30秒でわかる、この記事の答え
- 答え工事費だけでなく、立ち退き料なども足した総額で考えます
- 理由解体費や家賃が入らない期間など、周りのお金が加わるから
- まずやること今のまま売った場合の手取りを手元に置く
あなたの状況から読む
- 費用を知りたい費用の内訳と総額の出し方へ
- 入居者がいる正当の事由と立ち退き料へ
- ローンを組む予定ローンと税金の現実へ
- 売却とも迷っている建て替えと売却の比べ方へ
「古いアパートを建て替えたら、全部でいくらかかるのか」
「入居者がいるけれど、建て替えはできるのか。ローンは組めるのか」
結論からお伝えします。
アパートの建て替え費用は、新しい建物の工事費だけでは終わりません。
解体費、設計や申請の費用、入居者の立ち退き料まで足します。
工事のあいだ家賃が入らない期間、更地になったときの固定資産税も入れた「総額」で考えます。
建て替えは「総額」で考える
- 本体の工事費新しい建物を建てる費用
- 周りのお金解体費・設計や申請・立ち退き料
- 見落としやすい工事中の家賃・更地の固定資産税
本体の工事費は、国税庁の資料で2023年の木造が1㎡あたり204,100円。
延べ床面積180㎡の木造アパートなら、本体だけで約3,674万円です。
この総額を新しい家賃で何年かけて取り戻せるかを出し、今のまま売った場合の手取りと同じ物差しで比べてから決めてください。
建て替えは、うまくいけば家賃を大きく戻せる選択です。
一方で、入居者に出ていってもらう交渉、新たな借入、数年がかりの工程と、いちばん重い道でもあります。
この記事は、建て替えを具体的に考え始めた方に向けたものです。
費用の内訳、期間、立ち退き、ローンと税金の現実を順にお話しし、最後に売却と比べる計算を示します。
建て替え・修繕・売却の3つをざっと比べたい方は、先に築40年の老朽化したアパートはどうする?をご覧ください。
築45年の木造アパートです。建て替えるならいくら用意すればいいんでしょう。
まず総額の出し方を押さえましょう。本体の工事費はおおよそ計算できます。見落としやすいのは、その周りにかかるお金と、家賃が入らない期間です。
この記事を読んで理解できること
- アパートの建て替え費用の内訳と、総額の出し方
- 本体工事費の目安を、国税庁の資料から計算する方法
- 建て替えにかかる期間と、立ち退きの法律上のルール
- 同じ大きさで建て替えられるかを役所で確かめる項目
- 建て替えのローンと、更地になったときの固定資産税
- 建て替えと売却を、同じ物差しで比べる計算
建て替えの見積もりを取る前に、今のまま売った場合の手取りを手元に置いてください。比べる相手があると、建て替えの判断がぶれません。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
この記事の目次
建て替え費用の内訳と、総額の出し方
建築会社の見積もりには、本体工事費しか書いていないんです。
本体工事費は総額の一部です。建て替えでは、新築のときにはなかったお金がいくつも加わります。
アパートの建て替えにかかるお金は、次のとおりです。
| 費用 | 中身 | 見落としやすい点 |
| 本体の工事費 | 新しい建物を建てる費用 | 構造・仕様・地域で大きく変わる |
| 付帯工事・外構 | 給排水・ガスの引き込み、駐車場、駐輪場、ごみ置き場 | 本体の見積もりに含まれないことが多い |
| 解体費 | 今の建物を壊して更地にする費用 | 構造・大きさ・アスベストの有無で変わる |
| 設計・申請・調査 | 設計料、確認申請、地盤調査、測量 | 地盤が弱ければ改良工事が加わる |
| 立ち退きの費用 | 立ち退き料、引っ越し費用の負担 | 入居者の数と交渉の長さで変わる |
| 工事中の収入減 | 立ち退きから新しい入居までの家賃 | 空室が出ても次を募集できない期間がある |
| 登記・借入の費用 | 建物の滅失・表題・保存登記、ローンの手数料・保証料 | 新しい借入の条件しだい |
| 税金 | 更地になった年の固定資産税、新しい建物の不動産取得税 | 1月1日の状態で決まる(後でお話しします) |
本体工事費は、国税庁の資料で目安が出せる
国税庁の建物の標準的な建築価額表は、国土交通省の建築着工統計をもとに、建てた年ごとの1㎡あたりの工事費予定額を示しています。
2023年(令和5年)の木造は1㎡あたり204,100円です。
