公務員の不動産投資
「5棟10室」の基準と許可の考え方
「公務員は副業禁止。不動産投資もやったら処分されるのでは」
「どこまでなら許可なしでできるのか、法律の根拠で知りたい」

(宅地建物取引士)
アパート14棟・戸建て41戸を自ら運用する現役投資家
先に、この記事の結論を3行で書いておく。
- 公務員でも不動産投資はできる|国家公務員は、戸建て5棟未満・アパート等10室未満などの規模なら、人事院の運用上「自ら営利企業を営むこと」に当たらない
- 賃料収入の基準は、2026年4月1日から年額500万円以上→1,000万円以上に変わった|古い情報のままの解説記事も多いので注意したい
- 基準を超える規模でも、管理を事業者に任せるなどの条件を満たせば承認を受けられる|地方公務員は、所属する自治体の基準を確かめる
この記事は、不動産投資に興味はあるが、公務員の兼業のルールが気になって踏み出せない方に向けて書いている。
根拠は、国家公務員法・人事院規則14-8・人事院の運用通知・地方公務員法の原文で確かめた。
上位の解説記事の多くは、賃料収入の基準を「年500万円」と書いている。しかし人事院の運用通知は2025年12月19日に改正され、2026年4月1日から基準が変わっている。

公務員は副業禁止だと聞いています。不動産投資なんてやったら、懲戒にならないか心配です。
規模の基準がはっきり決まっています。基準の範囲に収め、所属先のルールを確かめておけば、隠れてこそこそやる必要はありません。
この記事を読んで理解できること
- 公務員の不動産投資を縛る法律(国家公務員法103条・104条、地方公務員法38条)
- 人事院の運用通知が定める「5棟10室」の正確な中身
- 2026年4月からの賃料収入の基準(年1,000万円)と、床面積600平方メートルの例外
- 基準を超えるときの承認の条件と、申請に添える書類
- 地方公務員が確かめるべき、自治体ごとの許可の基準
- 公務員が戸建てを選ぶときの数え方と、名義・住民税の注意点
公務員は不動産投資をしてよいか|法律の枠組み
公務員の不動産投資は、法律で一律に禁止されているわけではない。禁止されているのは「自ら営利企業を営むこと」で、不動産の賃貸は一定の規模を超えたときにそれに当たる。
国家公務員法103条1項は、職員が「自ら営利企業を営んではならない」と定めている。
同じ条の2項で、人事院規則の定めにより承認を得た場合は、この禁止を適用しないとしている。報酬を得てほかの事業に従事する場合は、104条で許可が必要とされる。
| 法令 | 定めていること | 不動産投資との関係 |
|---|---|---|
| 国家公務員法103条 | 自ら営利企業を営むことの禁止。人事院規則の定めにより承認を得れば適用しない | 一定の規模を超える賃貸は「自ら営利企業を営むこと」として扱われる |
| 国家公務員法104条 | 報酬を得てほかの事業・事務に従事するときは許可が必要 | 他人の事業を手伝って報酬を得る場合などが対象 |
| 人事院規則14-8 | 承認できる場合の大枠と、承認の権限を所轄庁の長等に委ねること | 具体的な規模の基準は、人事院の運用通知で定めている |
| 地方公務員法38条 | 任命権者の許可なく自ら営利企業を営むことなどの禁止。許可の基準は人事委員会規則で定められる | 地方公務員は、所属する自治体の基準で判断する |
出典:e-Gov法令検索「国家公務員法」「地方公務員法」「人事院規則一四―八(営利企業の役員等との兼業)」
つまり、問題は「不動産投資をするかどうか」ではなく、どの規模までなら営利企業を営むことに当たらないかだ。
その線を具体的に引いているのが、次に書く人事院の運用通知である。
会社員の方へ:民間企業の場合は法律ではなく、勤務先の就業規則で判断します。考え方は「不動産投資は副業にあたる?」の記事でまとめています。
基準の範囲で、どんな物件から始められるか知りたい公務員の方へ
ご職業を伺ったうえで、規模の基準に収まる戸建て投資の組み方をご提案します。兼業の可否の最終確認は所属先でお願いしていますが、物件と数字のご相談は無料です。
「5棟10室」とは何か|人事院の運用通知の基準
「5棟10室」とは、人事院の運用通知が定める、不動産の賃貸が「自ら営利企業を営むこと」に当たるかの基準だ。独立家屋は5棟以上、それ以外の建物は10室以上で、営利企業を営むものとして扱われる。
