30秒でわかる、この記事の答え
- 答え空室の原因を4つに分け、お金のかからない順に手を打つ
- 理由原因に合わない値下げや工事は、手残りだけが減ってしまうから
- まずやること管理会社に、問い合わせと内見の数を聞く
「空室が埋まらない。家賃を下げても問い合わせが来ない」
「リフォームすれば埋まるのか。お金をかけても戻ってくるのか分からない」
結論からお伝えします。
アパートの空室対策は、まず空室の原因を4つに分けます。「条件」「募集の届き方」「部屋の状態」「場所の需要」です。
そのうえで、お金のかからない順に手を打つのが基本です。
家賃・初期費用・入居条件・募集の写真を見直してから、設備や内装にお金をかけます。
お金をかける対策は、「工事費 ÷ 増える家賃」で何年で戻るかを計算します。
戻らない、あるいは場所の需要そのものが弱いなら、対策にお金をかける前に手放す判断も並べてください。
総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、全国の空き家は900万2千戸と過去最多です。
そのうち賃貸用の空き家が443万6千戸あります。
共同住宅の空き家に限ると、約8割(78.5%)が賃貸用です。
部屋が余っている時代(令和5年住宅・土地統計調査)
- 全国の空き家900万2千戸
- うち賃貸用443万6千戸
- 共同住宅の空き家のうち賃貸用78.5%
部屋が余っている時代に、築古のアパートが選ばれるには、理由のある手の打ち方が要ります。
「とりあえず家賃を下げる」「とりあえずリフォームする」を繰り返すと、手残りだけが減り、空室は減らないということが起きます。
原因に合った対策を、お金のかからない順に打つことが大切です。
この記事では、空室が埋まらない原因の見分け方と、お金をかけない対策・かける対策をお話しします。
そして、対策にお金をかける前に考えたい「手放す判断」の目安もまとめます。
築40年のアパートで、6室中3室が空いたままです。何から手をつければいいでしょう。
まず、空いている理由を見分けましょう。原因が分からないまま設備を入れても、埋まらないことがよくあります。
この記事を読んで理解できること
- 空室が埋まらない原因を、4つに分けて見分ける方法
- お金をかけずにできる空室対策
- 高齢の方の入居を受け入れやすくする国の仕組み
- 設備・内装にお金をかけるときの、回収年数の計算
- 築古アパートで効きにくい対策
- 対策にお金をかける前に考える「手放す判断」
For Owners空室対策にお金をかける前に、空室のまま売った場合の金額も知っておいてください。対策の予算を決める物差しになります。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
空室が埋まらない原因は4つに分かれる
問い合わせや内見の数を見ると、どちらが原因かの見当がつきます。管理会社や仲介会社に、数字で聞いてみてください。
空室の原因は、次の4つに分けられます。どれに当たるかは、募集を出してからの問い合わせと内見の数で見分けます。
| 原因 | よくある状態 | 見分けるサイン |
| 条件が合っていない | 家賃・初期費用が周りより高い、入居の条件が厳しい | ポータルサイトの閲覧や問い合わせが少ない |
| 募集が届いていない | 写真が暗い・少ない、仲介会社に物件が知られていない | 周りの同じような物件は決まっているのに、問い合わせがない |
| 部屋が選ばれない | 和室、古い浴室・台所、においや汚れ | 内見はあるのに申し込みにつながらない |
| 場所の需要が弱い | 学生や単身者が減った、近くに新しい物件が増えた | 周りの物件も空いている、家賃を下げても動かない |
問い合わせが少ないなら「条件」か「届き方」が疑わしいところです。
内見はあるのに決まらないなら「部屋」、周りも一緒に空いているなら「場所の需要」。これが大まかな見分け方です。
問い合わせや内見は来ている?
