30秒でわかる、この記事の答え
- 答え親名義の家を売るのは親本人。子が勝手に売ることはできません
- 理由家は親の財産で、売るには本人の「売る」意思が要るから
- まずやること医師に、親が家を売ることを判断できる状態か相談する
あなたの状況から読む
- 物忘れが出てきた判断能力の段階の見分け方へ
- 親はまだしっかりしている親が売主になる売り方へ
- 親が判断できない成年後見と家庭裁判所の許可へ
- 兄弟が売るのに反対兄弟の同意と施設の費用へ
「母が施設に入って、実家が空いたまま。施設の費用にあてたい」
「父の物忘れが進んでいる。親の家を、子どもが売ることはできるのだろうか」
結論からお伝えします。
親名義の実家を売るとき、売主は親本人です。親に判断能力があれば、親が売主になり、子は委任状で手続きを手伝えます。
ことばの説明:委任状
「この手続きをあなたに任せます」と、本人が書いて渡す書類です。これがあれば、子が親の代わりに動けます。
判断能力がなければ、家庭裁判所が選んだ成年後見人が代わりに売ります。
ただ、住んでいた家を売るには家庭裁判所の許可が要ります(民法859条の3)。
施設に入って今は住んでいない家も、この許可の対象です。
つまり、最初に確かめるべきは「家の価値」より先に「親の判断能力がどの段階か」です。
親に、売ることを判断する力がある?
この記事では、段階ごとの売り方、成年後見と許可の手続き、兄弟との話し合い、施設費用との関係を順にお話しします。
親の家なのに、子どもが売ることはできないんですか。
家は親の財産なので、子が勝手に売ることはできません。ただ、親の判断能力がしっかりしているうちなら、手続きはずっと簡単です。早めに動くことがいちばんの近道です。
この記事を読んで理解できること
- 親の判断能力の段階で、誰が・どう売るかが決まること
- 親に判断能力があるとき:委任状での手続きと代金の扱い
- 判断能力がないとき:成年後見の申立てと、家庭裁判所の許可
- 判断能力があるうちにできる備え(任意後見・家族信託)
- 兄弟の同意は要るのか、施設の費用とどうつなぐか
- 住まなくなった家を売るときの税金の特例
親が施設に入って、実家が空いたまま。売るかどうか決める前に、まず金額と段取りを確かめてください。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
この記事の目次
まず確かめること:親の判断能力で、売り方が決まる
要介護の認定を受けていると、もう売れないんでしょうか。
要介護や施設に入っていること自体で、売れなくなるわけではありません。見られるのは、売ることの意味を本人がわかっているかどうかです。
不動産の売買は、売主本人が「売る」という意思をはっきり示せることが前提です。意思能力がない人の契約は無効になります。
ことばの説明:意思能力
自分のしようとしていることの意味がわかり、自分で決められる力のことです。家を売るなら、売る意味がわかっているかです。
決済のときには、司法書士が売主本人と会って、売る意思を確かめるのがふつうです。
親の状態を、次の3つのどれに当たるかで考えてください。
| 親の状態 | 売主・手続きする人・注意すること |
| 判断能力がはっきりしている | 売主:親本人 手続きする人:親本人。子が委任状で代理することもできる 注意すること:決済の前に、司法書士が本人の意思を確かめる |
| 物忘れがあり、日によって違う | 売主:親本人(意思を確かめられれば) 手続きする人:親本人と子 注意すること:医師の意見を聞き、確認できる日に手続きする。確かめられなければ成年後見へ |
| 判断能力がない | 売主:親本人(成年後見人が代わりに契約) 手続きする人:成年後見人 注意すること:後見の申立てと、家庭裁判所の許可が要る |
いちばん悩ましいのは真ん中の「あやしい」段階です。
司法書士が本人と話して、売る意思を確かめられなければ、決済は進められません。
進行する可能性があるなら、判断能力があるうちに動くことが、親にとっても家族にとっても負担を小さくします。
判断能力は、どうやって確かめる?
