30秒でわかる、この記事の答え
- 答え丸ごと売るには、共有者全員の同意が要ります
- 理由家賃や管理と違い、建物全体を売るのは全員で決めることだから
- まずやること家賃と経費の流れを、兄弟全員に見える形にする
あなたの状況から読む
- 家賃の分け方が不明家賃と経費の分け方へ
- 修理が決まらない管理・修繕の決め方へ
- 兄弟が売るのに反対反対・連絡がつかないときへ
- 兄弟が遠くに住む遠方でも売る進め方へ
「親のアパートを兄弟3人の共有で相続した。家賃は長男が受け取っているが、どう分けているのか分からない」
「自分は売りたいのに、兄は持ち続けたいと言う。共有のアパートはどうすれば売れるのか」
結論からお伝えします。
兄弟で共有しているアパートを丸ごと売るには、共有者全員の同意が要ります。
一方、家賃は持分に応じて分け、管理会社を替える・部屋を貸すといった管理のことは、持分の過半数で決めるのが民法の原則です。
ことばの説明:持分
共有している人それぞれが持っている「割合」のことです。兄弟3人で3分の1ずつなら、1人の持分は3分の1です。
まず家賃と経費の流れを全員に見える形にし、そのうえで「持ち続けた場合」と「売った場合」の数字を並べて話し合ってください。
空き家の共有と違い、アパートの共有には、決めることが絶えず出てきます。
毎月の家賃、入居者からの連絡、退去のたびの原状回復、数年ごとの修繕などです。
兄弟の誰かが負担を抱え、誰かが不満を抱える形になりやすいのが、共有アパートの難しさです。
この記事では、共有アパートの家賃の分け方と、管理の決め方をお話しします。
そのうえで、売るときの全員の同意と持分の扱い、反対する兄弟がいるときの進め方を順に見ていきます。
兄が管理してくれているので、あまり口出しできません。
管理してくれている方への感謝と、家賃や経費を見せてもらうことは両立します。数字が全員に見えていることが、共有アパートを揉めずに持つ、あるいは揉めずに売るための土台です。
この記事を読んで理解できること
- 共有しているアパートの家賃と経費の分け方
- 管理会社・修繕・入居者との契約を、誰がどう決めるか
- 共有アパートを売るときの全員の同意と、自分の持分だけを売る場合
- 反対する兄弟・連絡がつかない兄弟がいるときの進め方
- 入居者がいるまま、兄弟が遠方でも売る進め方
兄弟で話し合う前に、アパートがいくらで売れるかを確かめてください。共有名義のままでも査定します。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
この記事の目次
共有アパートの家賃は、どう分けるか
家賃は全部、管理している兄の口座に入っています。それでいいんでしょうか。
受け取る口座が1つなのは問題ありません。大事なのは、経費を引いた残りを持分どおりに分けているか、その記録を全員が見られるかです。
アパートを共有している場合、家賃は原則として持分に応じて分けます。
経費も、民法253条で「各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う」と定められています。
共有アパートの家賃の流れ
- 家賃が入る受け取る口座は1つでよい
- 経費を引く管理費・修繕費・税金など
- 持分で分ける残りを持分どおりに
- 記録を見せる収支を兄弟全員が見られる形に
| 項目 | 分け方の原則 | 根拠 |
| 家賃 | 持分に応じて分ける | 共有の原則。遺産分割前の家賃は、最高裁判所の判決(平成17年9月8日)で各相続人が相続分に応じて受け取るとされている |
| 管理費・修繕費・固定資産税・保険料 | 持分に応じて負担する | 民法253条1項 |
| 負担しない兄弟がいるとき | 1年以内に払わなければ、他の共有者は相当の償金を払ってその持分を取得できる | 民法253条2項 |
固定資産税の納税通知書は、共有者のうち1人に届くことが多いです。
ただし、税金は共有者全員が連帯して払う義務を負います(地方税法10条の2)。
1人が立て替えている場合は、他の兄弟の負担分を家賃の分配で精算するなど、ルールを決めておきましょう。
家賃の分け方で揉めないための取り決め
兄弟で次のことを書面にしておくと、あとの揉めごとが減ります。
- 家賃を受け取る口座と、分配する時期(毎月か、年に1回か)
- 家賃から先に引く経費の範囲(管理委託料、共用部の電気代、小さな修繕など)
- 管理をしている兄弟への手間賃を払うかどうか、いくらか
- 大きな修繕費が出たときの負担のしかた
- 毎年の収支を、いつ・どの形で全員に見せるか
家賃の申告は、兄弟それぞれが持分で行う
共有しているアパートの家賃収入は、共有者それぞれが自分の持分の分を、不動産所得として確定申告するのが一般的です。受け取り口座が兄の口座でも、自分の分の申告が必要になることがあります。申告のしかたは税理士に確かめてください。
家賃の分け方で揉める前に、売った場合の取り分も並べてみてください。全員に見せられる査定資料をお出しします。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
