30秒でわかる、この記事の答え
- 答え本当の理由をそのまま伝え、物件の中の理由は資料で先に見せる
- 理由買主は売る理由から、物件に隠れた問題がないかを探しているから
- まずやること売る理由を「物件の外」と「物件の中」に分けて書き出す
あなたの状況から読む
- 買主に疑われて不安買主が理由を聞くわけへ
- 修繕や空室が理由理由ごとの答え方と資料へ
- 不具合を言いにくい隠して売るとどうなるかへ
- 知られずに売りたい知られずに売る方法へ
「買主に『なぜ売るんですか』と聞かれた。正直に言うと、足元を見られそうで怖い」
「修繕が近いから手放したい、なんて言ったら売れなくなるのでは」
結論からお伝えします。
買主が「なぜ売るのか」を聞くのは、売る理由から、物件に隠れた問題がないかを探すためです。
売主がすべきことは、本当の理由をそのまま伝え、その理由が建物や入居者に関わるものなら、中身を資料で先に見せることです。
「修繕が近いから」「管理が大変になったから」は、恥ずかしい理由ではありません。
隠したまま売ると、あとで値引きや契約不適合責任として返ってきます。
ことばの説明:契約不適合責任
売った物件が、契約で約束した内容と合っていないときに売主が負う責任です。あとで不具合の修理や代金を減らすよう求められます。
買主の疑いは、放っておくほど価格の値引きになります。反対に、先に答えておけば、疑いは「計算に入れる数字」に変わります。
検索すると「オーナーチェンジ物件はなぜ売られるのか」を、買う人の目線で書いた記事がほとんどです。
この記事では売る側に立って、買主が何を疑っているのか、理由ごとにどう答えればいいのかをお話しします。
本当の理由は「もう面倒を見きれないから」なんです。そんなことを言っていいのでしょうか。
大丈夫です。高齢や遠方で管理が難しくなった、という理由は、買主にとっては「物件そのものの問題ではない」という安心材料になります。
この記事を読んで理解できること
- 買主が「なぜ売るのか」を聞く本当のわけ
- 買主が「安心する理由」と「疑う理由」の違い
- 築古アパートの売主に多い、本当の売却理由
- 理由ごとの答え方と、先に見せる資料
- 理由を隠したまま売ると、どうなるか
売る理由は、そのままで構いません。入居者がいるままいくらになるかを先に確かめましょう。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
この記事の目次
買主が「なぜ売るのか」を聞く本当のわけ
買主から何度も理由を聞かれて、疑われているようで嫌な気持ちになりました。
投資家なら誰でも聞くことです。あなたを疑っているのではなく、物件を疑っているのだと考えてください。
オーナーチェンジ物件(入居者がいるまま売る物件)の買主は、ほとんどが家賃収入を目的にした投資家です。
投資家が一番おそれているのは、「売主だけが知っている悪い情報」をつかまされることです。
家賃も入っていて、利回りも悪くない。それなのに、なぜ持ち主は手放すのか。
ことばの説明:利回り
物件の値段に対して、1年に入る家賃がどれくらいかを表す割合です。預金の金利のように、投資家が物件を比べる目安になります。
買主はそこに、次のような理由が隠れていないかを探しています。
- 屋根・外壁・給排水管など、大きな修繕の時期が近い
- 空室が増えてきた、家賃を下げないと入居が決まらなくなった
- 家賃を滞納している入居者や、近所とトラブルのある入居者がいる
- 雨漏り・シロアリ・傾きなど、建物に不具合がある
- 周りに競合のアパートが増えた、近くの大きな工場や学校がなくなる
つまり「なぜ売るのか」という質問は、「この物件に、買ったあとで困ることはないか」という質問の言い換えです。
質問の意味が分かれば、答え方も決まります。大事なのは、理由そのものより、次のように示せるかどうかです。
「買ったあとで困ることは、これとこれです。それ以外はありません」
「安心する理由」と「疑う理由」
買主の受け止め方は、理由が「物件の外」にあるか「物件の中」にあるかで大きく変わります。
| 理由の種類 | 例 | 買主の受け止め方 |
| 物件の外にある理由 | 相続した、高齢で管理が難しい、遠方に引っ越した、家族で分けるため現金にしたい、ローンを返し終えて区切りをつけたい | 物件そのものの問題ではないので、安心しやすい。ただし本当にそれだけかは確かめる |
| 物件の中にある理由 | 修繕費が重い、空室が増えた、入居者のトラブル、建物の不具合 | その問題が価格にいくら響くかを計算する。中身が見えないと多めに見積もる |
| 理由が言えない・あいまい | 「なんとなく」「そろそろ」 | 何か隠していると疑い、値引きを大きく求めるか、話を見送る |