はい内見はあるのに決まらないなら「部屋の状態」
いいえ問い合わせが少ないなら「条件」か「募集の届き方」
※周りの物件も一緒に空いているなら「場所の需要」を疑います。
4つ目の「場所の需要」は、大家さんの努力では変えにくい原因です。
大学の移転や工場の撤退、周りに新築が増えたなど、需要そのものが減った場所もあります。
そこでは、部屋をきれいにしても、家賃を下げても埋まらないことがあります。
この原因かどうかは、後で「手放す判断」を考えるときに大事になります。
管理会社や仲介会社に聞いておく数字
原因を見分けるには、感覚ではなく数字が要ります。管理会社や募集を頼んでいる仲介会社に、次のことを聞いてみてください。
| 募集を始めてからの期間 | いつから空いているか。春の引っ越しの時期を越えても決まっていないか |
| 問い合わせと内見の数 | 月に何件の問い合わせがあり、何件が内見に来たか |
| 内見で断られた理由 | 「部屋が古い」「日当たり」「設備」「周りの環境」など、案内した担当者の感触 |
| 周りの募集中の物件 | 同じ駅・同じ広さで、いくらの家賃で何件が募集中か。どれくらいで決まっているか |
数字で聞くと、「家賃を下げましょう」という提案が本当に原因に合っているかも確かめられます。
For Owners空室の原因が「場所の需要」かもしれないと感じたら、その街で部屋を借りたい人がいるかも含めて、お話しさせてください。
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お金をかけずにできる空室対策
お金をかけない対策から始めるのが正解です。条件と募集の見直しだけで決まる部屋も少なくありません。
まず、次の対策を順に見直してください。
| 家賃と共益費 | 同じ駅・同じ広さ・同じくらいの築年数の募集中の物件と比べる。家賃を下げる前に、共益費込みの総額で比べる |
| 初期費用 | 敷金・礼金をなくす、入居から一定期間の家賃を無料にする(フリーレント)。家賃そのものを下げずに済む |
| 入居の条件 | ペット可、楽器不可の見直し、保証会社の利用で連帯保証人を不要にする、高齢の方・外国籍の方の受け入れ |
| 募集の写真と図面 | 明るい時間に撮った写真を多く、部屋の広さが分かるように。古い写真や暗い写真は差し替える |
| 仲介会社への働きかけ | 地域の仲介会社に物件を知ってもらう、案内しやすいよう鍵の受け渡しを簡単にする、広告料の条件を見直す |
| 共用部の清掃 | 外廊下・階段・ごみ置き場・郵便受けまわり。内見で最初に目に入る場所 |
築古のアパートでは、とくに「入居の条件」と「共用部」が効きやすいところです。
新しい物件と設備で競うのは難しくても、家賃の手ごろさと入居のしやすさなら勝負できます。
共用部は、内見に来た人が部屋に入る前に目にする場所なので、ここが荒れていると、部屋を見る前に候補から外れてしまいます。
空室対策は、お金のかからない順に
- 条件を見直す家賃・初期費用・入居の条件
- 募集を見直す写真・仲介会社への働きかけ
- お金をかける設備や内装
高齢の方の入居を受け入れやすくする仕組み
単身の高齢の方は、部屋探しで断られやすい一方、長く住んでくれることも多い入居者です。
大家さんが受け入れをためらう理由の一つが、亡くなったあとの契約の解除や、部屋に残った家財の処理への不安です。
国土交通省と法務省は、この不安を減らすために残置物の処理等に関するモデル契約条項を作っています。
入居者が亡くなったときに、契約の解除や家財の処理を任せる人をあらかじめ決めておく契約のひな形です。
単身の高齢の方の住まいを確保することが目的とされています。
受け入れの間口を広げたいときは、管理会社と一緒に使い方を確かめてみてください。
家賃を下げるか、空室のままにするか
家賃を下げるのは、いちばん早く効く対策ですが、元に戻しにくい対策でもあります。
たとえば月5万円の部屋が3か月空くと、失う家賃は15万円です。
家賃を月3,000円下げてすぐ決まれば、1年で下がる家賃は36,000円なので、空室のままより手元に残ります。
空室のままか、家賃を下げるか(月5万円の部屋)
月3,000円下げてすぐ決まる下がる家賃 年36,000円
反対に、下げても問い合わせが増えないなら、原因は家賃ではありません。
下げる前に、初期費用やフリーレントで同じ効果が出せないかも比べてください。
退去を防ぐのも、空室対策
空室は、埋めるだけでなく出さないことでも減らせます。
設備が壊れたときにすぐ直す、更新のときに家賃を据え置く、共用部を清潔に保つ。
長く住んでくれる入居者がいるアパートは、退去のたびにかかる内装費と募集の広告料も少なくて済みます。
