30秒でわかる、この記事の答え
- 答え節税の役目は相続で終わり、今はただの賃貸事業です
- 理由評価額を下げることと、家賃で利益を出すことは別の目的だから
- まずやること家賃・経費・ローン返済から、毎年いくら残るかを出す
あなたの状況から読む
- なぜ苦しいか知りたい失敗と言われる理由へ
- 何から始めるか迷う最初に確かめる数字へ
- 手放すか迷っている持ち続けるか手放すかの判断へ
- ローンが残っているローンが残るときの進め方へ
「親が相続税対策で建てたアパートを相続した。空室が増えて、ローンだけが残っている」
「節税になると聞いていたのに、何のために建てたのか分からない」
結論からお伝えします。
相続税対策で建てたアパートは、相続が終わった時点で「節税」の役目を終えています。
そこから先は、家賃と修繕費とローン返済で成り立つ、ただの賃貸事業です。
持ち続けるか手放すかは、節税の話ではなく、これから毎年いくら残るかで決めてください。
相続税対策のアパートがうまくいかなかったと感じる方の多くは、建てた親の判断を責めたくなります。
その一方で、「親が残したものを手放していいのか」とも迷っています。
でも、相続した今のあなたが考えるべきことは、過去の判断の良し悪しではなく、これからの数字です。
この記事では、相続税対策のアパートで何が起きているのか、相続した今どこを見ればよいかをお話しします。
そのうえで、持ち続ける場合と手放す場合の進め方を順に見ていきます。
親は「子どものために建てた」と言っていました。手放すのは申し訳ない気がします。
相続税が減ったのなら、その役目はもう果たしています。これからは、アパートがあなたの暮らしを助けるのか、重荷になるのかで考えていいんです。
この記事を読んで理解できること
- 相続税対策でアパートを建てると、なぜ相続税が減るのか
- 相続税対策のアパートが「失敗」と言われる理由
- 相続した今、最初に確かめる数字
- 持ち続けるか、手放すかの判断のしかた
- ローンが残っているアパートを手放すときの進め方
持ち続けるか迷ったら、まずいま売ったらいくらかを知ってください。ローンが残っていても査定します。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
この記事の目次
相続税対策のアパートは、なぜ相続税を減らすのか
そもそも、アパートを建てるとなぜ相続税が減るんですか。
「人に貸している土地と建物」は、相続税の計算で評価が下がる決まりがあるからです。現金のまま持っているより、評価が低くなります。
相続税対策でアパートを建てる仕組みは、主に次の3つです。
| 仕組み | 中身 | 出典 |
| 建物の評価が下がる | 建物は固定資産税評価額で評価し、人に貸していると、さらに借家権の分(多くの地域で30%×貸している割合)を差し引く | 国税庁 No.4602 |
| 土地の評価が下がる | アパートの敷地は「貸家建付地」として、借地権割合×借家権割合×貸している割合の分を差し引く | 国税庁 No.4614 |
| 敷地の評価をさらに減らせる | 貸付事業用の宅地は、200㎡までの部分を50%減らせる(小規模宅地等の特例) | 国税庁 No.4124 |
たとえば、建物の評価額は、建築にかかった現金より低くなります。さらに貸していることで、土地・建物とも評価が下がります。
そのため、同じ財産を現金で持っているより、相続税の計算上の価額が小さくなります。
借入れで建てた場合は、借入金も遺産から差し引かれます。
そもそも相続税がかかるのは、遺産の合計が基礎控除を超える場合です。
ことばの説明:基礎控除
相続税がかからずに済む、遺産の額の枠のことです。遺産の合計がこの枠の中なら、相続税はかかりません。
基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です(国税庁タックスアンサー No.4152)。
相続税の基礎控除
親がアパートを建てたのは、この基礎控除を大きく超える財産があったからです。
計算のしかたは、国税庁の算式でそのまま確かめられます。
詳しい算式と計算例は、貸家・貸家建付地の評価として国税庁のタックスアンサーに載っています。
相続が近いときに貸し始めた土地は、特例が使えないことがある