| 延べ床面積120㎡(1Kが6戸ほど) | 204,100円 × 120㎡ = 約2,449万円 |
| 延べ床面積180㎡(1Kが8戸ほど) | 204,100円 × 180㎡ = 約3,674万円 |
| 延べ床面積240㎡(2DKが6戸ほど) | 204,100円 × 240㎡ = 約4,898万円 |
これは全国の平均的な工事費予定額で、実際には地域や仕様、時期で変わります。
同じ表を見ると、木造の1㎡あたりの工事費は2013年(平成25年)の159,900円から上がり続けています。
木造の1㎡あたりの工事費
※国税庁「建物の標準的な建築価額表」より。
建て替えの見積もりは、今の建物を建てたときの感覚より大幅に高く出ると考えておいてください。
解体費は、構造や大きさ、アスベストの有無、重機が入れるかで大きく変わるため、この記事では扱いません。
解体については解体のページをご覧ください。
建て替える前に、建物がまだ使えるかを見る
法定耐用年数を過ぎていても、建物がすぐに使えなくなるわけではありません。屋根・外壁・床下・配管の状態を専門家に見てもらい、直せば貸せる建物なら、建て替えではなく修繕で持ち続ける道もあります。建て替えは「直しても貸せない」「直す費用のほうが重い」と分かってから選んでも遅くありません。
入居者がいるまま、立ち退きをしないで売ることもできます。建て替えの交渉を始める前に、その数字も確かめてください。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
建て替えにかかる期間:立ち退きから新しい入居まで
思い立ってから、何年くらいで新しいアパートになるんですか。
いちばん読めないのは、工事ではなく立ち退きです。入居者がいる限り、工事は始められません。
建て替えは、おおむね次の順で進みます。
| 段階 | やること | 期間を左右するもの |
| 計画 | 建てられる大きさの確認、収支の計画、金融機関への相談 | 役所の調査、借入の審査 |
| 立ち退き | 入居者への通知と交渉、明け渡し | 入居者の数、契約の種類、交渉の成り行き |
| 解体 | 建物の滅失、更地に | 建物の大きさ、アスベストの調査・除去 |
| 設計・申請 | 設計、確認申請 | 敷地の条件、計画の変更 |
| 工事 | 新しい建物を建てる | 規模、構造、天候、職人の手配 |
| 募集 | 新しい入居者を探す | 完成の時期(春の引っ越しの時期に間に合うか) |
立ち退きには法律上の期間の決まりがあります。
借地借家法26条は、貸主が更新しない場合の通知の時期を定めています。
期間の定めのある建物の賃貸借では、期間満了の1年前から6か月前までの間に通知が必要です。
27条は、貸主が解約を申し入れた場合、申し入れの日から6か月たって契約が終わるとしています。
どちらも、次に述べる「正当の事由」があることが前提です。
つまり、交渉がどれだけ順調でも、最初の通知から明け渡しまで半年以上はかかります。
入居者が1人でも残れば、解体は始められません。
立ち退きにかかる法律上の期間
- 1年前〜6か月前更新しないときの通知(26条)
- 6か月解約の申し入れから契約が終わるまで(27条)
- 半年以上最初の通知から明け渡しまで
※どちらも「正当の事由」があることが前提です。
立ち退き:正当の事由と立ち退き料
建物が古いから、という理由で出ていってもらえますか。
古さだけでは足りないことが多いです。立ち退き料の申し出を含めて、全体で判断されます。
借地借家法28条は、貸主が更新を断ったり解約を申し入れたりするには「正当の事由」が必要としています。
その判断で考え合わせるのは、次のことです。貸主と借主それぞれが建物を必要とする事情、これまでの経過、建物の利用状況と現況。
そして、貸主が立ち退きと引き換えに財産上の給付(立ち退き料)を申し出たかです。
「正当の事由」で考え合わせること
- 必要とする事情貸主と借主それぞれ
- これまでの経過これまでの貸し借りの経過
- 建物の状況利用状況と現況
- 立ち退き料申し出たかどうか
建物の老朽化は事情の一つになりますが、それだけで当然に認められるものではありません。
多くの場合は立ち退き料を払い、話し合いで合意して出ていってもらうことになります。
長く住んでいる高齢の入居者や、近くに代わりの部屋が見つかりにくい入居者ほど、交渉は長引きがちです。
