30秒でわかる、この記事の答え
- 答え元金の返済が償却費を上回ると、黒字でもお金が減ります
- 理由元金は経費にならず、償却が終わると税金だけ増えるから
- まずやること償却の残りと返済予定表を並べ、続く年数を出す
あなたの状況から読む
- 仕組みを知りたい黒字なのにお金が減る理由へ
- いつ起きるか知りたい2枚の書類での見つけ方へ
- 対策を探している5つの対策とその限界へ
- 売るか迷っている売るのが答えになるときへ
「申告では黒字なのに、通帳のお金が毎年減っていく」
「税理士に『デッドクロスですね』と言われた。何をすればいいのか」
結論からお伝えします。
デッドクロスは、ローンの元金の返済が、減価償却費を上回った状態です。
大事なのは「いつ起きたか」より「完済まであと何年続くか」です。
完済が近ければ、耐えれば終わります。何年も続くなら、対策か売却を考える時期です。
よく言われる対策には、それぞれ限界があります。築古のアパートでは効きにくいものもあります。
そして築古でデッドクロスに入ったアパートにも、買いたい人はいます。
デッドクロスを扱う記事の多くは、これから物件を買う人向けの「買う前の対策」です。
この記事は、すでにデッドクロスに入った大家さんに向けて書いています。
仕組みを仮の数字で確かめ、手元の書類で「あと何年続くか」を出すところから始めます。
家賃は変わっていないのに、年々苦しくなっています。経営が下手だったんでしょうか。
いいえ。借入で買ったアパートなら、多くの大家さんが通る道です。まず、あと何年続くかを一緒に数えましょう。
この記事を読んで理解できること
- 帳簿は黒字なのに、手元のお金が減っていく仕組み
- 自分のアパートで、いつから・あと何年続くかの見つけ方
- 繰上返済・借換え・法人化・修繕・買い増しの効き目と限界
- 「売る」が答えになるときと、その売り時
- 売ったときの税金の見通しと、手取りの比べ方
対策を考える前に、今売ったらいくらかを知っておくと、比べる数字がそろいます。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
この記事の目次
デッドクロスとは、帳簿は黒字なのにお金が減っていく状態
利益が出ているのに、お金が残らない。そんなことがあるんですか。
あります。税金の計算に入るお金と、通帳から出ていくお金が、2か所でずれているからです。
ずれの1つ目は、ローンの元金です。毎月返していても、税金の計算では経費になりません。
国税庁の確定申告書等作成コーナー「借入金利子」にも、そう書かれています。
借入金の返済額のうち、元本に当たる部分は必要経費にならない、という説明です。
経費になるのは、建物を買うための借入金の利子の部分だけです。
ずれの2つ目は、減価償却費です。こちらはお金が出ていかないのに、経費として引けます。
ことばの説明:減価償却費
建物の代金を、何年かに分けて少しずつ経費にするものです。毎年お金が出ていくわけではありません。
国税庁のタックスアンサー No.1370でも、減価償却費は不動産所得の必要経費の一つです。
償却費が大きいうちは、経費にならない元金の返済を、償却費が埋めてくれます。
この2つが入れ替わり、元金の返済が償却費を上回った状態をデッドクロスと呼びます。
1年間の元金の返済が、1年間の減価償却費より多い?