小規模宅地等の特例は、相続開始前3年以内に新たに貸付事業に使い始めた宅地は、原則として対象外です(相続開始の日まで3年を超えて特定貸付事業を行っていた場合を除く。国税庁タックスアンサー No.4124)。親が亡くなる直前に建てたアパートでは、思っていたほど相続税が減っていないこともあります。
節税の役目を終えたアパートが、いま市場でいくらか。評価額とは別の、売れる値段をお出しします。
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相続税対策のアパートが「失敗」と言われる理由

相続税はたしかに減ったようです。でも、なぜこんなに苦しいのでしょう。
減ったのは「相続税の計算上の価額」です。アパートそのものが稼ぐ力とは別の話なんです。相続税対策として建てたアパートほど、この2つがずれやすいんです。
相続税対策のアパートが失敗と言われるのは、節税の効果と、賃貸事業としての採算が別物だからです。よくあるのは次の形です。
| 起きていること | なぜ起きるか |
| 空室が埋まらない | 「部屋を探す人が多い場所」ではなく「親が持っていた土地」に建てたため。駅から遠い、周りに同じようなアパートが多い |
| 家賃が下がり続ける | 新築のときの家賃が一番高く、築年数とともに下がる。同じ時期に建った近所のアパートと競り合う |
| 修繕費がまとめて来る | 築15〜30年で屋根・外壁・給湯器・給排水管などの交換が重なる。建てたときの計画に入っていないことが多い |
| ローンの返済が重い | 空室が増えても返済額は変わらない。家賃が下がると手残りが一気に減る |
| 相続人が管理できない | 親が自分で管理していた。子は遠方に住み、大家の経験もない |
これらは、相続税が減ったこととは関係なく起きます。相続税の評価額を下げることと、家賃で利益を出すことは、別の目的だからです。
建てたときの計画と、今の数字を比べる
親がアパートを建てたときの書類の中に、建築の見積もりと一緒に「収支計画」が残っていることがあります。
そこに書かれた家賃・入居率・修繕費の見込みと、今の実際の数字を並べてみてください。
- 家賃は、計画より何割下がっているか
- 入居率は、計画どおりか。空室が何か月続いている部屋があるか
- 修繕費は、計画に入っていたか。入っていない工事がこれから来るか
- ローンの返済は、あと何年残っているか
計画と今の数字のずれが大きいほど、これから先もずれは広がりやすくなります。
建てたときの計画と、今の数字を比べる
- 収支計画を探す建築の見積もりと一緒の書類
- 今の数字と並べる家賃・入居率・修繕費
- ずれを見る大きいほど、この先も広がりやすい
親の判断を責めるためではなく、これからの見通しを立てるために、一度比べておくことをおすすめします。
評価額が低いことは、売れる値段が低いことではない
相続税の計算では、アパートの土地も建物も「貸していること」で評価が下がります。
でも、売るときの値段は、買う人が「いくらの家賃が入り、あと何年使えるか」で決めます。
評価額が低いから売っても安い、とは限りません。反対に、空室が多く古いアパートは、評価額より安くしか売れないこともあります。
相続税の評価額/売るときの値段
- 国の算式で出す
- 貸していることで土地・建物とも下がる
- 買う人が決める
- 入る家賃と、あと何年使えるかで決まる
※評価額が低いから、売っても安いとは限りません。
貸しているアパートの評価のしかたは、相続したアパートは売却か、修繕して持つかでも触れています。
相続した今、最初に確かめる数字
何から手をつければいいのか分かりません。
まず、今のアパートが1年間でいくら残しているかです。通帳と管理会社の明細があれば計算できます。
相続したアパートの判断は、次の4つの数字がそろえばほぼ決まります。
| 確かめる数字 | どこで分かるか |
| 年間の家賃収入(今の入居状況で) | 管理会社の送金明細、レントロール(家賃の一覧表)、通帳 |
| 年間の経費 | 固定資産税・都市計画税、火災保険、管理委託料、共用部の電気代、退去時の原状回復費 |
| ローンの残高と年間の返済額 | 金融機関の返済予定表、残高証明 |
| これから10年の修繕費 | 管理会社や工事会社の修繕計画・見積もり |
「年間の家賃 − 経費 − ローン返済」がプラスなら、アパートは毎年お金を残しています。
マイナスなら、手元のお金で穴埋めしていることになります。そこに、これから10年の修繕費を重ねてみてください。
最初に確かめる手残り
「年間の家賃 − 経費 − ローン返済」はプラス?