人事院の「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」は、不動産と駐車場の賃貸について、次のどれかに当てはまる場合を「自営」に当たるとしている。
| 区分 | 自営に当たる規模 | 戸建て投資での読み方 |
|---|---|---|
| 独立家屋(戸建て)の賃貸 | 5棟以上 | 4棟までなら、この基準には当たらない |
| 独立家屋以外の建物の賃貸 | 貸せる独立した区画が10室以上 | アパートやマンションの部屋は、室数で数える |
| 土地の賃貸 | 賃貸契約が10件以上 | 戸建て投資では通常関係しない |
| 駐車場の賃貸 | 建物の駐車場・機械設備のある駐車場、または10台以上 | 敷地内の駐車場を別に貸す場合は台数に注意 |
| 特定の用途 | 娯楽施設の設備がある、旅館・ホテルなどに使う建物 | 住まいとして貸す戸建てなら該当しない |
| 賃料収入 | 年額1,000万円以上(2026年4月1日から) | 建物の賃貸だけで床面積の合計が600平方メートル未満なら、この基準は当てはめない |
出典:人事院「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」(昭和31年職職-599、最終改正 令和7年12月19日職審-451)第1項関係第4項第2号
運用通知には、これらと「同様の事情にあると認められる場合」も自営に当たる、という定めもある。
戸建てとアパートの部屋を組み合わせて持つ場合などは、それぞれの基準の手前でも判断が分かれうる。迷う規模になったら、所属先の人事担当に確かめておきたい。
「5棟10室未満なら大丈夫」と覚えておけばいいんですね。
規模の目安としてはそのとおりです。ただ、賃料収入や駐車場の基準もあり、地方公務員は自治体ごとに基準が違います。数だけで判断しないようにしてください。
2026年4月から、賃料収入の基準は年1,000万円に
国家公務員の賃料収入の基準は、2026年4月1日から「年額500万円以上」が「年額1,000万円以上」に引き上げられた。あわせて、建物の賃貸だけで床面積の合計が600平方メートル未満なら、この収入の基準は当てはめないことになった。
人事院が2025年12月19日に出した通知(令和7年職審-451)で改正され、2026年4月1日から適用されている。
改正前の運用通知では、賃料収入が年額500万円以上なら自営に当たるとしていた。上位の解説記事の多くが「年500万円」と書いているのは、この改正前の基準だ。
| 項目 | 2026年3月まで | 2026年4月1日から |
|---|---|---|
| 賃料収入の基準 | 年額500万円以上で自営に当たる | 年額1,000万円以上で自営に当たる |
| 床面積による例外 | なし | 建物の賃貸だけで、床面積の合計が600平方メートル未満なら収入の基準は当てはめない |
| 棟数・室数の基準 | 独立家屋5棟以上、それ以外10室以上 | 変わらない |
出典:人事院「『人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について』の一部改正について(通知)」令和7年12月19日 職審-451(令和8年4月1日施行)
改正の通知には経過措置もある。2026年3月31日以前に受けた承認のうち、新しい基準では自営に当たらなくなるものは、同日で効力を失うとされている。
つまり、旧基準で承認を受けていた人のなかには、4月以降は承認が要らない規模になった人もいる。
確かめるときの注意:この改正は国家公務員の運用通知の話です。地方公務員の基準は自治体ごとに定められているため、国の改正がそのまま当てはまるとは限りません。次の章もあわせてお読みください。
基準の内側で、手残りが出る物件を選びたい方へ
戸建てを何戸まで、どんな家賃で持つかによって、基準との距離は変わります。物件価格・工事費・家賃を並べた収支シミュレーションをお出しします。
基準を超えるときの承認申請
基準を超える規模でも、すぐに禁止というわけではない。国家公務員なら、所轄庁の長等の承認を受ければ不動産の賃貸を続けられる。
人事院規則14-8は、承認の権限を所轄庁の長等に委ねている。
運用通知は、不動産の賃貸で承認できるのは、次の3つにすべて当てはまる場合としている。
不動産の賃貸で承認を受けるための3つの基準
- 利害関係がない官職と物件の間に特別な利害関係やそのおそれがない
- 職務に支障がない募集・集金・維持管理などを事業者に委ねている