管理会社・修繕・入居者との契約は、誰がどう決めるか

屋根の修理が必要なのに、弟が費用を出したくないと言って止まっています。
修理の中身によって、必要な同意が違います。形を大きく変えない修繕なら、持分の過半数で決められます。
共有しているアパートで何かを決めるとき、民法は必要な同意を次のように分けています。
| 決めること | 必要な同意 | アパートでの例 |
| 保存(現状を守る) | 共有者それぞれが単独でできる(民法252条5項) | 雨漏りの応急処置、壊れた設備の修理 |
| 管理 | 持分の価格の過半数(民法252条1項) | 管理会社を選ぶ・替える、形や使い方を大きく変えない範囲の修繕、管理者を決める |
| 変更(形や使い方を大きく変える) | 共有者全員(民法251条1項) | 建物を壊す、大きく建て替える |
| 建物全体を売る | 共有者全員 | 買主へ売るには、全員が売買契約に署名する |
兄弟3人で3分の1ずつなら、2人がそろえば管理のことは決められます。
2人で2分の1ずつだと、2人の意見が合わないと過半数にならず、管理のことも決まりません。
2人で半分ずつの共有は、一番止まりやすい形です。
管理のことを決められるか
- 2人そろえば過半数
- 管理のことは決められる
- 意見が合わないと過半数にならない
- 一番止まりやすい形
入居者と新しく契約するとき
空いた部屋に新しい入居者を入れるのも、共有者で決める必要があります。
民法252条4項は、建物の賃貸借で期間が3年を超えないものは、持分の過半数で決められるとしています。
ただ、普通の賃貸借契約は、期間が過ぎても借地借家法で更新されて続くのが普通です。
そのため、新しく貸す契約を過半数だけで決めてよいかは、契約の形によって考え方が分かれることがあります。
管理会社に入居者募集を任せる前に、「空室が出たら管理会社に募集と契約を任せる」ことを兄弟全員で合意しておくと安心です。
心配な場合は司法書士・弁護士に確かめてください。
兄弟の1人がアパートの一室に住んでいるとき
共有しているアパートの一室に、兄弟の1人が住んでいることがあります。
民法249条2項は、共有物を使っている共有者の義務を定めています。
別に取り決めがない限り、他の共有者に対して、自分の持分を超える使用の対価を払う義務を負います。
「長男は家賃を払わずに住んでいる」という状態が、不満のもとになっていることも多いです。
その部屋の家賃をどう扱うかも、取り決めに入れてください。
窓口役は「共有物の管理者」として決められる
民法252条の2は、共有物の管理者を置けると定めています。
管理者は持分の過半数で選べて、管理に関することを行えますが、建物を壊すような変更には全員の同意が要ります。
兄弟の1人を管理者と決め、判断の範囲と報告のしかたを取り決めておくと、日々の入居者対応が止まらずに済みます。
共有物の管理者
- 選び方持分の過半数で選べる
- できること管理に関すること
- できないこと建物を壊すような変更(全員の同意が要る)
共有アパートを売るには、全員の同意が要る
私だけでも、自分の分を売ることはできますか。
自分の持分だけなら、他の兄弟の同意なしに売れます。ただ、入居者がいるアパートの持分だけを買う人は限られ、値段は大きく下がります。まずは全員で売る道を探すのがおすすめです。
共有のアパートを売る方法は、大きく分けて次の3つです。
| 売り方 | 必要な同意 | 中身 |
| アパート全体を売る | 共有者全員 | 全員が売買契約に署名し、代金を持分で分ける。一番高く売れやすい |
| 他の兄弟に持分を買い取ってもらう | 売る人と買う人 | 持ち続けたい兄弟が、売りたい兄弟の持分を買う。値段は兄弟で話し合う |
| 自分の持分だけを第三者に売る | 自分だけ | 他の兄弟の同意は要らないが、買い手が限られ、値段は大きく下がる |
自分の持分だけを売ると、買った人が新しい共有者として加わります。
家賃の分配や管理の話し合いに、兄弟ではない人が入ってくることになり、残る兄弟との関係がこじれやすくなります。
持分だけを売る場合の値段や流れは共有持分だけを売る方法でお話ししています。
共有名義の家を全員で売る進め方は共有名義の家を売る方法でお話ししています。
この記事では、入居者がいるアパートならではの点を中心にお話しします。
遺産を分ける前なら、売り方の選択肢が広い
親が亡くなってまだ遺産を分けていない(遺産分割の前)なら、分け方を遺産分割協議で決められます。
たとえば「アパートは長男が相続し、長男が他の兄弟にお金を払う(代償分割)」があります。
「アパートを売って代金を分ける(換価分割)」という分け方もあります。
共有のまま相続登記をしてしまう前に、分け方を決めるほうが、あとの手間は少なくて済みます。
ことばの説明:相続登記
亡くなった親の名義になっている家や土地を、受け継いだ人の名義に書き換える手続きです。
売り方の選択肢
まだ遺産を分けていない(遺産分割の前)?