いちばん損をするのは、3つ目の「あいまい」です。
本当は物件の外の理由で売るのに、うまく説明できないせいで、物件の中に問題があると思われてしまう。
こういうすれ違いは、準備だけで防げます。
理由の種類で、買主の受け止め方が変わる
- 物件の外の理由物件の問題ではないので、安心しやすい
- 物件の中の理由価格にいくら響くかを計算する
- あいまいな理由何か隠していると疑われ、値引きが大きくなる
築古アパートの売主に多い、本当の売却理由

理由が1つではないんです。年齢のこともあるし、修繕費のこともあるし。
それがふつうです。築古アパートの売却理由は、たいてい2つか3つが重なっています。
築年数がたったアパートの大家さんからご相談を受けていると、売る理由が1つだけ、ということはほとんどありません。
多いのは、次のような重なり方です。
| 重なり方 | よくある事情 |
| 年齢と修繕 | 70歳前後で自主管理をしてきたが、外壁や屋根の見積もりが届き、お金も気力も出せない |
| 相続と兄弟 | 親から継いだが経営の経験がなく、兄弟で分けるために現金にしたい。書類が手元にない |
| 手残りと本業 | 家賃からローンを返すと手残りがほとんどなく、修繕のたびに給料から補っている |
| 空室と場所 | 周りに新しいアパートが増え、家賃を下げても空室が埋まりにくくなった |
どれも、何十年もアパートを持っていれば誰にでも起きることです。
「修繕の前に手放したい」は、隠すべき理由ではなく、築古アパートを売る人の多くが持っているまっとうな理由です。
大事なのは、重なっている理由のうち、どれが「物件の外」でどれが「物件の中」かを自分で分けておくことです。
外の理由はそのまま伝え、中の理由は次の章のように資料と一緒に伝えます。
理由の伝え方
その理由は「物件の中」のこと?
うまくいかなくなったアパートが手残りを失っていく形は、アパート経営の失敗は4つの形でやってくるでもお話ししています。
理由ごとの答え方と、先に見せる資料
具体的には、どう伝えればいいでしょうか。
理由を一言で伝え、そのあとに「だから、この資料を用意しました」と続けてください。疑いに先回りするのがコツです。
買主への答え方は、「理由」+「その理由から買主が疑うこと」+「疑いに答える資料」の3点セットで考えます。
買主への答え方
- 売る理由一言で伝える
- 買主が疑うこと理由から何を心配するか
- 先に見せる資料疑いに答える記録や写真
| 売る理由 | 買主が疑うこと・先に見せるもの・伝え方の例 |
| 高齢で管理が難しい | 買主が疑うこと:管理が行き届かず、見えない傷みがあるのでは 先に見せるもの:修繕の記録、建物の写真、入居者からの苦情の有無 伝え方の例:「年齢的に管理を続けるのが難しくなりました。直した記録はこちらです」 |
| 相続した | 買主が疑うこと:前の持ち主しか知らない問題があるのでは 先に見せるもの:レントロール、賃貸借契約書、固定資産税の通知書。分からないことは「不明」と書く 伝え方の例:「親から相続しました。分かる範囲の資料をそろえ、分からない点はそのように書いています」 |
| 大きな修繕が近い | 買主が疑うこと:修繕費が価格に入っていないのでは 先に見せるもの:修繕の見積書、または直すべき場所の写真 伝え方の例:「屋根と外壁の修繕が必要です。見積もりはこの金額でした」 |
| 空室が増えた | 買主が疑うこと:家賃を下げても埋まらないのでは 先に見せるもの:空室の期間、募集している家賃、周りの似た部屋の家賃 伝え方の例:「2室が空いています。募集家賃はこの金額です」 |
| 滞納・トラブルがある | 買主が疑うこと:ほかにも問題が隠れているのでは 先に見せるもの:滞納の金額と期間、やりとりの記録 伝え方の例:「1室で滞納があります。金額と経過はこちらです」 |
「修繕が近い」「空室が増えた」と伝えると、その分は値段に反映されます。ですが、それは隠しても同じです。
買主は建物を見て、修繕費や空室を自分で見積もります。見積もりが分からなければ、買主は安全のために多めに引きます。
資料を出せば、引かれるのは実際の金額だけで済みます。
資料を出すと、引かれる金額が変わる
- 買主は安全のために見積もりを多めにする
- 修繕費や空室を計算に入れて話が進む
室内を見せられないときの答え方
入居中の部屋は、中を見せられないのがふつうです。その場合は、別の形で補えます。
空室があればその部屋を見てもらう、外廊下・階段・屋根・外壁の写真をそろえる、といった方法です。
入居者から修理の依頼があった記録を見せるのも有効です。