- 信頼を損なわない公務の公正性と信頼性の確保に支障がない
出典:人事院「人事院規則14-8の運用について」第1項関係第5項第1号
2つ目の基準があるため、管理会社に管理を任せていることが、承認の前提になる。
運用通知では、申請のときに「自営兼業承認申請書(不動産等賃貸関係)」を出し、次の書類を添えるとしている。
| 添える書類 | 何を示すか |
|---|---|
| 不動産登記簿の謄本、不動産の図面など | 貸している不動産や駐車場の状況 |
| 賃貸契約書の写しなど | 賃料収入の額 |
| 管理会社との管理委託契約書の写しなど | 管理業務をどう行っているか |
| 事業主と職員の続柄など | 名義が職員本人でない場合の、職員の関わりの度合い |
| 職員の人事記録の写し、その他の参考資料 | 官職と物件の利害関係の有無など |
承認を受けたあとに異動したときや、承認を受けた自営の内容が変わったとき(物件を買い増したときなど)は、原則として1月以内に改めて承認を受ける必要がある。
また人事院規則14-8は、承認を受けた業務のために勤務時間をさいた場合、その時間の給与を減額するとしている。
相続で親のアパートを引き継ぐことになったら、どうすればいいんでしょう。
引き継いだ時点で基準を超えるなら、承認の申請が必要になります。管理会社への委託契約を先に整えてから、所属先の人事担当に相談するとスムーズです。
地方公務員は自治体ごとの基準を確かめる
地方公務員は、地方公務員法38条により、任命権者の許可なく自ら営利企業を営むことが禁じられている。許可の基準は、人事委員会規則などで自治体ごとに定められる。
地方公務員法38条1項は、任命権者の許可を受けなければ、自ら営利企業を営んではならないと定めている。
同じ条の2項で、人事委員会は人事委員会規則で許可の基準を定めることができるとしている。人事委員会を置かない自治体では、自治体の規則で定める。
そのため、県庁・市役所・公立学校などで、不動産の賃貸の基準が国と同じとは限らない。国の運用通知の改正(賃料収入1,000万円)が、所属する自治体の基準に反映されているかどうかも、自治体によって違う。
| 確かめること | 確かめ先 |
|---|---|
| 不動産の賃貸が許可の対象になる規模(棟数・室数・賃料収入) | 所属先の人事担当、自治体の人事委員会規則や兼業の許可基準 |
| 規模の基準より小さい場合に、届出などが要るか | 所属先の服務規程 |
| 許可の申請に必要な書類と、管理委託の扱い | 所属先の人事担当 |
聞くときのコツ:人事担当には「戸建てを何戸、家賃いくらで、管理会社に任せて貸す予定」と、具体的な規模を伝えて確認してください。曖昧に聞くより、許可が要るかどうかの答えがはっきり返ってきます。
所属先に確認するための「規模と管理の方法」を、先に固めませんか
何戸を、どの家賃で、どの管理会社に任せるか。人事担当に伝える内容を、物件と数字から一緒に整理します。管理会社のご紹介もご相談ください。
公務員が戸建て投資を選ぶときの考え方
公務員が基準の範囲で不動産投資をするなら、戸建てを1戸ずつ持つ形は数え方が分かりやすい。独立家屋は棟数で数えるので、4棟までなら棟数の基準に当たらない。
アパートは1棟でも部屋数で数えるため、1棟で10室を超えることもある。
戸建てなら、1戸ずつ買い足しながら、基準との距離を自分で把握しやすい。
同じ「数戸を貸す」でも、数え方が違う
- 貸せる区画が10室以上で自営に当たる
- 1棟で基準に届くこともある
- 5棟以上で自営に当たる
- 1戸ずつ増やしながら距離を測れる
賃料収入の基準との関係も、数字で確かめておく。
リハコが再生した埼玉県熊谷市の戸建ては家賃が月6万円で、年間の家賃は72万円になる。同じ家賃の戸建てを4戸持っても年288万円で、国家公務員の賃料収入の基準(年1,000万円)とは距離がある。
CASE熊谷市の戸建て|基準との距離を測る
- 購入額180万円実績値
- リフォーム額600万円実績値
- 家賃6万円月額
- 年間家賃72万円6万円×12ヵ月
同じ家賃の戸建てを4戸持った場合の年間家賃は288万円。棟数は4棟で、国家公務員の運用通知の棟数の基準(5棟以上)には届かない。
ただし地方公務員で、自治体の基準が改正前の国と同じ「年500万円」のままなら、戸建ての戸数や家賃によっては近づく。
買い足す前に、所属先の基準と照らし合わせておきたい。