家族だけで「大丈夫だろう」と決めるのは危険です。
かかりつけ医や施設の医師に、家を売るという内容を理解して判断できる状態かを相談してください。
施設の職員の方も、ふだんの様子をよく知っています。
成年後見を申し立てる場合も、医師の診断書が必要です。
裁判所の案内では、申立てには作成から3か月以内の診断書を付けることになっています。
判断能力を確かめるとき
- 相談する相手かかりつけ医や施設の医師
- ふだんの様子施設の職員もよく知っている
- 後見の申立て作成から3か月以内の診断書
どちらに進むにしても、医師の意見を聞くことが最初の一歩です。
「後見人がいなくても売れる」という業者に注意
判断能力のない親の家を、成年後見を使わずに家族だけで売ることはできません。そうした売り方をすすめられたら、手続きの中身をよく確かめ、司法書士に相談してください。
親の状態が「あやしい」段階なら、時間との勝負になることがあります。金額と進め方を先に確かめておきましょう。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
親に判断能力があるとき:本人が売主、子は手伝う
母はしっかりしていますが、施設から出て手続きするのは難しくて。
それなら、お子さんが委任状をもらって代わりに動けます。お母さまに確かめていただくのは、大事なところだけで大丈夫です。
親に判断能力があるなら、親本人が売主になります。
施設にいて外出が難しい場合は、子が委任状をもらって代理人となり、査定や契約の手続きを進められます。
実務では、決済の前に司法書士が施設などで親と面談し、本人確認と売る意思の確認をします。
面談の日程は施設とも相談して決めてください。
親が売主のときの進め方
- 委任状子が代理人になる
- 査定・契約子が手続きを進める
- 面談司法書士が施設で意思を確かめる
- 代金親の口座で受け取る
代金は親の財産。受け取りと記録に注意
売った代金は親の財産です。親の口座で受け取り、施設の費用など親のために使います。
子の口座に移したり、子が自由に使ったりすると、贈与と見られたり、兄弟の間で揉めたりする原因になります。
何にいくら使ったかを記録し、領収書を残しておくと、あとで兄弟に説明するときにも役立ちます。
住まなくなった家を売るときの3,000万円の特別控除
国税庁のタックスアンサー(No.3302)に、自分が住んでいた家を売ったときの特例があります。
一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できるとしています。
以前に住んでいた家なら、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが条件です。
親が売主なら、使うのは親本人の確定申告です。また、親子や夫婦など特別の関係がある人に売った場合は対象になりません。
施設に入って住まなくなった家に使えるかどうかも含め、税理士か税務署に確認してください。
住まなくなった家を売るときの特例
※国税庁タックスアンサー No.3302。親子や夫婦など特別の関係がある人に売ると対象外。

判断能力がないとき:成年後見と家庭裁判所の許可
成年後見というのは、どのくらい時間がかかるものなんですか。
申し立てから後見人が決まるまで、裁判所の案内ではおおむね1〜2か月です。そのあと家を売るには、もう一度、裁判所の許可をとります。
親に判断能力がない場合は、家庭裁判所に成年後見の開始を申し立て、選ばれた成年後見人が親に代わって家を売ります。
成年後見の申立て
| 申し立てる人 | 本人、配偶者、四親等内の親族など |
| 申し立てる先 | 本人の住所地の家庭裁判所 |
| 費用 | 収入印紙800円と登記手数料の収入印紙2,600円、郵便切手。医師の鑑定が行われる場合は、その費用(福岡家庭裁判所・和歌山家庭裁判所の案内では5万〜10万円程度) |
| 期間 | 裁判所の案内では、おおむね1か月から2か月程度。鑑定があると延びることがある |
申立てのときに注意したいことが3つあります。裁判所の案内によると、候補者として書いた家族が必ず選ばれるわけではありません。
弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることもあります。
また、後見は本人の能力が回復するか、亡くなるまで続き、家族の希望でやめることはできません。
後見人への報酬は、家庭裁判所が決めて本人の財産から支払われます。
家を売るために始めても、売ったあとも後見は続きます。これを知ったうえで判断してください。
住んでいた家を売るには「居住用不動産処分の許可」
成年後見人が、本人の住まいである建物や敷地を売るには、家庭裁判所の許可が必要です(民法859条の3)。
裁判所の案内では、この「居住用不動産」には、今住んでいる家だけでなく次の家も含まれます。
病院や施設に入っていて今は住んでいないが、将来住む可能性がある家や、入所前に住んでいた家です。
施設に入った親の実家は、ほとんどがこれに当たります。そして、許可を得ずに売った場合、その売却は無効になります。
家庭裁判所の許可を得ずに売る?