立ち退き料の考え方と相場の目安は築古アパートは立ち退きなしで売却できるにまとめています。
建て替えの総額を出すときは、入居者の数だけ立ち退き料と引っ越しの負担を積み上げてください。
空室を埋めない期間も費用になる
建て替えを決めると、退去した部屋に次の入居者を入れられなくなります。立ち退きが済むまでの数か月から数年、空室が増えていくぶん家賃収入は減ります。この「募集を止めた期間の家賃」も、建て替えの費用に入れて考えてください。
同じ大きさで建て替えられるかを、先に役所で確かめる
古いアパートは、建てたあとの法改正や都市計画の変更で、今のルールでは同じ大きさに建てられないことがあります。
建て替えの計画を立てる前に、役所の建築指導の窓口などで次を確かめてください。
| 道路に接しているか | 建築基準法43条により、原則として幅4m以上の道路に2m以上接していないと建てられない |
| 建蔽率・容積率 | 今の建物がこれを超えていると、建て替え後は小さくなる |
| 高さ・日影・斜線の制限 | 3階建てにできるか、階数を増やせるか |
| 用途地域・地区計画 | その場所で共同住宅を建てられるか、ほかの決まりがないか |
今の建物より戸数が減るなら、建て替え後の家賃収入も減ります。
建て替えられない、あるいは小さくなる敷地の売り方は既存不適格物件の売却にまとめています。
新しい借入を背負う前に、借入なしで手に入る金額を確かめてください。ローンが残っているアパートも査定します。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
建て替えのローンと税金の現実
手元資金は少ないので、ローンを組むつもりです。
組めるかどうかと、組んで大丈夫かは別の話です。返し終わる年齢と、今のローンの残りを先に確かめましょう。
建て替えの費用の多くは、新しい借入でまかなうことになります。金融機関に相談するときに問われるのは、次のような点です。
| 返し終わる年齢 | 借入の期間が長いほど毎月の返済は軽くなるが、完済の年齢は上がる。後を継ぐ人がいるかも問われやすい |
| 今のローンの残り | 残っていれば、建て替えの借入とまとめるか、先に返す必要がある。今の建物に付いた抵当権の扱いも相談が要る |
| 自己資金 | 工事費の一部を手元資金で出せるか。付帯工事や立ち退き料は借入の対象にならないこともある |
| 収支の計画 | 新しい家賃と空室を見込んで、返済と修繕の積み立てを払っても手元に残るか |
建て替えた建物も、いずれ修繕が必要になります。
国土交通省の民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブックでは、木造10戸(1K)のアパートの例が示されています。
新築から30年間の修繕費が棟あたり約1,740万円です。
木造10戸(1K)の修繕費の例
建て替えの収支には、この修繕の分も入れてください。修繕費の目安は老朽化したアパートの記事でも紹介しています。
建て替えの借入は、家族も引き継ぐことになる
建て替えの借入が残ったまま相続が起きると、新しいアパートと一緒に借入も家族が引き継ぎます。
子が遠方に住んでいる、兄弟で分けることになる、そもそも継ぐ気がない。
そういう家族の事情は、建て替えの前に話しておいてください。
相続税の対策になると言われて建て替えを考える方もいます。
借入と管理を誰が背負うのかまで含めて、税理士と家族で確かめることが大切です。
相続したアパートをどうするかで兄弟が揉めやすい理由と、決め方は相続したアパートは売却か、修繕して持つかにまとめています。
更地になると、土地の固定資産税が上がることがある
住宅が建っている土地には、地方税法349条の3の2による固定資産税の軽減があります。
住宅1戸につき200㎡までの部分は課税標準が6分の1、それを超える部分は3分の1になります。
ことばの説明:課税標準
固定資産税を計算するもとになる金額です。これが6分の1になれば、そのぶん税金も軽くなります。
固定資産税は毎年1月1日の状態で決まるため、解体して更地のまま1月1日を迎えると、この軽減が外れることがあります。
建て替えの途中の土地には、一定の要件を満たせば軽減を続ける扱いもあります。
解体と着工の時期が年をまたぐときは、市区町村の資産税の窓口で確かめてから日程を決めてください。
解体して、更地のまま1月1日を迎える?
