30秒でわかる、この記事の答え
- 答え安く売っても、利益に所得税と住民税がかかることがあります
- 理由建物の値段を減価償却で経費にしてきた分、取得費が小さいから
- まずやること買ったときの契約書と、確定申告の控えを探す
あなたの状況から読む
- 税率と計算を知りたい計算式と、5年で変わる税率へ
- 買値より安く売る安く売っても利益が出る理由へ
- 駐車場や店舗の収入がある消費税がかかる人・かからない人へ
- 親から相続した相続したときの特例と注意点へ
「古いアパートを売ったら、税金はいくらかかるのか」
「安く売るのに、思ったより税金が高いと聞いた。本当なのか」
結論からお伝えします。
アパートを売って利益が出ると、その利益(譲渡所得)に所得税と住民税がかかります。
税率は、売った年の1月1日時点で持っていた期間が5年を超えていれば20.315%、5年以下なら39.63%です。
アパートを売った利益にかかる税率
※持っていた期間は、売った年の1月1日時点で数えます。
築古アパートは、建物の値段が減価償却で小さくなっているため、安く売っても利益が大きく出やすいことに注意してください。
ことばの説明:減価償却
建物の値段を、何年かに分けて少しずつ経費にしていくしくみです。経費にした分だけ、帳簿上の建物の値段は小さくなります。
さらに、消費税の課税事業者に当たる方は、建物部分の売却代金に消費税がかかります。
ことばの説明:課税事業者
消費税を納める義務のある人のことです。前々年の課税売上高が1,000万円を超えている人などが当たります。
相続したアパートなら、使える特例と使えない特例があります。
この記事では、国税庁の資料をもとに、アパートを売ったときの税金を順番にお話しします。
実際の申告は、事情によって扱いが変わるので、売る前に一度、税理士にご相談ください。
税金のことはさっぱりです。売る前に、だいたいの額だけでも知りたいです。
計算の形はシンプルです。売った値段から、買った値段と売るための費用を引いた残りに、税率を掛けます。難しいのは「買った値段」をどう出すかで、そこを丁寧にお話しします。
この記事を読んで理解できること
- アパートを売ったときにかかる税金の全体像
- 譲渡所得の計算式と、5年で変わる税率
- 築古アパートは減価償却で利益が大きく出やすい理由と計算例
- 建物部分に消費税がかかる人・かからない人
- 相続したアパートを売るときの特例と注意点
- 売る前にできる準備と、税理士に聞くこと
税金を計算するには、まずいくらで売れるかが必要です。根拠つきの金額をお出しします。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
この記事の目次
アパートを売ったときにかかる税金の全体像
税金は何種類もかかるんですか。
金額が大きいのは、利益にかかる所得税と住民税です。人によっては消費税もかかります。ほかは数千円から数万円のものです。
| 税金 | かかるとき | 大きさ |
| 所得税・復興特別所得税・住民税(譲渡所得) | 売って利益が出たとき | 利益の20.315%または39.63%。いちばん大きい |
| 消費税 | 売主が消費税の課税事業者のとき、建物部分に | 建物の売却代金の10%。人によっては大きい |
| 印紙税 | 売買契約書に貼る | 契約金額で決まる。数千円〜数万円 |
| 登録免許税 | ローンが残っていて抵当権を消すとき | 不動産1つにつき1,000円 |
このほか、売った年の不動産所得(その年に受け取った家賃)の申告も、いつもどおり必要です。
売った翌年には、所得が増えた分、住民税や国民健康保険料が上がることがあります。
保険料の扱いはお住まいの市区町村に確かめてください。
仲介で売っても、買取で売っても、税金の計算は同じ
不動産会社に仲介してもらって投資家に売っても、不動産会社にそのまま買い取ってもらっても、譲渡所得の計算のしかたは同じです。
違うのは、売った値段と、仲介手数料がかかるかどうかです。買取では仲介手数料がかからないぶん、譲渡費用は小さくなります。
仲介と買取で、税金の計算は
- 仲介手数料がかかる
- 仲介手数料は譲渡費用になる
- 仲介手数料がかからない
- そのぶん譲渡費用は小さくなる
また、売った年の1月1日から引き渡しの日までに受け取った家賃は、いつもどおり不動産所得として申告します。
引き渡しのあとの家賃は買主のものになるので、売買代金と一緒に日割りで精算します。
譲渡所得の計算式と、5年で変わる税率
「利益」はどうやって計算するんですか。
売った値段から、買った値段(取得費)と売るための費用(譲渡費用)を引きます。この「利益」に税率を掛けます。
