって売れる」と考える方もいます。
家賃を下げたりフリーレント(一定期間の家賃無料)をつけたりして、急いで空室を埋めるやり方です。
ですが、直近の契約だけ条件が違うことは買主の調査で分かります。
かえって「家賃の水準が低いアパート」と見られ、価格が下がることもあります。

買主の「なぜ売るのか」に答える準備
買主から、なぜ売るのかと何度も聞かれました。怪しまれているんでしょうか。
投資家はみんな、そこを気にします。「修繕の前に逃げようとしているのでは」と疑うからです。正直に答えれば、それだけで話が進みやすくなります。
オーナーチェンジ物件を探す投資家は、まず疑いを持ちます。
「大きな修繕が来る前に手放そうとしている物件ではないか」という疑いです。
この疑いを晴らすのに一番効くのは、事情と建物の状態を先に見せることです。
| 用意するもの | 伝わること |
| 売る理由 | 相続した、高齢で管理が難しくなった、遠方で手が回らない、など。事情が分かると、買主は物件そのものの問題を疑わなくなる |
| レントロール | 部屋ごとの家賃・共益費・敷金・入居の時期・滞納の有無。空室も「空室」と書く |
| 修繕の記録 | いつ、どこを、いくらで直したか。領収書や見積書、管理会社の記録で構わない |
| 分かっている不具合 | 雨漏り・シロアリ・傾き・設備の故障など。知っていることは先に書く |
知っている不具合を伝えずに売ると、あとで契約不適合責任(契約と違う状態だったことの責任)を問われるおそれがあります。
悪いことほど先に出すほうが、結果として値引きが小さく、売ったあとも安心です。
知っている不具合を、先に伝える?
滞納している入居者や、トラブルのある部屋があるとき
家賃を滞納している部屋や、近所とのトラブルを抱えた入居者がいる場合も、隠さずに伝えてください。
買主は、滞納分は回収できない前提で、入居者が入れ替わるまでの期間も考えて値段を出します。
先に分かっていれば計算に入れるだけですが、あとで分かると契約そのものが揺らぎます。
家賃保証会社に入っている部屋かどうかも、買主にとって大事な情報です。
保証会社との契約が買主に引き継げるかどうかは、保証会社ごとに違うので、売る前に確かめておくと話が早く進みます。
資料が手元に無い場合も、通帳の入金記録や管理会社の記録から組み立て直せます。「分からない」は分からないと書いて構いません。
入居者がいるまま売る手順と書類は入居者がいるアパートを売却する手順でまとめています。
「なぜ売るのか」は正直に伝えていただければ十分です。雨漏りや滞納も、そのまま査定します。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
リハコが、入居者のいる築古アパートを買える理由

他で売れなかったアパートでも、見てもらえますか。
はい。私たちは自分で直して、自分で貸し続ける会社です。だから、他の買主が敬遠する状態でも、直したあとの家賃から値段を出せます。
リハコは、古いアパートや空き家を買い取り、直して、その街で部屋を探している人に貸している会社です。
これまでにアパートを23件買い取ってきました。そのうち14件が神奈川県のアパートです。
リハコが買い取ったアパート
融資がつきにくい築古アパートでも、リハコ自身が買主になれば、ローンが通らずに話が流れることはありません。
入居中の部屋は、入居者に住み続けていただいたまま引き継ぎ、空室は直して貸し出します。
その街で部屋を探している人がいる限り、築古のアパートにも買う理由があります。
- 入居者がいるまま、立ち退きのお願いなしで買い取ります
- 空室が多い・雨漏り・シロアリ・滞納があっても、そのまま買い取ります
- 直したあとの家賃と工事費を自社で見積もり、価格の根拠をお見せします
- 買い取ったあとの入居者への「持ち主が変わります」のご案内は、こちらで行います
いま仲介で売り出している途中でも構いません。仲介を続けながら、買取ならいくらになるかを比べていただけます。
「売れない」と悩む前に、一度お話しさせてください。
読み終えたら、まずやること
- 問い合わせ・資料請求・買付の数を、不動産会社に聞く
- レインズの登録証明書で、物件の取引状況を確かめる
- 部屋ごとの家賃と、滞納の有無をメモする
よくある質問
入居者がいるアパートが売れないのは、入居者がいるせいですか?
違います。入居者がいること自体は、売れない理由になりません。
売れない原因の多くは、価格が利回りと合わない、資料が足りない、買える買主に届いていない、のどれかです。
半年たっても売れないなら、値下げしたほうがいいですか?
値下げの前に、問い合わせ・資料請求・買付のどの段階で止まっているかを確かめてください。
資料を見て終わるなら資料不足、ローンが通らず流れるなら買主が合っていないので、値下げでは直りません。
値下げするなら、いくら下げるかではなく、何%の利回りになる価格にするかで決めます。
買主から「なぜ売るのか」と聞かれたら、どう答えればいいですか?
正直に答えてください。それだけで話が進みやすくなります。
投資家は大きな修繕の前に手放すのではと疑うので、売る理由と建物の状態を先に見せるのが一番効きます。
知っている不具合を伝えずに売ると、あとで契約不適合責任を問われるおそれがあります。
売り方の全体像は、築古アパートの売却・買取のまとめでご案内しています。



