30秒でわかる、この記事の答え
- 答え建物と土地を分けて、国税庁の算式で計算して足します
- 理由どちらも「人に貸している」ことで評価が下がる仕組みだから
- まずやること固定資産税の納税通知書と路線価図を手元に出す
あなたの状況から読む
- 自分で計算したい建物と土地の算式へ
- 空室が多い満室と半分空室の計算例へ
- 特例を使いたい小規模宅地等の特例へ
- 売るか迷っている評価額と売れる値段の違いへ
「親のアパートの相続税評価額を知りたい。自分で計算できるのか」
「評価額が3,000万円なら、3,000万円で売れるということ?」
結論からお伝えします。
アパートの相続税評価額は、建物と土地を分けて計算します。建物は「固定資産税評価額×(1−借家権割合×賃貸割合)」です。
土地は「自用地としての評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」です。
どちらも国税庁が算式を公開しているので、自分で目安を出せます。
ただし評価額は税金を計算するための値段で、売れる値段とは別物です。
築年数のたったアパートでは、評価額より高く売れることも、評価額より安くしか売れないこともあります。
相続税の申告にも、兄弟で分けるための話し合いにも、この2つの値段を並べて見ることが大切です。
この記事では、評価額の算式と計算例、空室があるときの注意、小規模宅地等の特例をお話しします。
最後に、評価額と売れる値段がずれる理由も見ていきます。
固定資産税の通知書に書いてある金額が、相続税の評価額ですか。
建物はほぼそうです。ただアパートは貸しているので、そこから借家権の分を差し引きます。土地は路線価で計算し直します。
この記事を読んで理解できること
- アパートの建物(貸家)の評価額の算式
- アパートの土地(貸家建付地)の評価額の算式と、路線価の見方
- 計算例と、空室があると評価額が上がる理由
- 小規模宅地等の特例で、土地の評価をさらに減らす仕組み
- 相続税評価額と、実際に売れる値段がずれる理由
評価額を出したら、実際に売れる値段も並べてください。家賃と土地値の両方から査定します。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
この記事の目次
アパートの評価額は「建物」と「土地」に分けて計算する
アパート全体で1つの評価額になるわけではないんですね。
建物と土地は別々に計算して、最後に足します。どちらも「人に貸している」ことで評価が下がる仕組みです。
アパートの評価額の出し方
- 建物(貸家)固定資産税評価額から計算
- 土地(貸家建付地)自用地としての評価額から計算
- 足す建物と土地の合計が評価額
アパートの相続税評価額は、建物(貸家)と土地(貸家建付地)に分けて計算します。算式は次のとおりです。
ことばの説明:貸家建付地
人に貸しているアパートなどが建っている土地のことです。貸している分だけ、土地の評価が下がります。
| 算式 | 出典 | |
| 建物(貸家) | 固定資産税評価額 ×(1 − 借家権割合 × 賃貸割合) | 国税庁 No.4602(財産評価基本通達89・93) |
| 土地(貸家建付地) | 自用地としての評価額 −(自用地としての評価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合) | 国税庁 No.4614(財産評価基本通達26) |
算式に出てくる言葉の意味は次のとおりです。
| 言葉 | 意味と調べ方 |
| 固定資産税評価額 | 毎年届く固定資産税の納税通知書(課税明細書)の建物の「価格」。家屋は固定資産税評価額に1.0を掛けて評価する |
| 借家権割合 | 人に部屋を貸していることによる減額の割合。国税庁の例では30% |
| 賃貸割合 | アパート全体の床面積のうち、亡くなった日に実際に貸していた部屋の床面積の割合 |
| 自用地としての評価額 | 誰にも貸していない更地として評価した土地の値段。路線価がある地域は路線価×面積(形などの補正あり)、ない地域は固定資産税評価額×倍率 |
| 借地権割合 | 路線価図の数字の右についているA〜Gの記号で分かる。A:90%、B:80%、C:70%、D:60%、E:50%、F:40%、G:30% |
路線価が付いていない地域(倍率地域)の土地は、倍率で評価します。
固定資産税評価額に、国税庁が地域ごとに定めた倍率を掛けて、自用地としての評価額を出します。