見せられない理由も「入居中のため」とはっきり伝えれば、隠しているとは受け取られません。
資料がほとんど手元にないとき
親から相続した、長く自主管理をしてきた、という場合、資料がそろわないことはよくあります。
そのときは、通帳の入金記録から家賃の一覧を組み立て直し、分からないことは「分からない」と書いてください。
分からないことを正直に書くのは、何も書かないよりずっと信用されます。
レントロールの作り方や引き継ぎの書類は入居者がいるアパートを売却する手順にまとめています。
ことばの説明:レントロール
部屋ごとの家賃や入居の状況をまとめた一覧表です。アパートの家計簿のようなもので、通帳の入金記録から作り直せます。
家庭の事情まで話す必要はない
正直に伝えるといっても、病気、離婚、借金の返済、兄弟の不仲といった家庭の事情まで細かく話す必要はありません。
買主が知りたいのは、あくまで「物件に問題があるかどうか」です。
「家庭の事情で現金が必要になりました」「家族で話し合って手放すことにしました」と一言添えれば、物件の外の理由だと伝わります。
反対に、物件の中の理由(修繕・空室・入居者・建物の不具合)は、どれほど言いにくくても省かないでください。
線を引く場所は「自分の事情」か「物件の事情」かです。物件の事情は全部、自分の事情は必要なだけ。
どこまで話すか
- 病気・離婚・借金・兄弟の不仲など
- 一言添えれば十分
- 修繕・空室・入居者・建物の不具合
- 言いにくくても省かない
これが、売主を守りながら買主の信用も得られる伝え方です。
資料がそろっていなくても大丈夫です。分かる範囲をお聞きし、足りない部分は一緒に組み立てます。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
理由を隠したまま売ると、どうなるか
雨漏りのことは、聞かれなければ言わなくてもいいのでは……。
おすすめしません。売ったあとに分かれば、値段を下げてほしい、直してほしい、と求められることがあります。
売主が知っている不具合を伝えずに売ると、売ったあとで責任を問われることがあります。
民法第562条では、引き渡した物件が契約の内容に合っていないとき、買主は売主に修理などを求められると定めています。
第563条では、代金を減らすよう求められると定めています。
「責任は負わない」という特約をつけて売ることもできます。
ただし民法第572条では、売主が知りながら告げなかった事実は、特約があっても責任を免れないと定めています。
雨漏りやシロアリを知っていたのに黙っていた場合、特約は守ってくれません。
また民法第566条では、買主が不具合を知ってから1年以内に売主に知らせれば、これらの請求ができるとしています。
隠して売ったときに関わる民法の決まり
- 第562条買主は修理などを求められる
- 第563条代金を減らすよう求められる
- 第572条知りながら告げない事実は、特約でも責任を免れない
- 第566条知ってから1年以内に知らせれば請求できる
売ったあとも長く気にかかることを考えると、知っていることは先に伝えて、値段に入れてしまうほうが安心です。
| 先に伝えて売る | 隠して売る | |
| 値段 | 不具合の分だけ、はじめから下がる | はじめは高く見えるが、見つかれば値引き・修理を求められる |
| 売ったあと | 伝えた不具合で責任を問われにくい | 知っていたのに黙っていたことは、特約でも免れない |
| 買主との関係 | 信用されて、話が早く進む | 見つかった時点で、ほかの点まで疑われる |
知っている不具合を先に書き出し、売買契約書や重要事項説明の中に書いてもらうことが、売ったあとの自分を守ることになります。
実際の契約の書き方は、仲介する不動産会社や弁護士にご確認ください。
入居者や近所に知られずに売りたいとき
売ることを入居者や近所に知られたくありません。理由を話すと広まりそうで。
売る理由は買主にだけ伝えれば十分です。広告の出し方も、売り方で選べます。
買主に伝える売却理由は、物件の広告に書く必要はありません。買主が具体的に検討を始めた段階で、担当者を通じて伝えれば足ります。
気をつけたいのは、物件情報がどこまで広がるかです。
宅地建物取引業法第34条の2は、専任媒介契約を結んだ不動産会社の義務を定めています。
国土交通大臣が指定する流通機構(レインズ)に、物件を登録しなければなりません。
レインズは不動産会社どうしで物件を共有する仕組みなので、一般の人が見るものではありませんが、多くの会社に情報が回ります。
そのうえで各社がインターネットに広告を出すと、入居者の目にふれることもあります。
売り方の選び方
入居者や近所に知られずに売りたい?