| 申し立てる人 | 成年後見人(保佐人・補助人は、不動産を処分する代理権がある場合) |
| 申し立てる先 | 後見開始の審判をした家庭裁判所 |
| 費用 | 収入印紙800円と郵便切手 |
| 主な書類 | 申立書、売買契約書(案)、不動産の評価証明書、不動産業者の査定書、登記事項証明書 |
書類には、売買契約書(案)や査定書が入っています。つまり許可は、買主と価格がおおむね決まってから申し立てる流れになります。
裁判所は、売る必要があるか、価格は妥当か、代金をどう管理するかなどを見て判断します。
許可が出て売ったあとの代金は、成年後見人が本人の財産として管理し、施設の費用など本人のために使います。
家族が自由に使えるお金になるわけではないことも、知っておいてください。
許可を待ってくれる買主が必要
許可が出るまでは、代金を払って家を引き渡すことはできません。
そのため、「家庭裁判所の許可が出ることを条件に売買の効力が生じる」という条件付きの契約を結ぶのが一般的です。
住宅ローンを組んで家を探している個人の買主には、この待ち時間が負担になることがあります。
許可までの日程に合わせて動ける買主を見つけられるかが、後見での売却のひとつの山場です。
成年後見で実家を売る流れ
- 後見の申立て家庭裁判所へ1〜2か月程度
- 買主を決める許可を条件に契約
- 処分の許可家庭裁判所が判断
- 引き渡し代金は後見人が管理
※期間は裁判所の案内による目安。鑑定があると延びることがあります。
成年後見で売るときは、価格の根拠がはっきりした査定書が必要です。直したあとの使い道と直す費用から、価格の根拠をご説明します。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
判断能力があるうちにできる備え:任意後見と家族信託
父はまだ話ができます。今のうちに何かできることはありますか。
あります。売るならいま売る。すぐに売らないなら、任意後見や家族信託で備えておく。どちらも、判断能力があるうちにしかできません。
親がまだしっかりしているなら、成年後見を使わずにすむ方法があります。
| 方法 | どんなものか | ポイント |
| 今のうちに売る | 親本人が売主になって売る | 手続きがいちばん簡単。代金は親の財産として管理する |
| 任意後見 | 判断能力があるうちに、将来の後見人と任せる内容を公正証書の契約で決めておく | 法務省によると、家庭裁判所が任意後見監督人を選んだときから効力が生じる |
| 家族信託(民事信託) | 親が子と信託契約を結び、子が家の管理や売却を任される | 法務省のパンフレットでも、認知症などに備えた財産管理に親族間の信託が有効とされている |
任意後見や家族信託は、契約の中身をどう作るかが大切です。司法書士や弁護士など、扱いに慣れた専門家に相談してください。
任意後見/家族信託
- 任せる内容を公正証書の契約で決める
- 任意後見監督人が選ばれてから効力が生じる
- 親が子と信託契約を結ぶ
- 認知症などに備えた財産管理に使える
「いずれ施設に入るかもしれない」段階から準備しておきたい方は、親が亡くなる前にやることチェックリストも参考にしてください。
兄弟の同意と、施設の費用とのつなぎ方
弟が「売るのは反対だ」と言っていて、話が進まないんです。
親が存命なら、売主は親です。ただ、兄弟の理解がないまま進めると、あとで大きく揉めます。数字を共有するところから始めてください。
法律の上では、親が存命中に親の家を売るのに、兄弟の同意は要りません。売主は親本人だからです。
ただし実務では、兄弟の理解があるかどうかが大きく影響します。
成年後見の申立てでは、家庭裁判所が親族に意向を確かめることがあります(福岡家庭裁判所の手引き)。
また、売ったお金の使い方をめぐって、あとで争いになることもあります。
- 数字を共有する:施設の費用、家の固定資産税や管理の費用、売ったときの金額の目安を並べて見せる
- お金の流れを見えるようにする:代金は親の口座で管理し、使ったお金を記録する
- 形見や荷物の扱いを先に決める:誰が何を持ち帰るかを決めておく
- 決めたことを残す:話し合いの内容をメールや書面で共有する
施設の費用と、売るまでの時間
施設の費用にあてたい場合は、売れるまでの時間を見込んでおく必要があります。