倍率も同じ「路線価図・評価倍率表」で調べられます。
路線価と借地権割合は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で住所から調べられます。
たとえば路線価図に「200D」とあれば、その道路に面した土地は1㎡あたり20万円、借地権割合は60%です。
路線価図に「200D」とあったら
- 200その道路に面した土地は1㎡あたり20万円
- D借地権割合は60%
路線価による評価のしかたは国税庁タックスアンサー No.4604に載っています。
自分で目安を出すときの手順
| 手順 | 使うもの |
| 建物の固定資産税評価額を確かめる | 固定資産税の納税通知書(課税明細書)の家屋の「価格」 |
| 土地の路線価と借地権割合を調べる | 国税庁「路線価図・評価倍率表」で、アパートが面している道路の数字と記号を見る |
| 土地の面積を確かめる | 登記簿や課税明細書の地積。実際の面積と違う場合は実際の面積で評価する(国税庁 No.4602) |
| 亡くなった日の入居状況を確かめる | レントロール、賃貸借契約書、通帳の入金記録。部屋ごとの床面積も |
| 算式に当てはめる | 建物と土地を別々に計算して足す。形がいびつな土地や角地は補正があるので、最終的には税理士に |
ことばの説明:レントロール
部屋ごとの家賃や入居している人などを一覧にした表です。亡くなった日の入居状況を確かめるのに使います。
ここで出るのはあくまで目安です。土地の形や道路との関係による補正、特例の使い方で金額は変わります。
申告に使う金額は、税理士に計算してもらってください。
路線価で出した評価額と、家賃から見た値段はずれることがあります。両方並べてお出しします。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
計算例:満室のアパートと、半分空室のアパート

自分のアパートで計算してみたいです。
では、よくある形で計算してみましょう。数字は説明のための例です。お手元の納税通知書と路線価図の数字に置き換えてください。
次の条件のアパートで計算します(説明のための例です)。
- 土地:路線価20万円(借地権割合D=60%)、面積150㎡、補正なし → 自用地としての評価額3,000万円
- 建物:固定資産税評価額600万円
- 借家権割合30%
満室のとき(賃貸割合100%)
| 計算 | 評価額 | |
| 建物 | 600万円 ×(1 − 30% × 100%) | 420万円 |
| 土地 | 3,000万円 − 3,000万円 × 60% × 30% × 100% | 2,460万円 |
| 合計 | 2,880万円 |
更地で持っていた場合の3,000万円と、貸していない建物の600万円の合計3,600万円に比べて、720万円低くなります。
これが「貸している」ことによる減額です。
半分が空室のとき(賃貸割合50%)
| 計算 | 評価額 | |
| 建物 | 600万円 ×(1 − 30% × 50%) | 510万円 |
| 土地 | 3,000万円 − 3,000万円 × 60% × 30% × 50% | 2,730万円 |
| 合計 | 3,240万円 |
空室が多いほど、評価額は上がります。減額されるのは「実際に貸している部分」だけだからです。
空室が多く家賃収入が少ないアパートほど相続税の評価が高くなる、という逆転が起きます。
計算例の評価額(説明のための例)
※土地は路線価20万円・150㎡、建物は固定資産税評価額600万円の例です。
一時的な空室は、貸しているものとして扱える
ずっと貸してきた部屋が、亡くなった日にたまたま空いていただけ、ということもあります。
その場合、その部屋も貸しているものとして賃貸割合を計算してよいとされています(国税庁タックスアンサー No.4614)。
一時的な空室かどうかは、いくつかの点を総合して判断します。
退去後すぐに次の入居者を募集していたか、空室の期間が1か月程度など一時的か、などです。
国税庁の質疑応答事例「貸家建付地等の評価における一時的な空室の範囲」に載っています。
反対に、長く募集を止めていた部屋や、物置として使っていた部屋は、一時的な空室とは認められにくくなります。
空室は賃貸割合に入るか
亡くなった日に空いていた部屋は、退去後すぐ次の入居者を募集していた?