国税庁タックスアンサー No.3202「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」に、計算のしかたが示されています。
土地や建物を売ったときの譲渡所得は、次のように計算します。
給与や家賃の所得とは分けて計算します(分離課税)。
譲渡所得と税金の出し方
- 売った値段固定資産税の精算金も含む
- 取得費を引く買った値段から減価償却の分を引く
- 譲渡費用を引く仲介手数料・印紙税など
- 税率を掛ける5年超なら20.315%
| 項目 | 中身 |
| 譲渡所得 | 売った値段 −(取得費 + 譲渡費用) |
| 売った値段 | 売買代金。買主から受け取る固定資産税の精算金も含む(国税庁 質疑応答事例) |
| 取得費 | 土地と建物を買った(建てた)値段。建物は減価償却した分を引く。買ったときの仲介手数料や登記費用も含む |
| 譲渡費用 | 仲介手数料、売主が払う印紙税、売るために払った立退料、建物の取壊し費用など |
国税庁タックスアンサー No.3255「譲渡費用となるもの」という資料があります。
それによると、修繕費や固定資産税、日ごろの管理費は譲渡費用になりません。
売るために直した費用も、原則として譲渡費用には入らない点に注意してください。
税率は「売った年の1月1日」で5年を超えるかどうか
| 区分 | 持っていた期間・所得税(復興特別所得税を含む)・住民税・合計 |
| 長期譲渡所得 | 持っていた期間:売った年の1月1日で5年超 所得税(復興特別所得税を含む):15.315% 住民税:5% 合計:20.315% |
| 短期譲渡所得 | 持っていた期間:売った年の1月1日で5年以下 所得税(復興特別所得税を含む):30.63% 住民税:9% 合計:39.63% |
税率は、国税庁の次の2つの資料によります。
長期は国税庁タックスアンサー No.3208「長期譲渡所得の税額の計算」です。
短期は国税庁タックスアンサー No.3211「短期譲渡所得の税額の計算」です。
所得税の15%・30%に、その2.1%の復興特別所得税を足した数字です。
持っていた期間は、売った日ではなく売った年の1月1日時点で数えます。
たとえば2021年8月に買ったアパートを考えます。
2026年中に売ると、1月1日時点で5年を超えていないので短期です。2027年に売れば長期になります。
2021年8月に買ったアパートの場合
- 2026年中に売る1月1日時点で5年以下。短期(39.63%)
- 2027年に売る5年を超える。長期(20.315%)
売って損が出たときは
土地や建物を売って損が出た場合、その損は他の土地や建物を売った利益とは差し引きできますが、給与や家賃などの所得とは差し引きできません(国税庁タックスアンサー No.3203「不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合」)。自宅を売ったときの特例は、人に貸していたアパートには使えません。
築古アパートは、減価償却で利益が大きく出やすい

買った値段より安く売るのに、税金がかかるんですか。
かかることがあります。アパートは長く貸している間に、建物の値段を少しずつ経費にしてきているからです。
アパートの建物は、毎年の確定申告で減価償却費として経費にしてきたはずです。
国税庁タックスアンサー No.3261「建物の取得費の計算」に、その扱いが書かれています。
人に貸すなど業務に使っていた建物では、取得費を次のように出します。
買った値段から、買ってから売るまでの毎年の減価償却費を合計した額を引いたものです。
しかも国税庁は、経費にしていなかった年の扱いも説明しています。
減価償却費を経費にしていなかった年があっても、毎年の減価償却費を合計することに変わりはありません。
申告で経費にし忘れていた分も、取得費からは引かれるということです。
国税庁タックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」の耐用年数表では、住宅用の木造建物の耐用年数は22年です。
建ててから22年以上たった木造アパートは、建物の帳簿上の値段がほぼ残っていないことが多くなります。
計算例:築35年の木造アパートを売った場合
次の例は、しくみを分かりやすくするために単純化しています(仲介手数料は上限の目安で計算)。
| 項目 | 金額 |
| 買った値段 | 土地1,500万円、建物2,000万円(35年前に新築) |
| 建物の減価償却 | 耐用年数22年を過ぎ、帳簿上の値段はほぼ0円 |
| 取得費 | 土地1,500万円 + 建物ほぼ0円 = 約1,500万円 |