お金をかける対策と、何年で戻るかの計算
和室を洋室にすると決まりやすい、と管理会社に言われました。
決まりやすくなることは多いです。ただ、工事費が家賃で何年かかって戻るかは、先に計算しておきましょう。
お金をかける対策には、次のようなものがあります。
| 対策 | 中身 | 効きやすい相手 |
| 設備の追加・交換 | インターネット無料、モニター付きインターホン、温水洗浄便座、エアコン、宅配ボックス | 単身者・若い世代 |
| 水まわりの入れ替え | 古い台所・浴室・洗面台・トイレの交換 | 内見で決めきれない人 |
| 内装の変更 | 和室を洋室に、壁紙・床の張り替え、照明 | 部屋の古さで敬遠している人 |
| 外観・共用部の工事 | 外壁・外階段・廊下の塗装、照明、植栽 | 内見の第一印象 |
リハコが買い取ったアパートの居室(改修前)
同じ居室を直したあと。畳をフローリングに替え、照明も新しくした
写真は、リハコが買い取って再生した横浜市のアパートの居室です。和室を洋室に変えるだけで、部屋の印象は大きく変わります。
ただ、工事をすれば必ず埋まるわけではなく、かけたお金は家賃で取り戻す必要があります。
計算は次のとおりです。
| 工事費 | その対策にかかる費用(1室分) |
| 増える家賃 | 工事で上げられる家賃、または空室が埋まることで入る家賃(1年分) |
| 取り戻すまでの年数 | 工事費 ÷ 増える家賃 |
| その部屋にあと何年貸せるか | 建物の残りの寿命、次の大きな修繕の時期 |
仮に1室50万円で和室を洋室に変え、家賃を月3,000円上げられたとします。
増える家賃は年36,000円なので、取り戻すまでに約14年かかります。
一方、空いていた部屋が工事で埋まり、月4万円の家賃が入るようになるなら、年48万円で約1年で戻ります。
同じ工事でも「家賃を上げるための工事」か「空室を埋めるための工事」かで、戻る速さがまったく違うのです。
1室50万円の工事、何年で戻るか
家賃を上げるための工事約14年- 家賃を月3,000円上げる
- 増える家賃は年36,000円
設備や内装の工事は、内容によってはその年の経費にならず、何年もかけて減価償却することもあります。
ことばの説明:減価償却
工事にかかったお金を、何年かに分けて少しずつ経費にしていく税金の計算です。その年に全部を経費にできないことがあります。
大きな工事の前には、税理士にも確かめてください。
For Owners部屋の工事に踏み切る前に、工事をしないで売った場合の手取りを並べてください。どちらが手元に残るかがはっきりします。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
築古アパートで効きにくい対策
建物全体の問題が残っていると、部屋だけ直しても効きにくいことがあります。先にどこが足を引っ張っているかを見ましょう。
築40年を超えるようなアパートでは、次のような対策は、お金のわりに効きにくいことがあります。
| 建物全体が傷んだままの室内リフォーム | 外階段のさび、外壁の汚れ、雨漏りのあとが残っていると、部屋がきれいでも内見の印象で負ける |
| 需要の弱い場所での大きな工事 | 借りたい人がそもそも少ない場所では、工事費を家賃で取り戻す前に次の空室が出る |
| 新築と同じ土俵での設備競争 | 最新の設備をそろえても、新しい物件と同じ家賃は取りにくい |
| 家賃の下げ続け | 下げても動かないなら、原因は家賃ではない。下げた家賃はほかの入居者の更新にも響く |
築古のアパートが勝ちやすいのは、「家賃の手ごろさ」と「入居のしやすさ」です。
新しい物件と同じものを目指さなくてかまいません。
手ごろな家賃で清潔に住める部屋を、入居の間口を広げて貸すほうが、かけたお金は戻りやすくなります。
もう一つ気をつけたいのは、室内の工事と、屋根・外壁・給排水などの大規模修繕の時期が重なることです。
国土交通省の民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブックでは、木造10戸(1K)の21〜25年目の修繕が棟あたり約800万円です。
30年目以降も修繕が必要とされています。
部屋に工事費をかけたあとに、建物全体の修繕が控えていないかも確かめてください。
対策にお金をかける前に考える「手放す判断」
ここまでやっても埋まらなかったら、どうすればいいんでしょう。
そのときは、空室対策を続けること自体を見直す時期かもしれません。手放すことは失敗ではなく、手取りを守る選択の一つです。
次のどれかに当てはまるなら、空室対策にお金をかける前に、売った場合の手取りを確かめてください。
| サイン | なぜ手放す判断が要るか |