家賃の手残りの計算のしかたは、アパート経営の失敗は4つの形でやってくるで詳しくお話ししています。
ローンに保険がついていないか確かめる
アパートローンの中には、借りた人が亡くなると残高が保険で払われる契約(団体信用生命保険)がついているものがあります。ついていれば、相続したあとのローン残高がなくなっている場合があります。まず金融機関に確かめてください。
手残りを計算したら、売った場合の手取りと並べてください。ローンの残りを返せるかも一緒に確かめます。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
持ち続けるか、手放すか。判断のしかた

持ち続けて、あと10年がんばれば楽になるでしょうか。
ローンが減っていくのは確かです。でも同じ10年で家賃は下がり、修繕は増えます。10年後の姿を数字で描いてから決めましょう。
持ち続けるか手放すかは、次の見方で整理すると決めやすくなります。
| 持ち続けるのに向いている | 手放すのに向いている | |
| 毎年の手残り | ローン返済後もプラスで、修繕費を積み立てられる | すでにマイナス、または修繕が来るとマイナスになる |
| 入居の見込み | 周りに部屋を探す人が多く、空室が埋まる | 募集しても空室が長く続いている |
| 管理 | 相続人の誰かが管理を続けられる、または任せられる管理会社がある | 相続人が遠方で、判断する人がいない |
| ローン | 売っても残高を返しきれない。持ち続けて減らすほうが現実的 | 売れば残高を返しきれる |
| 兄弟 | 1人が相続し、他の兄弟と話がついている | 共有で、意見がまとまらない |
兄弟で相続したときは、誰が引き受けるかを先に決める
相続税対策のアパートは、兄弟の1人に相続させる前提で建てられていることもあれば、特に決めずに建てられていることもあります。
兄弟の共有にすると、修繕や売却のたびに全員の同意が必要になり、判断がさらに遅れます。
持ち続けるなら、誰が引き受け、他の兄弟にどう報いるかを、遺産を分ける段階で決めておくのが理想です。
相続税の申告期限と、売る時期の関係
相続したアパートを売る時期には、税金の期限が関係します。
相続税の申告と納付は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です(国税庁タックスアンサー No.4205)。
アパートの敷地には、小規模宅地等の特例を使える場合があります。
条件は、相続した人が申告期限まで土地を持ち続け、貸付を続けていることです(国税庁タックスアンサー No.4124)。
一方、相続税を払った人が申告期限の翌日から3年以内に売れば、使える特例があります。
払った相続税の一部を、売ったときの取得費に足せる特例です(国税庁タックスアンサー No.3267)。
ことばの説明:取得費
アパートを手に入れたときにかかったお金のことです。相続したアパートでは、親が建てたときの値段を引き継ぎます。
つまり、手放すと決めたなら、「申告期限のあと、3年以内」が税金の面で考えやすい時期です。
相続税の申告期限と、売る時期
- 10か月以内相続税の申告と納付
- 申告期限まで小規模宅地等の特例を使うなら、土地を持ち続け貸付を続ける
- その後3年以内売れば、取得費加算の特例を使える
※どの特例を使うかは、税理士に確かめてください。
どの特例を使うかは相続の中身で変わるので、売る時期を決める前に税理士に相談してください。
「親の努力を無駄にしたくない」と感じたら
相続税対策のアパートを手放すことに、後ろめたさを感じる方は少なくありません。
でも、親がアパートを建てた目的が「相続税を減らし、子どもに財産を残すこと」だったなら、その目的はすでに果たされています。
いま手放して現金にすることは、親が残した財産を、子どもが使いやすい形に変えることでもあります。
建て替えや大規模修繕で立て直す前に
空室が埋まらないから、リフォームや建て替えで立て直そう、と考える方もいます。
ただ、その工事費を何年の家賃で取り戻せるかを先に計算してください。
取り戻す前に次の修繕が来るなら、工事をせずに売るほうが残ることもあります。
建て替え・修繕・売却の比べ方は築40年の老朽化したアパートはどうする?でお話ししています。
ローンが残っているアパートを手放すとき
ローンがまだ何千万円も残っています。それでも売れるんですか。
売った代金でローンを返しきれるなら、普通に売れます。返しきれない場合は、足りない分をどうするかを、売る前に金融機関と話しておく必要があります。
ローンが残っているアパートは、売った代金でローンを返し、抵当権(金融機関の担保)を消してから買主に引き渡します。
| 売った代金とローンの関係 | 進め方 |
| 代金でローンを返しきれる | 決済の日に代金でローンを返し、抵当権を消して引き渡す。残りが手取りになる |
| 代金では少し足りない | 足りない分を手持ちのお金で足して返す。足せないなら、持ち続けてローンを減らしてから売ることも考える |
| 代金では大きく足りない | 売る前に金融機関と相談が要る。返済の条件を見直せるかも含めて話す |
ローンが残っているからといって、売れないわけではありません。
実際には、売った代金で返しきれるかを確かめないまま持ち続けている方も少なくありません。
「ローンがあるから売れない」と思い込んでいるのです。
まず「いくらで売れるか」を知らないと、この表のどこにいるのかも分かりません。
ローンの残高証明と査定額を並べるところから始めてください。
売った代金で、ローンを返しきれる?