なぜ年々、元金の返済が増えるのか
アパートローンの多くは、毎月の返済額が同じ元利均等返済です。
ことばの説明:元利均等返済
元金と利息を合わせた毎月の返済額が、ずっと同じになる返し方です。初めは利息が多く、後になるほど元金が多くなります。
返済額は同じでも、中身は年々、経費になる利息が減り、経費にならない元金が増えます。
そこへ建物の償却が終わると、引ける経費が一気に減ります。この2つが重なるのです。
仮の数字で見ると、こうなる
次の数字は、仕組みを見るための仮の数字です。実際の物件の数字ではありません。
家賃は年600万円、管理費・固定資産税・保険・修繕で年150万円とします。
ローンの返済は毎年300万円で同じです。税金は、仮に利益の3割として計算します。
| 項目(年間・仮の数字) | 償却が残っている年 | 償却が終わった年 |
| 家賃 | 600万円 | 600万円 |
| 管理費・税・保険・修繕 | 150万円 | 150万円 |
| 返済のうち利息 | 50万円 | 30万円 |
| 返済のうち元金 | 250万円 | 270万円 |
| 減価償却費 | 200万円 | 0円 |
| 帳簿の利益 | 200万円 | 420万円 |
| 税金(仮に3割) | 60万円 | 126万円 |
| 手元に残るお金 | 90万円 | 24万円 |
帳簿の利益は200万円から420万円に増えています。申告だけ見れば、経営は好調です。
ところが手元に残るお金は、90万円から24万円に減りました。家賃は1円も変わっていません。
償却が残っている年/終わった年(仮の数字)
- 帳簿の利益は200万円
- 償却費が元金の返済を埋めている
- 帳簿の利益は420万円
- 税金だけが増える
※仕組みを見るための仮の数字です。税金は仮に利益の3割としています。
この年に1室空いて家賃が50万円減ると、手元のお金はマイナスになります。
給料や年金から補う。これが「黒字なのに苦しい」の正体です。
所得税は所得が増えるほど税率が上がる仕組みで、5%から45%の7段階です。
出典は国税庁のタックスアンサー No.2260です。給料のある方ほど、増える税金は重くなります。
空室・修繕・家賃の下落で赤字になる形はアパート経営の失敗は4つの形でお話ししています。
帳簿は黒字でも、手元が減っているなら判断の時期です。今の状態のままの金額をお伝えします。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
あなたのアパートで、いつから・あと何年続くかを見つける
うちがデッドクロスかどうか、自分で確かめられますか。
できます。確定申告の控えと、銀行の返済予定表の2枚があれば十分です。
1枚目は、確定申告の控えです。収支内訳書か青色申告決算書の「減価償却費の計算」の欄を見ます。
建物の行に、その年の償却費と、まだ償却していない「未償却残高」が書いてあります。
未償却残高を、毎年の償却費で割ると、あと何年で償却が終わるかが分かります。
2枚目は、借入先の銀行の返済予定表です。毎回の返済の、元金と利息の内訳が載っています。
1年分の元金を足し、その年の償却費と並べます。元金のほうが多い年からがデッドクロスです。
デッドクロスの見つけ方
- 申告の控えを出す減価償却費の計算の欄
- 返済予定表を出す1年分の元金を足す
- 年ごとに並べる元金が多い年から始まり
- 完済の年を見るそこまでが続く期間
本当に見るべきは「あと何年続くか」
デッドクロスは、ローンを返し終えた年に終わります。元金の返済が、なくなるからです。
ですから、本当に見るべきは「いつ始まったか」より「完済まであと何年あるか」です。
デッドクロスが続く期間
- 始まり1年分の元金が、償却費を上回った年
- 終わりローンを返し終えた年
- 続く年数始まりから完済までの差
完済まであと2〜3年なら、手元のお金で乗り切れるかを確かめれば足ります。
あと10年以上あるなら話は別です。その間に、屋根や外壁などの大きな修繕も来ます。
中古で買った築古の木造アパートは、残りの耐用年数で償却するため、数年で償却が終わることがあります。
一方でローンが20年以上残っていると、デッドクロスの期間はとても長くなります。
償却の年数の決まり方はアパートの売却タイミングで詳しくお話ししています。
築古のアパートは、償却が数年で終わることがある
デッドクロスが来る早さは、建物の減価償却がいつ終わるかで決まります。
築古のアパートでは、これが思ったより早く終わります。
建物の償却は、平成10年4月1日以後に取得したものは定額法だけです(国税庁 No.2100)。
毎年、同じ額が経費になり、期間が終わると急にゼロになります。