高齢の親が自分で管理していて、空いた部屋を募集していなかったアパートでは注意が必要です。
親が一室に住んでいた、親族に無償で貸していた部屋があるとき
アパートの一室に親が住んでいた場合、その部屋は人に貸していないので、賃貸割合には入りません。
その部分の土地には、貸付事業用ではなく、自宅の敷地としての特例(特定居住用宅地等)が使えるかどうかを考えることになります。
また、子どもや親族に家賃を取らずに住まわせていた部屋もあります。
この部屋は借家権の目的となっている部屋とは扱われず、賃貸割合に入らないのが一般的です。
賃貸割合に入る部屋・入らない部屋
- 人に貸していた部屋入る
- 親が住んでいた部屋入らない。自宅の敷地の特例を考える
- 親族に無償で貸した部屋入らないのが一般的
親が自分で管理していたアパートでは、こうした部屋が混じっていることがあります。
部屋ごとに「誰が、いくらで住んでいたか」を税理士に伝えてください。
小規模宅地等の特例で、土地の評価をさらに減らす
アパートの土地にも、評価を下げる特例があると聞きました。
貸付事業用宅地等として、200㎡までの部分を50%減らせる特例があります。ただし条件があって、特に「申告期限まで持ち続けること」が大事です。
ことばの説明:申告期限
相続税の申告書を出す締め切りのことです。この特例は、それまで土地を持ち続けることが条件の一つです。
亡くなった方が貸していた土地(貸付事業用宅地等)は、評価額を減らせます。
200㎡までの部分を50%減らせる、小規模宅地等の特例です(国税庁タックスアンサー No.4124)。
先ほどの満室の例では、土地は150㎡、評価額は2,460万円でした。
面積が200㎡以内なので、2,460万円の50%、1,230万円が減ります。土地と建物の合計は1,650万円になります。
満室の例に特例を使うと
※説明のための例です。条件を満たすかは税理士に確かめてください。
| 主な条件 | 中身 |
| 持ち続けること | その土地を相続した人が、相続税の申告期限まで持ち続け、貸付の事業も続けていること |
| 分けていること | 原則として、申告期限までに遺産の分け方が決まっていること |
| 3年以内に貸し始めた土地 | 亡くなる前3年以内に新たに貸付を始めた土地は、原則として対象外(3年を超えて特定貸付事業を行っていた場合を除く) |
| 面積の上限 | 貸付事業用は200㎡まで。自宅の敷地などにも特例を使う場合は、面積の合計を調整する |
申告期限の前に売ると、特例が使えなくなるおそれ
相続税を払うためにアパートを早く売りたい場合でも、申告期限より前に売ると、その土地にはこの特例を使えなくなるおそれがあります。売る時期は、必ず税理士と相談して決めてください。
特例を使うか、いつ売るかを決めるために、売った場合の金額と時期の目安をお出しします。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
相続税評価額と、実際に売れる値段がずれる理由

評価額が2,880万円なら、2,880万円くらいで売れると思っていいですか。
そうとは限りません。評価額は国の決まった算式で出す値段、売れる値段は買う人が家賃と建物の傷みを見て決める値段なので、出し方がまったく違うんです。
相続税評価額と、実際に売れる値段は、次のように決まり方が違います。
| 相続税評価額 | 売れる値段 | |
| 誰が決めるか | 国税庁の算式(路線価・固定資産税評価額) | 買う人 |
| 何で決まるか | 土地の路線価、建物の固定資産税評価額、貸している割合 | 入っている家賃、空室、建物の傷み、これからの修繕費、土地としての値段 |
| 建物の傷み | 固定資産税評価額に反映される範囲だけ | 雨漏り・傾き・シロアリなどを細かく見て、直す費用を差し引く |
| 空室 | 空室が多いと評価額は上がる | 空室が多いと値段は下がる |
評価額より高く売れやすいアパート
- 満室に近く、周りの家賃相場から見て家賃が安定している
- 駅に近いなど、部屋を探す人が多い場所にある
- 土地の形がよく、将来建て替えにも使いやすい
評価額より安くしか売れないことがあるアパート
- 空室が多い、または全室空いている(評価額は上がり、売れる値段は下がる)
- 雨漏り・傾き・シロアリなど、大きな修繕が必要
- 旧耐震で買う人の融資がつきにくい
- 借地、再建築の制限など、土地に事情がある
築年数がたったアパートの値段は、家賃から見た値段と、土地から見た値段の2つで考えます。
詳しくはアパートの売却相場・買取相場でお話ししています。
空室が多いアパートの値段の考え方は空室だらけ・全空室のアパートは売却できるをご覧ください。
特に注意したいのは、空室が多く古いアパートです。評価額は空室が多いほど上がる一方、売れる値段は空室が多いほど下がります。
空室が多く古いアパートでは
- 減額は貸している部分だけ
- 空室が多いほど下がる
