購入コラム COLUMN

投資は「分散」がすべて。
その一つに、あえて「空き家再生」を入れる理由
空き家という、売主にとって不要なものを安く買える。空室の状態からピカピカにリフォームし、残るリスクを保険などでカバーすれば、他よりも利率の高い、安定した投資商品を自分の手で作り上げられる。

リハコとして戸建て41戸・アパート14棟を運営する大家
投資の世界には無数の選択肢がある。
全世界株式(オルカン)、個別株、債券、コモディティ、仮想通貨、そして不動産。
最初に、この記事でいちばん大事なことを言っておく。
分散だ。
どの商品が儲かるかより先に、値動きの異なる資産に分けて持てているか。
それが投資のすべての土台になる。
そして、その分散先の一つとして「空き家再生」を入れてほしい。
それがこの記事の主張だ。
なぜ、あえて空き家再生なのか。
結論から言う。
空き家という、売主にとって不要なものを安く買える。
空室の状態からピカピカにリフォームし、残るリスクを保険などでカバーすれば、他よりも利率の高い、安定した投資商品を自分の手で作り上げられるからだ。
ただし「爆裂に儲かるから」ではない。
この記事では、「儲かるらしい」という幻想をひっくり返した上で、空き家再生を選ぶ理由をはっきり書く。

リハコが再生した空き家のキッチン(群馬県桐生市川内町・改修後)。1から作り込むことが、リスクを抑えた投資の出発点になる
オルカンを積み立てています。次の一手として、不動産はありなんでしょうか?
ありです。ただし「儲けるため」ではなく「分散するため」という入り口で見てください。そう置き換えれば、無理な利回りを追う必要がなくなります。
この記事を読んで理解できること
- 投資の土台は「分散」であり、分散できているだけで偉いという考え方
- 不動産が株式・債券と並ぶ「伝統的な資産クラス」である理由
- 不動産に「タイミングのリスク」がない仕組み|株より国債に近い
- 融資が使える|自己資金の何倍もの資産を、他人資本で積み上げる仕組み
- 「満室・表面利回り10%」の売り物件を、なぜ疑ったほうがいいのか
- 空き家再生が、爆弾を最初に処理した状態でスタートできる理由
- 滞納・火災・倒壊のリスクを、保証会社と保険に外出しする方法
- 投資家が負うリスクの中心が「時間」になる構造
- 木造22年の減価償却|高所得者ほど効く、もう一つのリターン
1. すべての土台は「分散」だ
分散が大事とはよく聞きますが、不動産まで広げる必要はありますか?
あります。オルカンを買っている時点で、あなたはもう「分散が大事だ」と分かっています。その分散を、もう一段広げるだけの話です。

リハコが再生した空き家の外観(群馬県館林市広内町)。不動産は株式・債券と並ぶ、実物を伴う伝統的な資産クラスだ
まず、利回りの話をする前に、投資でいちばん大事な話をする。
分散だ。
今、これまで投資に興味のなかったリスク許容度の低い人たちまで、オルカンにどんどんお金を入れられているのはなぜか。
全世界に分散されていてリスクが低いから、「脳死」でお金を投じ続けられるからだ。
何も考えず、毎月淡々と積み立てられる。
これが正しい投資の姿だ。
では、その分散をもう一段広げるとしたら、どこに置くか。
仮想通貨か。
コモディティか。
ここで効いてくるのが、不動産が株式や債券と並ぶ「伝統的な資産クラス」であるという事実だ。
何百年も前から資産の置き場として機能してきた、実物を伴う安定した投資先である。
流行りものではない。
そして株式と違って、日々の値動きに晒されない。
市場が暴落した朝にスマホを開いて青ざめる、ということが構造的に起きない。
もし1億円を持っていたら、どこに置くか
- A:全額を株式に置く税引き前の実質利回り4%
値動きに晒される資産だけになる - B:株式と不動産に分けるどちらも利回り4%
利回りは同じでも、値動きの異なる資産を2本持てる
極論、オルカンの方が不動産より利回りが高かったとしても、分散できているBの方に価値がある。
なぜか。
全体的な安定性は世界経済(オルカン)の方が高いかもしれない。
だが、どうしてもお金が必要になった時にリーマンショックが起きていたらどうなるか。
株は売れない。
売れば大損だ。
その時、不動産側は売る必要がない。
不動産は収益物件だ。
株が暴落していようと、家賃は翌月も同じ額が入ってくる。
利益は値動きではなく、家賃という形で階段状に積み上がっていく。
だから、株が回復するまでの間、家賃で生活を回しながら待てばいい。
値動きの異なる資産を持っていること自体に、リターンの数字以上の意味がある。
それは理屈の上での話ではないんですか?
いや、私自身、会社員の頃に給料だけに頼る将来が不安で、収入を1本で行くのが怖くて不動産に資金を分散させました。今オルカンを積み立てているあなたに勧めているのは、それとまったく同じアプローチです。株が下がっても、家賃は翌月も入ってくる。あのとき分散させたことは大正解だったと思っています。
だから、利回りの数字を最初から目標に置く必要はない。
極論、税引き前の実質利回りで4%でもいい。
株と並ぶ伝統的な投資先に資産を分けられている。
分散できているだけで偉い。
これが空き家再生投資の、一番自然で一番正しい入り口だ。
分散できていれば偉い:利回りの数字で優劣を決めないでください。値動きの異なる資産を2本持てているかどうかを、先に見てください。
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2. 不動産には「タイミングのリスク」がない
株と不動産では、リスクの中身がどう違うんですか?
売るタイミングに人生を左右されるかどうかです。株はならせば年利4%でも、いちばんお金が必要な時に暴落している可能性があります。不動産は家賃が毎月固定で入って階段状に積み上がるので、相場がどうであれ売る必要がなく、出口を自分で選べます。

