30秒でわかる、この記事の答え
- 答え家賃・土地・近くで売れた値段の3つで値段を出します
- 理由同じ方法でも、置く数字で金額が大きく変わるから
- まずやること査定額より先に、使った数字と根拠を聞く
あなたの状況から読む
- 査定の仕組みを知りたい3つの査定方法へ
- 空室が多くて不安土地から値段を出す積算へ
- 1社だけ査定が高い高すぎる査定の見分け方へ
- まず目安を知りたい1分でできる概算査定へ
「アパートの査定を頼みたいが、会社によって金額がばらばらだと聞く」
「出てきた査定額が、高いのか安いのか判断できない」
結論からお伝えします。
アパートの査定は、3つの方法を組み合わせて行います。家賃から値段を出す「収益還元法」、土地と建物から値段を出す「積算」。
そして、近くで売れた値段と比べる「取引事例比較」です。
築年数が古いアパートほど、家賃から出す値段と土地から出す値段の両方を見て、根拠を確かめることが大切です。
査定額を受け取ったら、金額より先に「どの方法で、どんな数字を置いたか」を聞いてください。
宅地建物取引業法第34条の2第2項の定めがあります。
不動産会社は売る値段について意見を言うとき、その根拠を明らかにしなければなりません。
根拠を説明できない査定額は、それだけで疑ってよいのです。
この記事では、3つの査定方法の中身を計算例とあわせてお話しします。
査定書で確かめるところ、高すぎる査定の見分け方、査定の頼み方までを順にまとめます。
査定はどこに頼んでも同じだと思っていました。
同じ方法を使っていても、置く数字で金額が大きく変わります。仕組みを知っておけば、どの査定が正しいかをご自分で判断できます。
この記事を読んで理解できること
- アパートの査定に使われる3つの方法
- 収益還元法と積算の計算の仕方(計算例つき)
- 築古アパートで、査定額が会社ごとにずれる理由
- 査定書で確かめるところと、高すぎる査定の見分け方
- 査定の頼み方と、1分でできる概算の出し方
この記事の目次
アパートの査定は3つの方法でする
自宅を査定してもらったときは、近所の売れた値段と比べていました。アパートも同じですか。
アパートでは、それに加えて「家賃からいくらになるか」を必ず計算します。買う人が家賃を目的にしているからです。
不動産の値段の出し方は、国土交通省の不動産鑑定評価基準で3つに大きく分けられています。
原価法・取引事例比較法・収益還元法で、原則としてこれらを併用するとされています。
不動産会社の査定も、この3つの考え方をもとにしています。
| 方法 | 何から値段を出すか | アパートでの使われ方 |
| 収益還元法 | 家賃から経費を引いた利益と、買主が求める利回り | アパートの査定の中心。買主の投資家もこの計算で値段を決める |
| 積算(原価法) | 土地の値段と、建物を今建て直した場合の費用から古さの分を引いた額 | 銀行が融資を考えるときの目安にもなる。築古は土地の値段が中心になる |
| 取引事例比較 | 近くで実際に売れたアパートの値段 | 似た条件の取引が少ないので、ほかの2つの確かめとして使うことが多い |
住まいの査定では取引事例比較が中心です。
アパートは買う人が家賃を目的にした投資家なので、収益還元法が中心になり、積算と取引事例で確かめるという順番になります。
「査定」と「鑑定」の違い
不動産会社の査定は、「このくらいで売れそう」という見込みで、無料で受けられます。
一方、不動産鑑定士の鑑定評価は、不動産鑑定評価基準に沿って作られる有料の評価書です。
相続での分け方や裁判など、値段を第三者に示す必要があるときに使います。
売るための値段を知りたいなら、まずは査定で十分です。
査定と鑑定のちがい
- 不動産会社が出す
- 「このくらいで売れそう」という見込み
- 不動産鑑定士が作る評価書
- 相続や裁判など、第三者に示すとき
家賃から見た値段と、土地から見た値段。両方の数字で、あなたのアパートを査定します。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
収益還元法:家賃から値段を出す

利回りで値段が決まる、というのがよく分かりません。
「年にいくら残るアパートを、何%で回したい人が買うか」という計算です。例で見ると分かりやすいです。
収益還元法には、1年分の利益から出す「直接還元法」と、何年か先までの収入と売値を予想して出す「DCF法」があります。
アパートの査定でよく使われるのは、直接還元法です。