| 工事費を取り戻すのに10年以上かかる | 取り戻す前に、次の修繕や次の空室が来る |
| 場所の需要が弱い | 家賃を下げても、工事をしても、埋まる見込みが薄い |
| ローンの返済が家賃収入を上回った、または近い | 空室が続くほど、手元のお金で返済を埋めることになる |
| 大規模修繕が近い | 空室対策と修繕が重なり、出ていくお金が一度に大きくなる |
| 管理を続けるのがつらい | 募集・内見・退去の対応が負担で、判断が後回しになっている |
空室が多いアパートでも売れます。
家賃から値段がつかなくても、土地の値段があり、直して貸す買主にとっては、空いている部屋は「自分の手で直して貸せる部屋」です。
空室が多いアパートの値段の決まり方は空室だらけ・全空室のアパートは売却できるにまとめています。
続けるか手放すかを手残りで決める方法は、アパート経営の失敗は4つの形でやってくるをご覧ください。
売るなら、今の入居者がいるうちに
空室が続くと、今住んでいる方も一人、また一人と退去していくことがあります。
入居者が減るほど家賃収入は減り、値段の考え方も「家賃から」ではなく「土地の値段から」に寄っていきます。
空室が続くと起きること
- 退去が続く一人、また一人と出ていく
- 家賃収入が減る入居者が減るほど減る
- 値段の考え方が変わる「家賃から」より「土地の値段から」に
売ると決めるなら、今の入居者がいるうちに動くほうが、値段の根拠となる家賃が残ります。
入居者に知られずに査定を受けたい、近所に知られたくない、という方も多くいます。査定の相談は入居者に知らせずに始められます。
入居者への説明は、売ると決めてからで間に合います。
入居者がいるまま売る手順は入居者がいるアパートを売却する手順にまとめています。
リハコが買い取ったアパートの空室。この状態のまま買い取った
手放すと決めても、先に部屋を直したり、満室にしたりする必要はありません。
入居している方は、賃貸借契約ごと新しい持ち主に引き継がれます。空室の工事は、買主の仕事です。
ことばの説明:賃貸借契約
部屋を貸し借りするときの約束のことです。持ち主が変わっても、この約束は新しい持ち主にそのまま引き継がれます。
直して貸す買主にとっては、あなたが空室対策に悩んできた部屋こそ、手を入れて貸し出す部屋になります。
リハコは、古いアパートを買い取り、直して、その街で部屋を探している人に貸している会社です。
アパートの買取は23件、そのうち14件が神奈川県です。
空室が埋まらないアパートも、入居者がいるまま、空室や傷みがあるまま、現況のまま買い取ります。
- 空室の工事はしなくてかまいません。今の状態のまま査定します
- 入居中の方の立ち退きは要りません。賃貸借契約ごと引き継ぎます
- 全国対応(関東はリハコが直接買取、関東外は提携先と進めます)。2営業日以内にご連絡します
空室対策にかける50万円、100万円は、手放す場合には出さずに済むお金です。対策を続けるか、手放すか。
その判断のために、売った場合の数字をリハコにお出しさせてください。
読み終えたら、まずやること
- 管理会社に、月に何件の問い合わせと内見があったか聞く
- 同じ駅・同じ広さで募集中の物件の家賃を調べる
- 空室のまま、今の状態で売った場合の金額を聞いてみる
よくある質問
アパートの空室が埋まりません。まず何をすればいいですか?
まず空室の原因を、条件、募集の届き方、部屋の状態、場所の需要の4つに分けて見分けます。
管理会社や仲介会社に、問い合わせと内見の数を数字で聞くと見当がつきます。
そのうえで、家賃・初期費用・入居条件・募集の写真など、お金のかからない対策から手を打ちます。
空室を埋めるためにリフォームしたら、お金は戻ってきますか?
工事の目的しだいです。工事費÷増える家賃で、何年で戻るかを先に計算してください。
1室50万円の工事で家賃を月3,000円上げるだけなら、戻るまで約14年かかります。
同じ工事で空室が埋まり、月4万円の家賃が入るなら約1年で戻ります。
空室だらけのアパートでも売れますか?
売れます。家賃から値段がつかなくても、土地の値段があるからです。
直して貸す買主にとって、空いている部屋は自分の手で直して貸せる部屋です。
売る前に部屋を直したり、満室にしたりする必要はありません。
売り方の全体像は、築古アパートの売却・買取のまとめでご案内しています。
あわせて読みたい:アパート経営はやめたほうがいい、アパートの修繕費の目安
For Owners埋まらない空室に、これ以上お金をかける前に。空室のまま、今の状態で売った場合の金額をお伝えします。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。