管理は最初から任せる:基準の範囲内でも、入居者の募集や家賃の集金、修繕の手配を自分で抱えると、本業に響きます。管理会社に任せる形で始めておけば、将来承認が必要になったときも、そのまま管理の方法として示せます。
公務員が気をつけること|利害関係・名義・住民税
基準の範囲で始める場合でも、「職務との利害関係」「家族名義の扱い」「確定申告と住民税」の3つは押さえておく。
ひとつ目は、職務との利害関係だ。運用通知は「特別な利害関係」の例として、許可・認可などを行う関係や、契約関係などを挙げている。
たとえば、自分が許認可や契約で関わる相手先から買う物件や、その相手先に貸す物件は、規模にかかわらず避けたほうがよい。
ふたつ目は、家族名義の扱いだ。運用通知は、名義が他人であっても、本人が営んでいると客観的に判断される場合は、本人が営むものとして扱うとしている。
配偶者や親の名義にすれば数えなくてよい、というわけではない。実際に誰が買い、誰が管理しているかで判断される。
みっつ目は、確定申告と住民税だ。国税庁のタックスアンサー(No.1900)によると、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると、確定申告が必要になる。
不動産所得が増えると住民税の額も変わる。基準の範囲で正しく行っている投資なら、隠す必要はない。職場に知られるのを心配するより、先に所属先に伝えておくほうが安心だ。
| 気をつけること | 起こりうること | やっておくこと |
|---|---|---|
| 職務との利害関係 | 規模が小さくても、公務の公正さを疑われる | 自分の担当する許認可・契約に関わる物件は選ばない |
| 家族名義 | 実態が本人の事業と判断され、規模に数えられる | 名義を分けて基準を逃れようとしない。迷ったら人事担当に確認 |
| 確定申告と住民税 | 申告漏れで追徴を受ける。住民税の額の変化で職場が知る | 領収書を残して毎年申告する。始める前に所属先に伝えておく |
| 勤務時間 | 内見や工事の立ち会いで職務に影響が出る | 管理会社や工事を任せられる相手を決めておく |
不動産投資そのものの失敗を避ける考え方は、不動産投資の失敗例と失敗率で書いている。
本業の時間を使わずに、仕入れから工事まで任せられる形を知りたい方へ
リハコは、物件の仕入れから購入後のリフォームまでを請け負っています。内見や工事の立ち会いに何度も通えない公務員の方からのご相談もお受けしています。
まとめ|基準を知れば、公務員でも堂々と始められる
公務員の不動産投資は、法律で一律に禁じられているわけではない。規模の基準を知り、所属先のルールを確かめ、管理を任せる形で始めることが大切だ。
- 禁止されているのは「自ら営利企業を営むこと」国家公務員法103条・地方公務員法38条。不動産の賃貸は一定の規模を超えるとこれに当たる。
- 国家公務員の目安は「5棟10室」独立家屋5棟以上、それ以外の建物10室以上などで自営に当たる(人事院の運用通知)。
- 賃料収入の基準は2026年4月から年1,000万円改正前は年500万円。建物の賃貸だけで床面積600平方メートル未満なら、収入の基準は当てはめない。
- 超えても承認の道がある利害関係がない、管理を事業者に委ねている、公務の信頼を損なわない、の3つが承認の基準。
- 地方公務員は自治体の基準で許可の基準は自治体ごとに違う。国の改正が反映されているとは限らない。
- 戸建ては数え方が分かりやすい棟数で数えるので4棟まで。熊谷市の実例は購入180万円・リフォーム600万円・家賃月6万円。
- 利害関係・名義・住民税に注意家族名義でも実態で判断される。申告は毎年行い、隠さず所属先に伝える。
基準がはっきり分かって安心しました。まずは人事担当に、所属先の基準を聞いてみます。
それが確実です。基準が分かったら、その範囲で手残りが出る物件を一緒に選びましょう。
基準の範囲で持てる戸建てを、工事費込みの数字で選びませんか
リハコは仕入れから再生まで自社で手がけ、関東の非公開の築古物件を、工事費込みの数字でご紹介しています。入居者募集は管理会社のご紹介などでサポートします。非公開物件のご紹介・リフォーム概算・収支シミュレーションは無料です。
ご注意:この記事は2026年10月時点で確認できた法令・人事院の運用通知をもとに書いています。兼業の可否は職種や所属先の規程によって異なりますので、最終的な判断は所属先の人事担当にご確認ください。