リハコが再生した空き家のリビング(群馬県館林市広内町・改修後)。家賃は毎月固定で入り、資産は階段状に積み上がる
分散先として不動産が優れている理由を、もう一歩踏み込んで言う。
売るタイミングに人生を左右されないことだ。
株式投資は、ならせば年利4%前後で成長していく優れた投資だ。
ただし「ならせば」である。
実際には、1ヶ月で大きく増えることもあれば、暴落して大きく減ることもある。
ならして年利4%だとしても、価格の上下リスク(ボラティリティ)を常に負っている。
しかも「ならせば」というのは、あくまで理論上の平均値だ。
今、オルカンも株式も歴史的な高値圏にあって絶好調で、誰もがそれに陶酔している。
さらに言えば、為替だ。
2026年8月27日現在、1ドル160円という円安になっている。
日本もアメリカも、適正な水準は125〜135円あたりと見ている。
80円の円高の時代に為替介入があったように、160円では円安を止める方向の介入が入っている。
どちらに転ぶかは分からない。
だが、日本とアメリカの国の方針に従えば、理論値に収束していく可能性は十分にあり得る。
オルカンはドル建ての資産だ。
株価が動かなくても、円高に振れた分だけ円建ての評価額は下がる。
つまり為替リスクを負っていて、値崩れすることがあり得る。
だが、あなたがいちばんお金を必要とする時、たとえば20年後、30年後に、相場が大暴落している可能性は普通にある。
長期でならせば4%というのは、「その時点で4%出ている」ことを何も保証しない。
今高いものは、将来値下がりすることもあり得る。
それが、値動きに晒されるということだ。
下落局面でイグジットしようとすれば、絶対に損失が出る。
これが株式の「タイミングのリスク」だ。
一方、賃貸不動産はどうか。
家賃が毎月固定で入ってくる。
資産が階段状に、確実に積み上がっていく。
波がないから、どのタイミングでも出口を選べる。
| 500万円を投じた場合 | 1年後 | 2年後 |
|---|---|---|
| オルカン(全世界株式) | プラス150万円の年もあれば、マイナス150万円の年もある | ならして年利4%でも、売る年によって結果が変わる |
| 賃貸不動産(年間家賃60万円) | 560万円。家賃60万円が確実に積み上がる | 620万円。同じ幅でもう一段積み上がる |
この性質は、実は株よりも国債に近い。
国債(例えば10年債)も、満期まで持てば元本が戻る前提で、毎年決まった利息が入ってくる。
タイミングのリスクを負いたくない人が国債を買うのと、構造は同じだ。
しかも国債と違って、家賃が取れるエリアなら国債の利回りよりずっと大きいキャッシュフローが作れる。
株より国債に近い:毎年決まったキャッシュフローが入り、価格の上下に晒されません。違うのは、国債よりずっと高い利回りが取れる点です。
3. 融資が使える|自己資金の何倍もの資産を、他人資本で積み上げる
株より不動産が有利な点は、他にもありますか?
融資です。オルカンは現金でしか買えませんが、不動産は借りたお金で買えます。自己資金の何倍もの資産を持ち、税引き後でも手残りが出る。これは不動産にしかない仕組みです。
分散先として不動産を勧める理由が、もう一つある。
決定的に大きい。
融資が使えることだ。
オルカンは現金でしか買えない。
証券会社は、積立の資金を貸してはくれない。
不動産は、借りたお金で買って、税引き後でも手残りが出る。
この差は、もっと知られていい。
自己資金の何倍もの資産を他人資本で積み上げられる投資は、不動産だけだ。
自己資金300万円で、どれだけの資産を持てるか
- オルカン(現金でしか買えない)持てる資産は300万円分
リターンも300万円分から生まれる - 不動産(融資が使える)持てる資産は1,000万円分
家賃は1,000万円分の資産が生み、返済は入居者の家賃から払う
返済は毎月固定で出ていくので、返済後に税引き後でいくら残るかを先に計算しておくのが前提。この「手残り」の話は第5章で書く。
同じ300万円でも、オルカンなら300万円分の資産しか持てない。
不動産なら、300万円を頭金に700万円を借りて、1,000万円の資産を持てる。
家賃を生むのは、1,000万円分の資産だ。
そして、その借金を返すのは自分の給料ではない。
入居者が払う家賃だ。
他人のお金で買い、他人のお金で返し、資産と手残りが自分に残る。
これが融資の本質だ。
もちろん、返済は毎月固定で出ていく。
だから、返済したあとに税引き後でいくら残るのかを、買う前に必ず計算しておく。
ここで、融資を使うなら避けて通れない話がある。
金利だ。
首都圏には、アパートで利回り6〜7%という物件がいくらでもある。
だが、借入金利が3〜4%だったらどうなるか。
利回りから金利を引いた残りは、たった2〜3%。
満室で、ギリギリ回っている状態だ。
空室が一つ出た時点で、赤字になる。
利回りから金利を引いて、いくら残るか
- 首都圏のアパート:利回り6〜7%満室でギリギリ回っている状態。
空室が一つ出た時点で赤字に転落する - 空き家再生:利回りを高く作り込む仕入れを抑え、リフォームで家賃を取る。
空室や金利上昇があっても手残りが残る幅を最初から確保する
利回りと借入金利の差を「イールドギャップ」と呼ぶ。この差が薄い物件は、融資を使うほど危なくなる。
利回り6〜7%では、融資を使う投資としては低すぎるのだ。
だから空き家再生では、仕入れを抑え、リフォームで家賃をしっかり取って、もう少し利回りの高い商品に作り上げる。
金利を引いても、空室が出ても、手残りが残る幅を最初から確保しておく。
それが融資を武器にするための条件だ。
その「手残り」がいくらなら十分なのかは、第5章で書く。
他人資本で資産を積む:自己資金の何倍もの資産を持ち、その返済は入居者の家賃が払ってくれます。ただし利回りと金利の差が薄い物件は、空室一つで赤字になります。差を厚く取れる物件を選べば、融資はリスクではなく武器になります。
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4. ただし「利回り10%・20%」には、必ず相応のリスクが潜んでいる
ポータルサイトに「満室・利回り10%」の物件があります。買ってもいいですか?
満室利回り10%って、かなり怪しい話じゃないですか? 満室はいちばん嬉しい状態なのに、なぜ売るのか。そこをまず考えてみてください。