売ったときの税金(譲渡所得)は、親が建てたときの値段と日を引き継いで計算します(国税庁タックスアンサー No.3270)。
築年数がたったアパートは減価償却が進んでいるので、思ったより利益が出て税金がかかることがあります。
ことばの説明:減価償却
建物の値打ちが、古くなるにつれて毎年少しずつ減っていくとみなす計算です。進んでいるほど、売ったときの利益が大きく出やすくなります。
詳しくはアパート売却の税金をご覧ください。
ローンの残高と並べて判断できるよう、根拠つきの金額をお出しします。入居者がいるままで構いません。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
リハコが、相続税対策のアパートのご相談で大事にしていること
不動産会社に聞くと、結局「売りましょう」と言われそうです。
持ち続けたほうが残る数字なら、そうお伝えします。私たちは古いアパートを直して貸すことも仕事にしているので、持つ場合の数字もお出しできるんです。
リハコは、古いアパートや空き家を買い取り、直して、その街で部屋を探している人に貸している会社です。
アパートはこれまでに23件買い取ってきました(うち神奈川14件)。
相続税対策で建てられたアパートのご相談では、次のことを大事にしています。
リハコがお出しする数字
- いま売った場合売れる金額
- 直して貸し続けた場合持ち続けたときの数字
- 金額の根拠家賃から見た値段と、土地から見た値段
- 「いま売った場合の金額」と「直して貸し続けた場合の数字」の両方をお出しします
- 家賃から見た値段と、土地から見た値段の両方で、金額の根拠をご説明します
- 空室が多い、修繕が必要、ローンが残っている、という状態のままご相談いただけます
- 入居者がいるまま買い取り、買い取ったあとのご案内はこちらで行います
税金の特例や売る時期は、相続の中身で変わります。判断の前に、必ず税理士にご相談ください。
リハコは、その相談のための「売った場合の金額」をそろえるお手伝いをします。
親が建てたアパートを手放すのは、親の判断を否定することではありません。
相続税を減らすという役目を果たしたアパートを、次に使ってくれる人へ渡すことです。
まずは数字を並べるところから、お話しさせてください。
読み終えたら、まずやること
- 通帳と管理会社の明細から、1年間でいくら残っているかを出す
- ローンに保険がついていないか、金融機関に確かめる
- ローンの残高証明を用意し、今のまま査定を頼んで並べる
よくある質問
相続税対策で建てたアパートなのに、なぜこんなに苦しいのですか?
節税の効果と、賃貸事業としての採算が別物だからです。減ったのは相続税の計算上の価額で、稼ぐ力とは別の話です。
親の土地に建てたため空室が埋まらない、家賃が下がる、修繕費がまとめて来る、といったことが起きます。
親が節税のために建てたアパートを、手放してもいいのでしょうか?
手放して構いません。相続税が減ったのなら、節税の役目は相続が終わった時点ですでに果たしています。
持ち続けるか手放すかは、これから毎年いくら残るかで決めてください。
相続したアパートを売るなら、いつ売るのがよいですか?
税金の面では、相続税の申告期限のあと3年以内が考えやすい時期です。
相続税を払った人がこの期間に売れば、払った相続税の一部を取得費に足せる特例が使えます。
小規模宅地等の特例を使うなら、申告期限まで土地を持ち続け、貸付を続ける必要があります。
売り方の全体像は、築古アパートの売却・買取のまとめでご案内しています。
あわせて読みたい:アパートの相続税評価額の計算方法、アパートの相続税が払えないときの対処法
親が建てたアパートを、次に使ってくれる人へ。まずいくらで売れるかを確かめましょう。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。