| 売り方 | 情報の広がり方 | 向いているとき |
| 仲介(広く売り出す) | レインズやポータルサイトで広く知られる | 時間をかけて、多くの買主から選びたい |
| 仲介(広告を控えてもらう) | 不動産会社に「ネット広告は出さない」などの希望を伝える | 知られたくないが、仲介で売りたい |
| 買取 | 買う会社と売主の間だけで話が進む | 入居者や近所に知られずに、早く終わらせたい |
入居者には、売る前に知らせる義務はありません。
民法第605条の3では、貸主の立場は入居者の承諾なしに買主へ移せると定めています。
売ったあとに、新しい持ち主と連名で「持ち主が変わりました」とお知らせすれば十分です。
入居者や近所に知られずに進めたい方は、その旨もお知らせください。買取なら広告は出ません。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
リハコは、売る理由をこう聞きます

買取の会社にも、なぜ売るのかを聞かれるんですか。
お聞きします。ただ、値段を下げるためではありません。売ったあとの入居者のこと、ご家族のこと、引き渡しの日取りを、売主さんの事情に合わせるためです。
リハコは、古いアパートや空き家を買い取り、自分で直して、その街で部屋を探している人に貸し続けている会社です。
これまでにアパートを23件買い取り、そのうち14件が神奈川県のアパートです。
リハコのアパート買取実績
私たちは、買ったあとの修繕も空室も自分で引き受けます。
「修繕が近い」「空室が多い」「雨漏りがある」といった理由は、直す費用として計算に入れるだけです。
理由を聞いて買うのをやめる、ということはありません。
- 入居者がいるまま、立ち退きのお願いなしで買い取ります
- 雨漏り・シロアリ・滞納・空室が多い状態でも、そのまま買い取ります
- 家賃から見た値段と、土地から見た値段の両方で、価格の根拠をお見せします
- 持ち主が変わったことの入居者へのご案内は、こちらで行います
「なぜ売るのか」と聞かれて言葉に詰まったのは、それだけ長く、このアパートと向き合ってきたからだと思います。
うまく言えなくても構いません。そのままの理由を、お話しさせてください。
読み終えたら、まずやること
- 売る理由を「物件の外」と「物件の中」に分けて書き出す
- 修繕の記録や見積書、家賃の分かる通帳など手元の資料を集める
- 知っている不具合(雨漏り・シロアリなど)を書き出す
よくある質問
買主に「なぜ売るのか」と聞かれたら、正直に答えたほうがいいですか?
正直に答えたほうがいいです。買主は売る理由から、物件に隠れた問題がないかを探しています。
理由が建物や入居者に関わるものなら、その中身を資料で先に見せてください。
「修繕が近いから売りたい」と言うと、売れなくなりませんか?
売れなくなるわけではありません。築古アパートを売る人の多くが持っている、まっとうな理由です。
見積書などの資料を出せば、値段から引かれるのは実際の金額だけで済みます。
雨漏りなど知っている不具合を、黙って売るとどうなりますか?
売ったあとに分かれば、修理や代金の減額を求められることがあります。
知りながら告げなかった事実は、責任を負わないという特約があっても責任を免れません。
売り方の全体像は、築古アパートの売却・買取のまとめでご案内しています。