相続したアパートの分け方と期限は、相続したアパートは売却か、修繕して持つかで詳しくお話ししています。
売りたい兄弟と、持ち続けたい兄弟。どちらにも同じ数字を見てもらえる査定資料をお出しします。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
反対する兄弟・連絡がつかない兄弟がいるとき

兄は「親の残したアパートを売るなんて」と言って、話を聞いてくれません。
反対の理由が「気持ち」なのか「金額」なのかで、進め方が変わります。多くは、安く売られるのが嫌、という気持ちが混ざっています。
兄弟の1人が反対していると、アパート全体は売れません。まずは、反対している理由を確かめてください。
| 反対の理由 | 話し合いの材料 |
| 安く売られるのが嫌 | 家賃から見た値段と、土地から見た値段の根拠を全員で見る |
| 家賃収入がなくなるのが嫌 | 持ち続けた場合の、修繕費を引いた10年分の手残りと、売った場合の取り分を並べる |
| 親の思い出がある | 買ったあと建物がどう使われるか(直して貸し続けるのか、壊すのか)を伝える |
| 管理している兄弟の手間が報われていない | これまでの管理の手間を、分け方に反映させる |
話し合いがまとまらないとき
話し合いでまとまらなければ、裁判所に共有物の分割を求める方法があります(民法258条)。
裁判所は、1人が他の兄弟の持分を取得してお金を払う方法を命じたり、それが難しければ競売を命じたりできます。
遺産を分ける前なら、家庭裁判所での遺産分割の調停・審判になります。
どれも時間と費用がかかり、兄弟の関係は元に戻りにくくなるので、弁護士に相談しながら進めることになります。
話し合いがまとまらないとき
- 理由を確かめる気持ちか、金額か
- 裁判所へ共有物の分割を求める
- 裁判所が命じる持分の取得とお金の支払い、難しければ競売
連絡がつかない兄弟がいるとき
共有者の中に行方の分からない人がいる場合は、2023年4月からの民法の制度が使えます。
裁判所の手続きを通じて、その人の持分を他の共有者が取得できます(民法262条の2)。
全員の持分とまとめて売ることもできます(民法262条の3)。
ただし、その持分がまだ遺産分割をしていない相続財産である場合は、相続開始から10年を過ぎないとこれらの手続きは使えません。
その持分は、まだ遺産分割をしていない相続財産?
