30秒でわかる、この記事の答え
- 答え現金が足りなければ、延納か、アパートを売って納めるのが現実的です
- 理由物納は、入居者の敷金の扱いで難しいことが多いから
- まずやること税理士に相続税の概算を出してもらう
あなたの状況から読む
- 期限が気になる期限と、払えないと起きることへ
- 分割で払いたい延納・物納が使えるかへ
- 売って納めたい売って納める段取りと特例へ
- 手放すか迷っている売るか持ち続けるかの決め方へ
「親のアパートを相続したけれど、預金がほとんどなく、相続税を払うお金がない」
「アパートを売って払うしかないのか。期限に間に合うのか」
結論からお伝えします。
アパートの相続税は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に現金で納めるのが原則です。
現金が足りなければ、分割で払う「延納」、物で納める「物納」、アパートを売って納める方法があります。
アパートの場合、物納は入居者の敷金の扱いで難しいことが多く、現実的には「延納」か「売って納める」のどちらかです。
売るなら、特例を失わない順番で段取りを組んでください。
相続税が払えない理由は、たいてい「遺産の大半がアパートで、現金が少ない」ことです。
家賃は毎月入っても、相続税は一度にまとめて来ます。
慌てて安く売ったり、逆に期限を過ぎて延滞税がかさんだりしないよう、10か月の使い方を先に決めることが大切です。
この記事では、払えないときに起きることと、延納・物納がアパートで使えるかをお話しします。
そのうえで、売って納める段取りと税金の特例、売るか持つかの決め方を順に見ていきます。
10か月あると聞いて、まだ大丈夫だと思っていました。
10か月は、アパートを売って納めるには短い期間です。最初の3か月で「いくら払うか」と「どうやって払うか」の見当をつけてください。
この記事を読んで理解できること
- 相続税の申告・納付の期限と、払えないときに起きること
- 延納・物納の条件と、アパートで使いにくい理由
- アパートを売って納めるときの、10か月の段取り
- 小規模宅地等の特例と取得費加算の特例を失わない売り方
- 売るか、延納して持ち続けるかの決め方
相続税の額が見えてきたら、アパートがいくらで売れるかも並べてください。入居者がいるまま査定します。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
この記事の目次
相続税の期限は10か月。払えないと何が起きるか
期限までに払えなかったら、アパートを取られてしまうんですか。
すぐに取られるわけではありませんが、延滞税が日数に応じて増え、督促を放っておくと差し押さえに進みます。払えないと分かった時点で動けば、選べる手はあります。
相続税の申告と納付の期限は、10か月以内です。
数えはじめは、亡くなったことを知った日(通常は亡くなった日)の翌日です(国税庁タックスアンサー No.4205)。
申告書は、相続人の住所地ではなく、亡くなった方の住所地の税務署に出します。
期限までに納めないと、利息にあたる延滞税が自動的にかかります。
延滞税は、法定納期限の翌日から納める日までの日数に応じて増えます(国税庁タックスアンサー No.9205)。
さらに督促を受けても納めないと、財産の差し押さえに進むことがあります。
期限までに払えないと起きること
- 期限を過ぎる申告と納付は10か月以内
- 延滞税が増える納める日までの日数に応じて
- 督促を放っておく差し押さえに進むことがある
大事なのは、「払えない」と「申告しない」を混同しないことです。お金が用意できなくても、申告書は期限内に出してください。
延納や物納の申請も、原則として申告期限までに出す必要があります。
亡くなったことを知った日から数える期限
- 3か月以内相続放棄をするかどうか決める
- 10か月以内相続税の申告と納付。延納・物納の申請もここまで
※相続放棄の期限は相続を知った時から数えます。
まず、いくら払うのかを出す
相続税がかかるのは、遺産の合計が基礎控除を超える場合です。遺産の合計は、借入金などを引いた額です。
ことばの説明:基礎控除
遺産の合計がこの額までなら、相続税がかからないという枠のことです。「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で出します。
基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です(国税庁タックスアンサー No.4152)。
アパートは、土地も建物も「貸している」ことで評価が下がる仕組みがあります。
評価の計算を終える前から「払えない」と決めつけず、税理士に概算を出してもらうのが最初の一歩です。
アパートの評価額の考え方は、相続したアパートは売却か、修繕して持つかでも触れています。
| 時期(亡くなってから) | やること |
| すぐ〜1か月 | 家賃の入金先・管理会社・ローン残高を確かめる。税理士を決める |
| 〜3か月 | 財産と借入の一覧を作り、相続税の概算を出す。払えるかどうかを見る。相続放棄をするならこの期限 |