| 直接還元法の計算式 | 1年の純収益 ÷ 還元利回り = 収益価格 |
| 1年の純収益 | 満室で入る家賃から、空室・滞納で入らない分と、管理費・固定資産税・修繕費・保険料などの経費を引いた額 |
| 還元利回り | 買主が、この地域・この築年数・この構造のアパートに求める利回り |
計算例
1室の家賃が月5万円、8室の木造アパートで考えてみます(数字は説明のための例です)。
| 項目 | 計算 | 金額 |
| 満室の家賃 | 5万円×8室×12か月 | 480万円 |
| 空室・滞納の見込み | 満室の家賃の10%とする | −48万円 |
| 経費 | 管理費・固定資産税・修繕費・保険料 | −100万円 |
| 1年の純収益 | 480万円−48万円−100万円 | 332万円 |
| 還元利回り10%の場合 | 332万円÷10% | 3,320万円 |
| 還元利回り12%の場合 | 332万円÷12% | 約2,767万円 |
同じアパートでも、還元利回りを10%と置くか12%と置くかで、550万円以上の差が出ます。
査定額が会社ごとにずれる一番の理由は、この還元利回りと、空室・経費の置き方です。
ここで気をつけたいのが、満室の家賃480万円をそのまま10%で割る「表面利回り」の計算です。
これだと4,800万円になり、空室や経費を引いた計算より1,000万円以上高く見えます。
同じ8室のアパートでも、置く数字で値段が変わる
※1室月5万円・8室の説明のための例です。
収益物件サイトの健美家の「収益物件 市場動向 四半期レポート」(2026年4〜6月期)を見てみます。
一棟アパートの売り出し時の表面利回りは、築20年以上で全国9.48%、一都三県7.65%でした。
これは売り出し価格に対する表面利回りなので、そのまま査定に使うと高く出やすくなります。
築古アパートは、直す費用も引く
築年数が古いアパートでは、直す費用を収益価格からさらに差し引いて考えます。
空いている部屋を貸せる状態に直す費用や、近いうちに要る屋根・外壁の修繕です。
雨漏りやシロアリがあれば、その工事費も引きます。
差し引く直す費用
- 空いている部屋貸せる状態に直す費用
- 屋根・外壁近いうちに要る修繕
- 雨漏り・シロアリその工事費
直す費用をどれだけ正確に見積もれるかは会社によって違い、分からない会社ほど多めに引く傾向があります。
積算:土地と建物から値段を出す
空室が多くて家賃がほとんど入っていません。それでも値段はつきますか。
つきます。家賃で値段が出にくいアパートは、土地の値段が下支えになります。
積算は、土地の値段と建物の値段を足して出す方法です。
不動産鑑定評価基準の原価法では、建物は「今建て直したらいくらかかるか(再調達原価)」から、古くなった分を差し引いて求めます。
築年数の古い木造アパートは、建物の値段が小さくなるので、実際には土地の値段が中心になります。
土地の値段は、路線価で目安がつかめる
土地の値段の目安には、国税庁が毎年公表している路線価が使えます。
ことばの説明:路線価
道路ごとに決められた、その道に面する土地の値段です。国税庁が毎年公表していて、土地の値段の目安に使えます。
国税庁は路線価等についてで、路線価は「地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途に定めています」と説明しています。
| 例 | 計算 | 金額 |
| 土地の面積 | ― | 150㎡ |
| 前の道路の路線価 | ― | 1㎡あたり20万円 |
| 路線価で見た土地の値段 | 20万円×150㎡ | 3,000万円 |
| 時価の目安(80%で割り戻す) | 3,000万円÷0.8 | 3,750万円 |
実際の土地は、形・道路の幅・日当たりなどで上下します。
また、建物を壊して土地として売る前提なら、解体費を差し引きます。直して貸し続ける前提なら、建物の値段も残ります。
「壊す前提か、直す前提か」で積算の値段は大きく変わります。
壊す前提か、直す前提か
- 建物の値段は残らない
- 解体費は差し引かない
空室が多いアパートの値段が土地で決まる仕組みは、空室だらけ・全空室のアパートは売却できるで詳しくお話ししています。
家賃の値段と土地の値段、どちらを使うか
築古アパートの査定では、収益還元法で出した値段と、積算で出した値段を並べ、高いほうを軸に考えることがよくあります。
家賃がしっかり入っていれば収益価格が上に来て、空室が多ければ土地の値段が上に来ます。
家賃がしっかり入っている?