中古で買った建物は、簡便法で償却年数を出せます(国税庁 No.5404)。
法定耐用年数をすべて過ぎた建物は、その20%の年数です。
| 建物の構造(住宅用) | 法定耐用年数と、築古で買った場合 |
|---|---|
| 木造 | 法定:22年 全部経過した中古:4年 |
| 重量鉄骨 | 法定:34年 全部経過した中古:6年 |
| 鉄筋コンクリート | 法定:47年 全部経過した中古:9年 |
1年未満の端数は切り捨てです。築古を買い足した大家さんは、4年前後でデッドクロスを迎えやすくなります。
自分の建物の償却が終わる年は、毎年の決算書の償却費の明細で分かります。
よく言われる5つの対策と、その限界

ネットには「法人化すれば回避できる」とも書いてあります。本当ですか。
税率の面では効くことがあります。ただ、元金が経費にならない点は法人でも同じです。一つずつ見ていきます。
上位の記事でよく挙がる対策は、次の5つです。どれも理屈は正しいものです。
ただ、すでに築古でデッドクロスに入った大家さんにとっては、効き目に限りがあります。
| 対策 | 何が効くか | 築古で入った後の限界 |
| 繰上返済 | 返済額を減らす形なら、毎年の元金が減る | まとまった現金が要る。手元が減っている今、出しにくい |
| 借換え | 返済期間を延ばせれば、毎年の元金が減る | 築古は期間が延びにくい。手数料などもかかる |
| 法人化 | 所得が大きい人は、税率の差が効くことがある | 元金は法人でも経費にならない。移すには売買の費用がかかる |
| 修繕 | 修繕費や、新たな償却費として経費が増える | お金が先に出ていく。手元はむしろ減る |
| 買い増し | 新しい物件の償却費で、全体の利益が減る | 借入が増える。問題を先に送るだけになりやすい |
繰上返済と借換え
繰上返済には、返済期間を短くする形と、毎回の返済額を減らす形があります。
デッドクロスに効くのは、返済額を減らす形です。期間を短くする形では、毎年の元金は減りません。
借換えで返済期間を延ばせれば、毎年の元金は減ります。ただし築古だと、そこが難しいのです。
金融機関は、融資の期間を建物の残りの耐用年数で考えることが多いためです。
法人化
個人の所得税は、所得が増えるほど税率が上がります。所得が大きい人ほど、法人の税率との差が出ます。
ただ、今のアパートを法人に移すには、個人から法人へ売る形になります。
個人には売った利益に税金がかかり、名義を変える登記などの費用もかかります。
法人が買った値段で建物の償却をやり直せる面はありますが、損得は人によって大きく違います。
法人化は、税理士に数字を出してもらってから決めてください。
修繕と買い増し
大きな修繕の費用は、その年の経費になる場合と、何年かに分けて償却する場合があります。
国税庁のタックスアンサー No.1379では、20万円未満の修理などは修繕費として扱えます。
建物の価値を高める工事は、資本的支出として償却していくことになります。
ことばの説明:資本的支出
建物を直すだけでなく、価値や長持ちする年数を高める工事の費用です。その年の経費にせず、何年かに分けて経費にします。
どちらにしても、お金は工事のときに先に出ていきます。手元が減っている今には重い対策です。
買い増しは、新しい物件の償却費で全体の利益を小さくする方法です。
ただ、その物件もいずれ償却が終わります。借入を増やして、同じ問題を先に送ることになりがちです。
5つの対策の、築古での限界
- 繰上返済まとまった現金が要る
- 借換え築古は期間が延びにくい
- 法人化元金は法人でも経費にならない
- 修繕お金が先に出ていく
- 買い増し借入が増え、問題を先に送る
5つとも、元金の返済そのものは止まりません。止まるのは、完済したときか、売ったときだけです。
対策にお金をかける前に、売った場合の手取りと並べてみてください。比べる数字をお出しします。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
「売る」が答えになるときと、その売り時
デッドクロスで、売るしかないということでしょうか。
そうとは限りません。続く年数と、手元のお金で決まります。売るのが答えになるのは、次のようなときです。
デッドクロスでも、続く年数が短く、手元のお金で乗り切れるなら、持ち続けてかまいません。
売るのが答えになるのは、次の3つのうち2つ以上に当てはまるときです。
- 完済まで、まだ何年もデッドクロスが続く
- 手元のお金が、すでに年で見てマイナスか、ほぼゼロ
- 屋根・外壁・給排水などの大きな修繕が近い
完済まで何年も続き、手元のお金も残っていない?