| 〜6か月 | 払い方(延納・物納・売却・借入)を決める。売るなら査定を取り、兄弟の合意を固める |
| 〜10か月 | 遺産分割協議書を作り、申告と納付。延納・物納の申請書もここまでに出す |
兄弟で分け方が決まらなくても、申告は期限内に
遺産の分け方が兄弟でまとまらないまま10か月が近づくこともあります。その場合でも、申告と納付は期限内に済ませます。
いったん法律で決まった相続分で分けたものとして申告し、分け方が決まってからやり直す方法があります。
ただし、分け方が決まっていない状態では、小規模宅地等の特例などが原則として使えず、いったん多めに納めることになります。
あとで分け方が決まれば特例を受けられる手続きもありますが、書類の提出が必要です。
分け方がまとまらないときほど、早めに税理士に相談してください。
相続放棄の期限は3か月
借入金が大きく、アパートを持つほど損になる場合は、相続放棄という選択肢もあります。ただし期限は相続を知った時から3か月以内で、放棄するとアパート以外の財産も受け取れなくなります。相続税の期限(10か月)より先に来るので注意してください。
売るかどうか決める前に、売った場合の手取りを知っておくと、延納か売却かを数字で比べられます。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
延納と物納は、アパートで使えるか
分割払いや、アパートそのもので払う方法もあると聞きました。
どちらも条件があります。特に物納は、入居者から預かっている敷金があるアパートだと、そのままでは使えないことが多いんです。
現金で一度に払えない場合の制度として、延納(分割払い)と物納(物で納める)があります。
どちらも税務署長の許可が要り、条件を満たさなければ使えません。
| 延納(分割で払う) | 物納(物で納める) | |
| 主な条件 | 相続税額が10万円を超える/現金で一度に払うのが難しい/担保を出す(延納税額100万円以下かつ3年以下なら不要) | 延納でも現金で払うのが難しい/国内の財産で、決められた順位に従う/管理や処分に向かない財産でない |
| 期間・価額 | 不動産等の割合に応じて最長5〜20年。利子税がかかる | 原則として相続税の評価額で納めたことになる |
| 申請期限 | 原則として申告期限まで | 原則として申告期限まで(書類の提出期限は延長の制度あり) |
| 出典 | 国税庁 No.4211 | 国税庁 No.4214・相続税法43条 |
延納は、アパートの家賃で払っていく方法
延納は、相続財産に占める不動産の割合が大きいほど長く分割できます。
不動産等の割合が75%以上なら、不動産等にかかる税額は最長20年です(国税庁タックスアンサー No.4211)。
ただし利子税がかかり、担保も出す必要があります。担保には、相続したアパートそのものを出すこともできます。
ことばの説明:利子税
延納で相続税を分けて払うときに、利息のようにかかる税金です。延納を選ぶと、毎年の分割分とあわせて払っていきます。
延納は「家賃の手残りで毎年の分割分と利子税を払えるか」で考えてください。
空室が多い、大きな修繕が近い築古のアパートだと、手残りが分割分に届かず、途中で行き詰まることがあります。
延納に向くかの見分け方
家賃の手残りで、毎年の分割分と利子税を払える?
物納は、敷金がネックになる
物納には「管理や処分に向かない財産」は使えない決まりがあります。
国税庁はその例として、次の不動産を挙げています(国税庁タックスアンサー No.4214)。
「敷金の返還に係る債務その他の債務を国が負担することとなる不動産」です。
ただし、申請者が清算することを確認できる場合は除かれます。
入居者がいるアパートには、ほぼ必ず敷金の返還義務がついています。
物納するには、その敷金を自分で清算することなどが必要になり、手続きの負担は大きくなります。
また物納は、原則として相続税の評価額で納めたことになります(相続税法43条)。
評価額より高く売れるアパートを物納すると、その差の分だけ損をします。
延滞税より、つなぎの借入れが安いこともある
延納の許可が下りない、売却が期限に間に合わない、というときは、金融機関からの借入れで期限内に納め、あとで売った代金で返す方法もあります。延滞税・利子税・借入れの金利を比べて選んでください。
アパートを売って納めるときの段取り

売るとしても、10か月以内にお金にできるでしょうか。
仲介で買主を探すと、決まるまでの期間が読みにくいです。期限がある場合は、買取で日程を先に固める方法もあります。
アパートを売って相続税を納めるなら、売った代金が納付の期限までに入っている必要があります。
売る前に済ませることが多いので、逆算して動いてください。
| 順番 | 中身 |
| 遺産の分け方を決める | 誰がアパートを相続するか、売って分けるか(換価分割)を兄弟で決める。売るなら全員の合意が要る |
| 相続登記 | 亡くなった方の名義のままでは売れない。相続人の名義に変える(司法書士に依頼できる) |
| 査定と売り方を決める | 仲介で買主を探すか、買取業者に売るか。期限から逆算して選ぶ |