どちらか片方しか出していない査定は、もう一方の数字も聞いてみてください。
土地の値段も家賃の値段も、根拠つきでお出しします。数字の置き方もすべてお見せします。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
取引事例比較:近くで売れた値段と比べる
近くで同じようなアパートがいくらで売れたか、自分でも調べられますか。
おおよそなら調べられます。ただ、アパートは条件がそろう事例が少ないので、目安として使ってください。
取引事例比較は、近くで実際に売れた似たアパートの値段から、広さや築年数、駅からの距離などの違いを補正して値段を出す方法です。
不動産会社は、レインズ(不動産会社どうしの物件情報の仕組み)に登録された成約事例を使います。
ことばの説明:成約事例
実際に売り買いが決まった取引の記録です。売り出し中の「売りたい値段」ではなく、「売れた値段」を表します。
売主が自分で調べるなら、国土交通省の不動産情報ライブラリで、地域ごとの不動産の取引価格を見られます。
ただ、アパートは部屋数・家賃・入居状況がそれぞれ違うため、住まいのように「近くの事例=相場」とはなりません。
取引事例は、収益還元法と積算で出した値段が大きく外れていないかを確かめる物差しとして使うのが現実的です。
収益物件サイトに出ている売り出し中の物件は、「売れた値段」ではなく「売りたい値段」です。
売り出し価格を事例にした査定は、高く出やすいことを覚えておいてください。
事例にする値段のちがい
- レインズに登録された事例
- 物差しとして使える
- 収益物件サイトに出ている物件
- 事例にすると高く出やすい
査定書で確かめるところと、高すぎる査定の見分け方
3社のうち1社だけ、ずいぶん高い金額を出してきました。そこに任せていいのでしょうか。
高い理由が説明できれば、よい査定です。説明できなければ、売り出してから値下げを求められることがあります。
仲介の査定額は、「この値段で買います」という約束ではありません。
売却を任せてもらうために高めの金額を出し、売り出してから値下げを勧める、ということも起こります。
査定書を受け取ったら、次の点を確かめてください。
| 確かめるところ | 聞き方 | 高すぎる査定に多いこと |
| 使った家賃 | 今の家賃ですか、満室を想定した家賃ですか。空室は1室いくらで見ていますか | 空室も今の相場より高い家賃で埋まる前提になっている |
| 空室と経費 | 空室・滞納・管理費・修繕費を、いくら引いていますか | 表面利回りで割っているだけで、何も引いていない |
| 還元利回り | 何%で計算しましたか。その根拠は何ですか | 築年数や構造に対して低すぎる利回りを置いている |
| 土地の値段 | 土地は1㎡いくらで見ていますか。解体費は引いていますか | 土地の値段の根拠がない。壊す前提なのに解体費を引いていない |
| 直す費用 | どこを直す前提で、いくら見ていますか | 雨漏りや空室の原状回復が入っていない |
| 取引事例 | 使った事例は、成約した値段ですか、売り出し中の値段ですか | 売り出し中の物件を事例にしている |
高い査定そのものが悪いのではなく、根拠がない高い査定が危ないのです。
家賃・利回り・直す費用の3つの数字を答えられる会社は、根拠を持っています。
査定額の差が大きい理由や、会社の選び方はアパートの売却相場・買取相場でもお話ししています。
仲介の査定額と、買取の金額は別もの
仲介の査定額は「売れそうな値段」、買取の金額は「その会社が実際に買う値段」です。
仲介の査定額と買取の金額
- 仲介の査定額売れそうな値段
- 買取の金額その会社が実際に買う値段
- 比べ方いつ、手元にいくら残るか
仲介の査定額が高くても、売れるまでの期間や、売れずに値下げした場合を考えると、手取りでは買取と変わらないこともあります。
並べて比べるときは、「いつ、手元にいくら残るか」で比べてください。
査定を頼む前にそろえるもの
一括査定に申し込んだら電話が鳴りやまないと聞いて、踏み出せません。
何社も一度に頼む必要はありません。資料をそろえて、根拠を説明してくれる会社に絞って頼めば十分です。
査定の精度は、渡す資料で決まります。次のものがあれば、机上の査定でもかなり正確な金額が出せます。