売れば、元金の返済も、家賃にかかる税金も、その時点で止まります。
5つの対策のどれにもできない「止める」が、売ることにはできるのです。
売り時は「手元が尽きる前」と「大きな修繕の前」
売ると決めたら、早いほうがよい理由が2つあります。
1つは、手元のお金が尽きる前に売れば、売り方を選べることです。急いで売る必要がありません。
もう1つは、大きな修繕の前に売れば、その工事のお金を払わずに済むことです。
売ったお金でローンを返しきれるかも、先に確かめます。返しきれないときの進め方は別の記事にあります。
デッドクロスのアパートを売るまで
- 続く年数を出す償却と完済の年を並べる
- 今の売値を聞く入居者がいるまま、今の状態で
- 手取りで比べる続けた場合と、税金を引いて
- 売るなら修繕の前に工事のお金を払わずに済む
入居者がいるままでも売れます。空室や雨漏りがあっても、直して貸す買主には工事として見込むものです。
やめるかどうかの決め方はアパート経営はやめたほうがいい?で整理しています。
売ったときの税金の見通しと、手取りの比べ方

売ったら、今度は売ったときの税金がかかるんですよね。
かかることがあります。だからこそ、税金を引いたあとの手取りで比べることが大切です。
償却が終わった建物は、帳簿の上の値段がほとんど残っていません。
そのため買った値段より安く売っても、売った利益が出て、税金がかかることがあります。
税率は、売った年の1月1日に、持っていた期間が5年を超えるかどうかで変わります。
国税庁のタックスアンサー No.3202で、長期と短期に分けて計算すると説明されています。
計算のしかたと計算例はアパート売却の税金にまとめています。
続けた場合と、今売った場合を同じ物差しで並べる
比べるときは、どちらも「税金を引いたあと、手元にいくら残るか」で見ます。
続ける側には、完済までの毎年の手元のお金と、その間の大きな修繕を入れます。
売る側には、売値からローンの残り・売る費用・売ったときの税金を引いた額を入れます。
続ける/今売る(どちらも税金を引いた後で比べる)
- その間の大きな修繕を引く
- 家賃の税金は増えたまま
- ローンの残り・費用・税金を引く
- 元金の返済も、その日で止まる
続ける側の数字には、空室や家賃の下落の心配も乗ります。建物は年々古くなるからです。
今売った場合の値段さえ分かれば、この表は今日のうちに埋められます。実際の税額は税理士に確かめてください。
続けるか売るかは、今の売値が分かれば比べられます。入居者がいるまま、今の状態で査定します。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
リハコが、デッドクロスに入ったアパートを買う理由
リハコは、古いアパートや空き家を買い取り、直して、その街で部屋を探している人に貸している会社です。
これまでに空き家・築古物件を累計200戸以上再生してきました。
アパートの買取は23件、そのうち14件が神奈川県のアパートです。
デッドクロスは、借入と税金の事情です。建物の値打ちがなくなったわけではありません。
直せば部屋を借りたい人がいる街なら、私たちにとっては買って直して貸し続けたい建物です。
- 入居者がいるまま買い取ります。立ち退きは要りません
- 空室・雨漏り・古い設備があっても、修理や片付けをせずに現況のまま買い取ります
- 家賃から見た値段と、土地から見た値段の両方で、価格の根拠をご説明します
- 入居者への「持ち主が変わります」というご案内も、こちらで行います
- 関東のアパートはリハコが直接買い取ります。2営業日以内にご連絡します
帳簿が黒字のうちは、周りにも相談しにくいものです。けれど通帳の数字は、正直です。
続けるか売るか、まだ決めていなくても構いません。比べるための数字を、一度お出しさせてください。
読み終えたら、まずやること
- 確定申告の控えで、建物の未償却残高を見る
- 返済予定表で、1年分の元金と完済の年を書き出す
- 今の状態のまま売ったらいくらか、査定を頼む
よくある質問
申告では黒字なのに、アパートの手元のお金が減っていくのはなぜですか?
ローンの元金の返済が、減価償却費を上回るデッドクロスに入っているからです。
元金の返済は経費になりません。償却が終わると経費が減り、税金だけが増えます。
デッドクロスはいつまで続きますか?
ローンを返し終えた年に終わります。元金の返済がなくなるからです。
確定申告の控えの未償却残高と、返済予定表の元金を並べると、続く年数が分かります。
デッドクロスは法人化すれば回避できますか?
税率の面で効くことはありますが、元金が経費にならない点は法人でも同じです。
今のアパートを法人に移すと売買の形になり、税金や登記の費用もかかります。
損得は人によって違うので、税理士に数字を出してもらってから決めてください。
売り方の全体像は、築古アパートの売却・買取のまとめでご案内しています。
あわせて読みたい:ローンが残っているアパートは売却できる、アパートの修繕費の目安
帳簿は黒字、通帳は赤字。その差が広がる前に、今のままの金額を知ってから決めてください。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。