| 売買契約と決済 | 入居者がいるままなら、賃貸借契約と敷金は買主に引き継ぐ。決済日に代金を受け取る |
| 納付 | 受け取った代金で、期限までに相続税を納める |
入居者がいるまま売る場合の書類や手順は、入居者がいるアパートを売却する手順で詳しくお話ししています。
売る前に、小規模宅地等の特例を確かめる
アパートの敷地には、評価額を減らせる小規模宅地等の特例があります。
「貸付事業用宅地等」として、200㎡までの部分を50%減らせます(国税庁タックスアンサー No.4124)。
ただしこの特例は、その土地を相続した人が、相続税の申告期限まで持ち続け、貸付の事業も続けていることが条件です。
申告期限より前に売ってしまうと、その土地にはこの特例が使えなくなるおそれがあります。
遺産の分け方が申告期限までに決まっていることも、原則として必要です。
つまり「早く売って納めたい」と「特例で相続税を減らしたい」がぶつかることがあります。
どちらが得かは、特例で減る相続税と、売る時期を遅らせるための借入れや延納の負担を比べて決めます。
売買契約を結ぶ前に、必ず税理士に確かめてください。
申告期限の前に売る/申告期限まで持ち続ける
- 早く代金が入る
- 小規模宅地等の特例が使えなくなるおそれ
- 特例で200㎡まで評価額50%減の条件を満たせる
- 売るまでのつなぎ(借入れ・延納)が要ることも
※どちらが得かは、売買契約の前に必ず税理士に確かめてください。
売ったあとの税金と、取得費加算の特例
アパートを売って利益が出ると、相続税とは別に、売った翌年に譲渡所得の所得税・住民税がかかります。
ことばの説明:譲渡所得
アパートを売って出たもうけのことです。売った値段から、親が買ったときの値段(取得費)や売るための費用を引いて出します。
相続したアパートは、親が買った日と値段を引き継ぎます(国税庁タックスアンサー No.3270)。
このとき使えるのが、取得費加算の特例です(国税庁タックスアンサー No.3267)。
相続税を払った人が、申告期限の翌日から3年以内に売る場合に使えます。
払った相続税のうち売った財産にかかる分を取得費に足して、利益を小さくできます。
取得費加算の特例のしくみ
- 払った相続税売った財産にかかる分
- 取得費に足す申告期限の翌日から3年以内の売却
- 利益が小さくなる譲渡所得の税金が減る
相続税を払うために売る人ほど、使える可能性が高い特例です。
計算のしかたはアパート売却の税金でお話ししています。
期限から逆算して、いつまでに・いくらで売れるかをお出しします。相続登記の前からご相談いただけます。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
売るか、延納して持ち続けるか。決め方

親が大事にしてきたアパートなので、できれば手放したくありません。
その気持ちは大切にしてください。そのうえで、持ち続けたときに毎年いくら残るかを一度だけ計算してみましょう。残るなら延納、残らないなら売却が向いています。
延納して持ち続けるか、売って納めるかは、次の3つで比べると決めやすくなります。
| 比べること | 持ち続ける(延納)に向く | 売って納めるに向く |
| 毎年の手残り | 家賃から経費・ローン・延納の分割分と利子税を払っても残る | 分割分と利子税を払うと赤字になる |
| これからの修繕 | 10年以内に大きな修繕がない、または手持ちで払える | 屋根・外壁・給排水など大きな修繕が近い |
| 管理する人 | 相続人の誰かが近くで管理できる | 相続人が遠方で、管理を続けられる人がいない |
築年数がたったアパートでは、家賃は下がり、修繕費は上がっていくのが普通です。
延納の期間中に大きな修繕が来ると、分割分と工事費が重なります。
「相続税を払い終えたときに、アパートがどんな状態で残っているか」まで見て判断してください。
家賃と修繕費から持ち続けるかどうかを考える方法は、アパート経営の失敗は4つの形でやってくるでもまとめています。
一部の兄弟だけが売りたいとき
相続人が複数いて、1人は持ち続けたい、1人は売って相続税を払いたい、という場合もあります。
アパートを1人が相続し、その人が他の兄弟にお金を払う(代償分割)なら、払う側にまとまったお金が要ります。
アパートを売って代金を分ける(換価分割)なら、全員がそろって売ることになります。
兄弟で分けるときの2つの形
- 他の兄弟にお金を払う
- 払う側にまとまったお金が要る
- 全員がそろって売る
- 出発点は「いくらで売れるか」
どちらも、話し合いの出発点は「このアパートがいくらで売れるか」です。
売って納めるときに、買取が向いている場合
仲介と買取、どちらで売ればいいんでしょうか。
期限までの時間と、アパートの状態で決まります。時間があり、満室に近く状態もよければ仲介で買主を探す価値があります。期限が迫っている、空室や雨漏りがあるなら、買取で日程と金額を先に固めるほうが安心です。
相続税の納付のために売るときは、「いくらで売れるか」と同じくらい「いつ代金が入るか」が大事です。
仲介か買取かの見分け方
期限が迫っている、または空室や雨漏りがある?