| 売った値段 | 2,500万円 |
| 譲渡費用 | 仲介手数料 約89万円(2,500万円×3%+6万円に消費税)など |
| 譲渡所得 | 2,500万円 −(1,500万円 + 89万円)= 約911万円 |
| 税金(長期・20.315%) | 約185万円 |
土地と建物を合わせて3,500万円で建てたアパートを2,500万円で売っても、約911万円の利益として税金がかかる計算です。
「買った値段より安く売ったから税金はかからない」とは限らないのが、アパートの税金の一番の落とし穴です。
築35年の木造アパートを2,500万円で売った例
※しくみを分かりやすくするために単純化した例です。
中古で買ったアパート・買った値段が分からないとき
中古で買ったアパートは、耐用年数を簡便な方法で出していることが多くあります。
法定耐用年数を全部過ぎた建物なら「法定耐用年数×20%」(木造なら4年)です。
出典は国税庁タックスアンサー No.5404「中古資産の耐用年数」です。
この場合、買ってから数年で建物の帳簿上の値段がほぼなくなります。
買った値段が分からないときは、売った値段の5%を取得費にできます。
出典は国税庁タックスアンサー No.3258「取得費が分からないとき」です。
ただしこの場合、売った値段の95%が利益になり、税金はかなり重くなります。
売買契約書、建築の請負契約書、ローンの書類、毎年の確定申告の控え(減価償却の明細)を探してください。
築古アパートは売値の出し方で手取りが変わります。家賃と土地値の両方から金額を出します。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
建物部分に消費税がかかる人・かからない人
個人で持っているアパートでも、消費税がかかるんですか。
人によります。住宅の家賃には消費税がかからないので、アパートの家賃だけなら多くの方はかかりません。ただ、駐車場や店舗の収入がある方、インボイスの登録をした方は注意してください。
国税庁タックスアンサー No.3240「個人が事業用建物等を譲渡した場合の消費税」という資料があります。
住宅賃貸用の建物を売った場合も、消費税の課税の対象になるとしています。
一方で、土地の売却と住宅の家賃には消費税がかかりません(国税庁タックスアンサー No.6201「非課税となる取引」)。
つまり、消費税がかかるのは建物部分の売却代金だけで、しかも売主が消費税を納める義務のある人(課税事業者)の場合だけです。
消費税の課税事業者に当たる?
※土地の売却と住宅の家賃には、消費税はかかりません。
| 確かめること | 中身 |
| 前々年の課税売上高 | 1,000万円を超えていれば課税事業者。住宅の家賃は非課税なので、この計算に入らない(国税庁タックスアンサー No.6501「納税義務の免除」) |
| 家賃以外の収入 | 店舗・事務所の家賃、住宅に付かない駐車場代、太陽光の売電収入などは課税売上になる |
| インボイスの登録 | 適格請求書発行事業者に登録していると、1,000万円以下でも納税義務は免除されない |
もう1つ気をつけたいのは、いま免税事業者の方でも、建物を売った代金はその年の課税売上高になることです。
建物の代金が1,000万円を超えると、その年が基準期間になる2年後に課税事業者になることがあります。
その年にも課税売上がある方(店舗の家賃など)は、税理士に確かめておいてください。
課税事業者に当たる場合、土地と建物の代金の分け方で消費税の額が変わります。
売買契約書に土地と建物の代金を分けて書き、その分け方に合理的な根拠があるかを、契約前に税理士と確かめてください。
相続したアパートを売るときの特例と注意点
親から相続したアパートです。何か違いはありますか。
親の買った時期と値段を引き継ぐこと、相続税を払った人は税金を減らせる特例があること、空き家の特例は使えないこと、の3つを押さえてください。
| ポイント | 中身 | 出典 |
| 時期と値段を引き継ぐ | 親が買った日と値段を引き継ぐ。親が5年を超えて持っていれば、相続してすぐ売っても長期譲渡所得 | 国税庁タックスアンサー No.3270「相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」 |
| 取得費加算の特例 | 相続税を払った人が、相続税の申告期限の翌日から3年以内に売ると、払った相続税の一部を取得費に足せる | 国税庁タックスアンサー No.3267「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」 |