親に判断能力があれば、売ると決めてから代金が入るまでは比較的早く進みます。
成年後見を使う場合は、申立てから後見人が決まるまでと、許可が出るまでの時間が加わります。
代金が入るまでの時間
- 親に判断能力がある売ると決めてから比較的早く進む
- 成年後見を使う後見人が決まるまでと、許可までの時間が加わる
その間の費用を家族が立て替えるなら、あとで親の財産から精算できるように、立て替えた日付と金額を記録しておいてください。
空き家のまま置いておくと
「親が戻るかもしれない」と空き家のまま置いておく間も、固定資産税や草刈り、見回りの手間はかかり続けます。
国土交通省によると、2023年12月の空家法の改正で「管理不全空家」が定められました。
市区町村から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地の特例が外れます。
親が戻る見込みと、家の傷み具合を家族で話し合って決めてください。
親が亡くなったあとに売る場合
親が亡くなってから相続人が売る場合は、相続した空き家の特例(国税庁 タックスアンサーNo.3306)が使えることがあります。
老人ホームなどに入所していた場合については、国税庁のNo.3307に説明があります。
要介護認定などを受けて入所していた場合も、一定の要件を満たせば対象になるとしています。
ただし、入所中に家を人に貸していた場合は対象外になるなど要件が細かく、適用期限は令和9年12月31日までです。
空き家のまま貸すかどうか迷っているときは、先に税理士に確認してください。
兄弟に説明するための金額の目安だけでもお出しします。売ると決めていなくても大丈夫です。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
親が施設に入った家を、リハコが買い取るとき

荷物もそのままですし、実家には何年も帰れていなくて。
そのままで大丈夫です。施設にいらっしゃる親御さまのご負担が少ないように、段取りを一緒に考えます。
千葉県君津市の築50年の家は、売主さまご本人が東京の施設に入り、管理が難しくなった家でした。
家は荷物の多い状態で、地元の不動産会社には「この場所だと売るのは難しい」と断られていました。
リハコは買い取り、解体せずに直しました。売主さまのもとには、直した家の写真のアルバムが届きました。
「新たなご家族が使っていただけると思うと、このうえない気持ちです」とお話しくださいました(売主さまの声)。

リハコは、空き家を買い取り、直して、その街で家を探している人に貸したり売ったりしている会社です。
これまでに空き家・築古物件を累計200戸以上再生してきました。
親御さまが長く暮らした家も、できるだけ壊さずに直し、次のご家族に使っていただくことを考えます。
親御さまが施設に入った家を売るときは、次のように進めます。
| ご相談 | 家の住所と状態、親御さまの今の様子、困っていることをお聞きします |
| 現地調査 | 荷物や建物の状態を確かめます。鍵をお預かりできれば、立ち会いは要りません |
| 金額のご提示 | 価格の根拠をご説明します。兄弟へのご説明にもお使いください |
| 手続きの段取り | 親御さまが売主になるなら司法書士との面談の日程を、成年後見なら家庭裁判所の許可までの日程を合わせます |
| 契約・決済 | 荷物はそのままで引き渡せます。代金は売主である親御さまの口座にお支払いします |
- 荷物が残ったまま・雨漏り・傾きがあっても、現況のまま買い取ります
- 解体も片付けも要りません
- 遠方の場合でも、鍵をお預かりできればスタッフが現地調査に伺います
- 査定・相談は無料です。全国対応(関東はリハコが直接買取、関東外は提携先と進めます)
遠方から手続きを進める方法は遠方の実家を売る進め方で、荷物の持ち出しは荷物が残ったまま空き家を売るでまとめています。
読み終えたら、まずやること
- かかりつけ医か施設の医師に、親の様子を相談する
- 施設の費用と家の固定資産税を書き出して、兄弟と共有する
- 売ると決める前に、金額の目安だけ査定を頼む
親御さまの家を、壊さずに次のご家族へ。売るかどうか迷っている段階でも、まずはお話しさせてください。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。