| 仲介(買主を探す) | 買取(不動産会社が買う) | |
| 値段 | 買主が見つかれば、買取より高くなることが多い | 仲介より低くなることが多い |
| 代金が入る時期 | 買主が見つかるまで読めない。融資の審査で延びることもある | 金額と決済日を先に決めやすい |
| 築古・空室・雨漏り | 買主の融資がつきにくく、長引くことがある | 現況のまま買う会社なら、直さずに売れる |
| 入居者 | 入居者の案内を買主と調整する | 引き継ぎ後の案内は買主(買取業者)が行うのが一般的 |
アパートの値段が家賃と土地値の両方で決まる仕組みは、アパートの売却相場・買取相場で詳しくお話ししています。
期限に追われて、一番安い話に飛びつかない
期限が近いと、最初に出てきた金額で決めてしまいがちです。複数の会社に金額の根拠(家賃と土地値のどちらで見たか)を聞き、説明できる会社を選んでください。高すぎる査定で契約を取り、あとで下げる話もあるので、根拠のない高値にも注意が必要です。
相続税の期限に間に合う日程で、入居者がいるまま・雨漏りがあるままの金額をお出しします。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。
リハコが、相続税で困っているアパートのご相談で大事にしていること
売るしかないと思うと、足元を見られそうで怖いです。
だからこそ、金額の根拠を全部お見せします。家賃から見た値段と、土地から見た値段の両方です。持ち続けたほうがよい数字なら、そうお伝えします。
リハコは、古いアパートや空き家を買い取り、直して、その街で部屋を探している人に貸している会社です。
アパートはこれまでに23件買い取ってきました(うち神奈川14件)。
リハコのアパート買取
相続税の期限があるご相談では、次のことを大事にしています。
- 入居者がいるまま、空室や雨漏りがあるままで買い取ります。直してから売る必要はありません
- 相続税の期限から逆算して、決済日の目安を先にお伝えします
- 家賃から見た値段と、土地から見た値段の両方を、兄弟全員に見せられる形でお出しします
- 入居者の方への持ち主が変わるご案内は、買い取ったあとにこちらで行います
- 関東はリハコが直接買い取り、関東の外は提携先と進めます
税金の計算や特例が使えるかどうかは、相続の中身によって変わります。売る時期を決める前に、必ず税理士に相談してください。
登記は司法書士が担当します。
リハコは、税理士・司法書士と話すための「売った場合の金額」と「日程」の材料をそろえるお手伝いをします。
10か月は、迷っているとすぐに過ぎます。払えるかどうかが分からない段階でも構いません。
まずは数字をそろえるところから、お話しさせてください。
読み終えたら、まずやること
- 10か月の期限日(亡くなったことを知った日の翌日から)を書き出す
- 家賃の入金先・管理会社・ローン残高を確かめる
- 税理士に相続税の概算を頼み、売った場合の金額も査定で確かめる
よくある質問
相続税を払うお金がないとき、相続したアパートはどうすればいいですか?
延納で分割して払うか、アパートを売って納めるのが現実的な方法です。
物納という制度もありますが、入居者の敷金の扱いで難しいことが多いです。
期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
相続税を期限までに払えないと、アパートを取られてしまいますか?
すぐに取られるわけではありませんが、延滞税が日数に応じて増えていきます。
督促を受けても納めないと、差し押さえに進むことがあります。
お金が用意できなくても、申告書は期限内に出してください。
相続したアパートを、相続税の申告期限より前に売っても大丈夫ですか?
売ることはできますが、敷地の小規模宅地等の特例が使えなくなるおそれがあります。
この特例は申告期限まで持ち続け、貸付を続けることが条件で、200㎡まで評価額を50%減らせます。
どちらが得かは、売買契約の前に必ず税理士に確かめてください。
売り方の全体像は、築古アパートの売却・買取のまとめでご案内しています。
あわせて読みたい:アパートの相続税評価額の計算方法、相続税対策で建てたアパートが重荷になったら
相続税の納付に間に合うかどうか、まず金額と日程を確かめましょう。相続登記の前でもご相談いただけます。
査定・ご相談は無料です。2営業日以内にご連絡します。