| 空き家の3,000万円控除は使えない | 亡くなった方が住んでいた家が対象。人に貸していたアパートは対象外 | 国税庁タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」 |
相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
出典は国税庁タックスアンサー No.4205「相続税の申告と納税」です。
取得費加算の特例を使うなら、そこからさらに3年以内に売る必要があります。
相続したアパートの期限
- 10か月以内相続税の申告期限(知った日の翌日から)
- その後3年以内売れば、取得費加算の特例が使える
相続したアパートを売るか持つか迷っている方は、相続したアパートは売却か、修繕して持つかもあわせてお読みください。
兄弟で共有しているアパートを売った場合、税金は持分ごとに、それぞれの相続人が自分の分を申告します。
売った代金の分け方と持分が合っているか、事前に確かめておいてください。
相続したアパートは、特例の期限があります。期限に間に合うよう早めに金額を確かめてください。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
売る前にできる準備と、税理士に聞くこと

税金を少しでも減らすために、売る前にできることはありますか。
税金を「減らす」より「払いすぎない」準備が大事です。書類を探すことと、費用を漏らさないことです。
- 買ったとき・建てたときの契約書、領収書、登記費用の記録を探す(取得費を証明するため)
- 毎年の確定申告の控えから、建物の減価償却の明細を出しておく
- 仲介手数料・印紙代・立退料など、譲渡費用になるものの領収書を残す
- 持っている期間が5年を少しだけ下回るなら、1月1日をまたいでから売るかを考える
- 課税事業者に当たるかどうかを、前々年の申告から確かめる
売った年の翌年2月16日から3月15日までに、確定申告が必要です。
条件を満たせば、税金を先に延ばせる特例もあります。
たとえば国税庁タックスアンサー No.3405「事業用の資産を買い換えたときの特例」です。
ただし、要件が細かく決まっています。
売る前の段階で、ここに書いた数字を持って税理士に一度ご相談ください。売ってからでは使えない選択肢もあります。
売る前から申告までの流れ
- 書類を探す契約書・確定申告の控え
- 税理士に相談売る前の段階で
- 売る手取りで比べて決める
- 確定申告売った年の翌年2月16日〜3月15日
比べるのは「税金を引いたあとの手取り」
仲介と買取、いま売るか数年後に売るかを比べるときも、最後に見るのは税金を引いたあとの手取りです。
売値が100万円高くても、そのぶん税金も増え、売れるまでの固定資産税や修繕費もかかります。
リハコは、古いアパートを買い取り、直して、その街で部屋を探している人に貸し続けている会社です。
これまでにアパートを23件買い取ってきました(うち神奈川14件)。
税金の計算そのものは税理士の仕事ですが、税理士に相談するための「売ったらいくらか」という数字は、根拠つきでお出しできます。
入居者がいるまま、雨漏りや空室があるままでも査定します。
売ったあとに「こんなに税金がかかるとは」とならないように、先に数字をそろえましょう。まずはお話しさせてください。
売り方全体は古いアパートを売りたい人へでもまとめています。
読み終えたら、まずやること
- 買ったとき・建てたときの契約書や領収書を探す
- 確定申告の控えから、建物の減価償却の明細を出しておく
- 前々年の申告から、課税事業者に当たるか確かめる
よくある質問
アパートを売ったら、税金はどれくらいかかりますか?
利益に所得税と住民税がかかり、税率は売った年の1月1日時点で5年超なら20.315%です。
5年以下なら39.63%です。利益は、売った値段から買った値段と売るための費用を引いて出します。
買った値段より安く売っても、税金はかかるのですか?
かかることがあります。建物の値段を毎年減価償却で経費にしてきた分、取得費が小さくなるからです。
たとえば、築35年の木造アパートを2,500万円で売ると、税金は約185万円の計算です。
親から相続したアパートを売るとき、税金で気をつけることはありますか?
親が買った日と値段を引き継ぐので、親が5年を超えて持っていれば長期の税率になります。
相続税を払った人は、申告期限の翌日から3年以内に売ると、相続税の一部を取得費に足せます。
空き家の3,000万円控除は、人に貸していたアパートには使えません。
売り方の全体像は、築古アパートの売却・買取のまとめでご案内しています。