建て替えと売却を、同じ物差しで比べる


結局、建て替えと売却、どちらが得なのでしょう。
同じ物差しで並べれば、あなたのアパートでの答えが出ます。「建て替えでいくら増えるか」と「売ればいくら手に入るか」です。
比べるときは、次の2つの数字をそろえます。
| 比べるもの | 建て替える | 今のまま売る |
| 出ていくお金 | 本体工事+付帯工事+解体+設計・申請+立ち退き+登記・借入の費用 | 仲介なら仲介手数料など。買取なら手数料はかからない |
| 入ってくるお金 | 完成後の家賃(空室を見込んで)から、返済・管理・修繕・税金を引いた手残り | 売却代金から、ローンの残りと税金を引いた手取り |
| 時間 | 立ち退きから新しい入居まで年単位。その間の家賃は減る | 買取なら早ければ1〜2か月 |
| 手間とリスク | 立ち退き交渉、工事の管理、新しい借入、完成後の募集 | 入居者はそのまま引き継がれる。修繕も不要 |
仮の数字で考えてみます。建て替えの総額が5,000万円、完成後の家賃が年600万円なら、表面の利回りは12%です。
ことばの説明:表面の利回り
1年分の家賃が、かかったお金の何%にあたるかを表す数字です。空室や管理費などを引く前の、ざっとした目安です。
ここから空室、管理費、修繕の積み立て、固定資産税、返済の利息を引いた手残りで、5,000万円を何年で取り戻せるかを出します。
建て替えの元を取る年数の出し方
- 総額を出す仮に5,000万円
- 家賃を見込む完成後 年600万円
- 手残りを出す空室・管理費・修繕・税・利息を引く
- 年数を出す総額を何年で取り戻せるか
その年数のあいだ、あなたや家族が借入を背負い、管理を続けられるか。ここが建て替えの本当の判断どころです。
反対に、売却なら今の手取りがすぐに確定し、借入も修繕も立ち退きもなくなります。
建て替える/今のまま売る
- 立ち退き交渉と新しい借入
- 工事の管理と完成後の募集
- 借入・修繕・立ち退きがなくなる
- 買取なら早ければ1〜2か月
建て替えのほうが長い目で見て、手元に残るお金が多いこともあります。
それでも、その差が「何年もの借入と手間」に見合うかは、あなたの年齢や家族の事情で変わります。

建て替えより売却が向いているとき
- 入居者が多く、立ち退きに時間とお金がかかりそう
- 今のローンが残っていて、さらに大きな借入をするのが不安
- 敷地の条件で、今より小さな建物しか建てられない
- 返し終わる年齢が高く、後を継ぐ家族がいない、または継ぐ気がない
- 工事の管理や新しい入居者の募集まで、自分で見きれない
売るときに、先に立ち退きや解体をする必要はありません。
建て替えを考えている買主なら土地の値段から解体費を引いて考え、建物を直して貸す買主なら、入居者ごと今の建物を引き継ぎます。
建て替えるかどうかを、買主に任せることもできるのです。
築古アパートの値段の決まり方はアパートの売却相場・買取相場をご覧ください。

リハコは、古いアパートを買い取り、直して、その街で部屋を探している人に貸している会社です。
アパートの買取は23件、そのうち14件が神奈川県です。
建て替えを考えるほど古くなったアパートも、入居者がいるまま、雨漏りや傷みがあるまま、現況のまま買い取ります。
建物を壊さずに直して使うので、解体費を差し引かずに値段を考えられます。
- 立ち退きは要りません。入居者との賃貸借契約ごと引き継ぎます
- 解体も修繕もしなくてかまいません。今の状態のまま査定します
- 全国対応(関東はリハコが直接買取、関東外は提携先と進めます)。2営業日以内にご連絡します
建て替えの見積もりと、売った場合の手取り。この2つがそろえば、迷いはずっと小さくなります。
売った場合の数字は、リハコにお出しさせてください。
読み終えたら、まずやること
- 入居者の数と、それぞれの契約の種類を書き出す
- 今のローンの残りと、返し終わる年齢を確かめる
- 今のまま売った場合の手取りを、査定で確かめる
よくある質問
古いアパートを建て替えると、全部でいくらかかりますか?
本体の工事費に、解体費・設計や申請の費用・立ち退き料などを足した総額で考えます。
本体は国税庁の資料で2023年の木造が1㎡あたり204,100円で、延べ床180㎡なら約3,674万円です。
さらに工事中に家賃が入らない期間や、更地になったときの固定資産税も入れてください。
入居者がいても、建て替えのために出ていってもらえますか?
建物の古さだけでは足りないことが多いです。借地借家法28条の「正当の事由」が必要です。
多くの場合は立ち退き料を払い、話し合いで合意して出ていってもらうことになります。
最初の通知から明け渡しまで半年以上かかり、入居者が1人でも残れば解体は始められません。
建て替えと売却は、どちらが得ですか?
建て替えた後の手残りと、今売った場合の手取りを、同じ物差しで並べて比べると答えが出ます。
建て替えは完成まで年単位かかり、その間に立ち退きの交渉や新しい借入を背負います。
売却なら手取りがすぐ確定し、立ち退きや解体をしないまま、入居者ごと売ることもできます。
売り方の全体像は、築古アパートの売却・買取のまとめでご案内しています。
あわせて読みたい:アパートの修繕費の目安、アパート経営はやめたほうがいい
建て替えか、売却か。立ち退きも解体もしないで売った場合の金額を、建て替えの見積もりの横に並べてください。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。