- 部屋ごとの家賃・共益費・入居の時期・空室の一覧(レントロール)
- 固定資産税の納税通知書(土地と建物の評価額が分かる)
- 登記簿や、購入時・相続時の資料(土地の面積・建物の構造と築年数が分かる)
- 修繕の記録(いつ、どこを、いくらで直したか)
- 雨漏り・シロアリ・設備の故障など、分かっている不具合
そろわないものがあっても構いません。「分からない」ものは分からないと伝えれば、査定する側がその分を確かめます。
入居者に知られずに査定を受けたい場合は、まず書類だけで出す机上の査定を頼みます。
現地を見るのは建物のまわりと空室だけにしてもらう、という進め方もできます。
訪問査定と机上査定
| 机上査定 | 訪問査定 | |
| 使うもの | 書類・地図・路線価・周りの家賃 | 書類に加えて、建物と空室の状態 |
| 分かること | 家賃と土地から見たおおよその値段 | 直す費用まで入れた、より実際に近い値段 |
| 向いているとき | 売るかどうか迷っている。まず目安を知りたい | 売ることを具体的に考えている |
1分でできるアパートの概算査定と、リハコの査定

まずは、自分のアパートがだいたいいくらなのかだけ知りたいです。
全国のアパートで、1分でできる概算査定をお使いいただけます。質問に答えるだけで、その画面で目安の金額が分かります。
リハコのアパート査定では、全8問に答えます。所在地・土地の面積・部屋数・家賃・築年数・雨漏りや傾きの有無・接道・擁壁です。
ご連絡先を入力すると、約1分でその画面に査定額の目安が表示されます。
1分でできる概算査定
- 質問に答える所在地・家賃・築年数など全8問
- 連絡先を入れる約1分で画面に出る
- 目安を見る家賃と土地から見た値段
所在地から路線価を照会して、土地から見た値段(土地積算評価)を出します。
あわせて、家賃から収益還元で見た値段(収益還元評価)も出します。
全国のアパートが対象です。路線価が付いていない地域では、土地積算評価は出さず、収益還元評価だけを表示します。
概算は満室を想定した表面利回りをもとにした目安で、空室・修繕費・管理費は含んでいません。
実際の金額は、この記事でお話しした空室・経費・直す費用を入れて、担当者が根拠とともにお出しします。
リハコは、古いアパートや空き家を買い取り、自分で直して、その街で部屋を探している人に貸している会社です。
これまでにアパートを23件買い取り、そのうち14件が神奈川県のアパートです。
- 家賃から見た値段と、土地から見た値段の両方を出し、計算の数字をお見せします
- 直す費用は自社で見積もるので、雨漏りや空室も実際の工事費で差し引きます
- 入居者がいるまま、立ち退きのお願いなしで買い取ります
- 全国のアパートを査定します(関東はリハコが直接買取、関東外は提携先と進めます)
査定額は、あなたのアパートがこれまで生んできた家賃と、これから生む家賃の値段です。
その数字を、一つずつ一緒に確かめさせてください。
読み終えたら、まずやること
- 部屋ごとの家賃と空室を一覧にメモする
- 固定資産税の納税通知書を手元に出す
- 査定を頼むとき、使った数字と根拠を聞くと決めておく
よくある質問
アパートの査定額は、どうやって決まるのですか?
家賃から出す収益還元法、土地と建物から出す積算、近くで売れた値段と比べる方法の3つで決まります。
アパートを買うのは家賃が目的の投資家なので、収益還元法が中心になり、ほかの2つで確かめます。
不動産会社によって査定額がばらばらなのはなぜですか?
一番の理由は、還元利回りと、空室・経費をどう置くかが会社ごとに違うからです。
たとえば、利回りを10%と置くか12%と置くかで、同じアパートでも550万円以上の差が出ました。
築古では直す費用の見積もり方も違い、分からない会社ほど多めに引く傾向があります。
1社だけ査定額が高かったら、そこに任せていいですか?
高い理由を説明できるなら、よい査定です。説明できなければ注意してください。
仲介の査定額は買う約束ではなく、売り出してから値下げを勧められることもあります。
使った家賃、還元利回り、直す費用の3つの数字と、その根拠を聞いて確かめましょう。
売り方の全体像は、築古アパートの売却・買取のまとめでご案内しています。
あわせて読みたい:収益物件(一棟アパート)を売却する流れと期間、アパート売却にかかる費用一覧