相続税を計算したら思ったより高く、いざ売って納めようとしたら評価額ほどの値段がつかない、ということが起こり得ます。
相続税を売却代金で払うつもりなら、評価額と売れる値段を早いうちに並べておいてください。
売れる値段が評価額より明らかに低いとき
評価額より明らかに安くしか売れない場合、不動産鑑定士の鑑定評価をもとに申告する方法が検討されることもあります。ただし、認められるかどうかは個別の事情によります。自分で判断せず、税理士に相談してください。
兄弟で分けるときは、どちらの値段で考えるか
兄弟でアパートをどう分けるか話し合っています。評価額で決めてもいいですか。
相続税の申告は評価額でしますが、兄弟で分ける話し合いは、売れる値段で考えるほうが揉めにくいです。1人がアパートを受け取るなら、他の兄弟に払うお金は売れる値段が基準になりやすいからです。
相続税の申告に使うのは相続税評価額です。
一方、遺産の分け方を話し合うときは、相続人全員が納得すれば、どの値段を使っても構いません。
アパートの場合、評価額と売れる値段が大きくずれることがあるので、次のように使い分けると話が進みやすくなります。
| 場面 | 使う値段 |
| 相続税の申告 | 相続税評価額(国税庁の算式どおり) |
| 1人が相続し、他の兄弟にお金を払う(代償分割) | 売れる値段を基準に、兄弟で合意した額 |
| 売って代金を分ける(換価分割) | 実際に売れた値段 |
兄弟の共有や分け方の進め方は、相続したアパートは売却か、修繕して持つかで詳しくお話ししています。
リハコが、評価額と売れる値段の両方をお出しする理由
評価額は税理士さんに出してもらいました。売れる値段はどこで聞けばいいですか。
私たちにお任せください。家賃から見た値段と、土地から見た値段の両方で、根拠をつけてお出しします。
リハコは、古いアパートや空き家を買い取り、直して、その街で部屋を探している人に貸している会社です。
アパートはこれまでに23件買い取ってきました(うち神奈川14件)。
自分たちで直して貸すので、買い取る値段は3つの数字から組み立てています。
「家賃がいくら入るか」「直すのにいくらかかるか」「土地としていくらか」です。
買い取る値段を組み立てる3つの数字
- 家賃いくら入るか
- 直す費用いくらかかるか
- 土地土地としていくらか
だから、評価額と売れる値段がなぜずれるのかも、数字でご説明できます。
- 入居者がいるまま、空室が多いまま、雨漏りがあるままで査定します
- 家賃から見た値段と土地から見た値段を、根拠つきでお出しします
- 兄弟で共有していても、相続登記の前でもご相談いただけます
- 関東はリハコが直接買い取り、関東の外は提携先と進めます
相続税評価額の計算や特例の使い方は、相続の中身によって変わります。申告は必ず税理士に相談してください。
リハコは、その相談や兄弟の話し合いで使える「売れる値段」をそろえるお手伝いをします。まずはお話しさせてください。
読み終えたら、まずやること
- 固定資産税の納税通知書(課税明細書)で、建物の「価格」を確かめる
- 亡くなった日に空いていた部屋と、募集していたかを書き出す
- 評価額と並べるため、売れる値段の査定を頼む
よくある質問
親のアパートの相続税評価額は、自分で計算できますか?
目安なら自分で出せます。国税庁が算式を公開しているからです。
建物は固定資産税評価額×(1−借家権割合×賃貸割合)で、土地は路線価などから計算します。
土地の形の補正や特例で金額は変わるので、申告に使う金額は税理士に計算してもらってください。
空室が多いと、アパートの相続税評価額は下がりますか?
いいえ、上がります。評価が減額されるのは、実際に貸している部分だけだからです。
ただし退去後すぐに募集していた一時的な空室は、貸しているものとして扱えることがあります。
評価額が3,000万円なら、3,000万円で売れるということですか?
そうとは限りません。評価額は税金を計算するための値段で、売れる値段とは別物です。
売れる値段は、買う人が家賃や空室、建物の傷み、これからの修繕費を見て決めます。
空室が多く古いアパートは、評価額より安くしか売れないことがあります。
相続税を払うために、申告期限の前にアパートを売っても大丈夫ですか?
注意が必要です。申告期限より前に売ると、小規模宅地等の特例が使えなくなるおそれがあります。
この特例は、貸していた土地の200㎡までの部分の評価を50%減らせるものです。
売る時期は、必ず税理士と相談して決めてください。
売り方の全体像は、築古アパートの売却・買取のまとめでご案内しています。
あわせて読みたい:アパートの相続税が払えないときの対処法、相続税対策で建てたアパートが重荷になったら
評価額と並べて判断できるよう、売れる値段を確かめましょう。入居者がいるままで構いません。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。