親が亡くなって間もない場合は、不在者財産管理人の選任など別の手続きになることが多いので、司法書士・弁護士に相談してください。
管理のことについては、所在の分からない共有者を除いて決められるよう裁判所に求める手続きもあります(民法252条2項)。
持ち続けるなら、共有をやめて1人の名義にする
売らずに持ち続けると決めた場合も、共有のままにしておくのはおすすめしません。
兄弟の誰かが亡くなると、その人の持分はさらにその子どもたちに分かれ、共有者が増えていくからです。
持ち続けたい兄弟が他の兄弟の持分を買い取り、1人の名義にしておくと、修繕や将来の売却を1人で決められるようになります。
共有のまま/1人の名義にする
- 兄弟が亡くなると持分が子どもに分かれる
- 決めることが難しくなる
- 修繕を1人で決められる
- 将来の売却も1人で決められる
買い取る値段は、売れる値段を基準に話し合うと公平感が出やすくなります。
入居者がいるまま、兄弟が遠方でも売る進め方
兄は大阪、私は東京、アパートは神奈川です。集まるのは難しいです。
全員が集まらなくても進められます。窓口役を1人決めていただければ、書類は郵送などでやりとりできます。
共有のアパートは、入居者がいるまま売れます。
賃貸借契約と敷金はそのまま買主に引き継がれるので、入居者に出ていってもらう必要はありません。
| 進め方 | 中身 |
| 窓口役を決める | 不動産会社とのやりとりは1人にまとめる。決めたことは兄弟全員にメールなどで共有する |
| 家賃・経費・敷金をまとめる | レントロール(家賃の一覧表)、経費の明細、預かっている敷金の額を全員で確認する |
| 査定を受けて、全員で数字を見る | 家賃から見た値段と土地から見た値段を、同じ資料で見る |
| 相続登記を済ませる | 親の名義のままなら、売る前に相続人の名義に変える。司法書士に頼めば遠方でも進められる |
| 売買契約と決済 | 全員の署名と実印が要る。持ち回りや郵送で署名できることが多い |
| 代金と家賃・敷金の精算 | 決済日までの家賃、預かっている敷金を精算し、代金を持分で分ける |
入居者への通知や敷金の精算の手順は、入居者がいるアパートを売却する手順で詳しくお話ししています。
売ったときの税金は、兄弟それぞれが自分の持分で申告する
アパートを売って利益が出た場合の譲渡所得の税金は、共有者それぞれが自分の持分について申告します。相続税を払った人は、相続税の申告期限の翌日から3年以内に売ると、取得費加算の特例を使える場合があります(国税庁タックスアンサー No.3267)。詳しくはアパート売却の税金をご覧ください。税理士への相談もおすすめします。
リハコが、共有アパートのご相談で大事にしていること
兄弟のうち1人だけが相談しても、大丈夫ですか。
大丈夫です。まずは相談された方に数字をお出しします。そのうえで、ほかのご兄弟にも同じ資料を見ていただけるように整えます。
リハコは、古いアパートや空き家を買い取り、直して、その街で部屋を探している人に貸している会社です。
アパートはこれまでに23件買い取ってきました(うち神奈川14件)。
リハコが買い取ったアパート
買い取ったアパートは直して貸し続けるので、「親のアパートが壊されずに使われる」ことも、反対している兄弟にお伝えできます。
共有アパートのご相談では、次のことを大事にしています。
- 兄弟全員に見せられる形で、家賃から見た値段と土地から見た値段の根拠をお出しします
- 共有名義のまま、相続登記の前でもご相談いただけます
- 入居者がいるまま、空室や雨漏りがあるままで買い取ります
- 入居者の方への持ち主が変わるご案内は、買い取ったあとにこちらで行います
- 関東はリハコが直接買い取り、関東の外は提携先と進めます
共有のアパートは、決めないまま時間がたつほど、兄弟の誰かの相続で共有者が増え、決めることが難しくなっていきます。
持ち続けるにしても売るにしても、まず全員で同じ数字を見るところから、お話しさせてください。
共有物分割や所在の分からない共有者の手続きは、司法書士・弁護士の分野です。税金は税理士にご相談ください。
読み終えたら、まずやること
- 家賃と経費の記録を、兄弟全員に見せてもらう
- 親の名義のままか、相続登記が済んでいるか確かめる
- 入居者がいるまま、いくらで売れるか査定を頼む
よくある質問
兄弟で共有しているアパートは、自分の判断だけで売れますか?
アパート全体は売れません。丸ごと売るには、共有者全員の同意が要ります。
自分の持分だけなら同意なしに売れますが、買い手が限られ、値段は大きく下がります。
共有で相続したアパートの家賃は、兄弟でどう分ければいいですか?
経費を引いた残りを、持分に応じて分けるのが原則です。
管理費・修繕費・固定資産税なども、民法253条で持分に応じて負担すると定められています。
受け取る口座は1つでよいので、収支の記録を兄弟全員が見られる形にしておきましょう。
兄弟の1人がアパートの売却に反対しています。どうすればいいですか?
まず反対の理由が気持ちなのか、金額なのかを確かめてください。
持ち続けた場合の手残りと、売った場合の取り分を並べると、話し合いの材料になります。
まとまらなければ裁判所に共有物の分割を求める方法もありますが、時間と費用がかかります。
売り方の全体像は、築古アパートの売却・買取のまとめでご案内しています。
あわせて読みたい:親のアパートを相続放棄する前に、アパートの相続税が払えないときの対処法
兄弟で同じ数字を見るところから。共有名義のまま、まずいくらで売れるかを確かめましょう。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。