リハコが再生した空き家の居室(群馬県館林市広内町・改修前)。他人が作った「完成品」の壁の裏は、買ってみるまで分からない
ここで、不動産に興味を持った人が必ず踏む落とし穴の話をしておく。
不動産投資を考え始めた人は、例外なく利回りの目線が高くなっている。
なぜか。
物件を探し始めると、ポータルサイトに「利回り10%」「利回り20%」の物件がずらりと並んでいるからだ。
毎日それを見ていれば、「不動産なら10%は当たり前」という感覚が勝手に刷り込まれる。
だが、それは間違いだ。
満室でいちばん嬉しいはずの物件を、なぜ他人が売りに出しているのか。
表示されている高利回りは、価格が高いか中身が悪いかのどちらかを、数字で塗り固めたものにすぎない。
ここまで読んで「じゃあ不動産をやろう」と思った人が、次に必ず目にするのが、アパート投資、区分マンション投資、そして「満室・表面利回り10%」といったオーナーチェンジ物件だ。
ここで一度、冷静に考えてほしい。
満室の状態というのは、不動産投資をしていて一番嬉しい状態だ。
毎月家賃が満額入ってくる、完成された金のなる木。
それをわざわざ売る。
何か裏があると思わないか。
実際は、価格が高いか、中身が良くないかのどちらかだ。
高利回りで売られている物件の多くは、家賃を相場より高めに設定して数字を作っているだけで、中身が良くない。
退去が一度出た瞬間に、相場の家賃でしか埋まらなくなり、化けの皮が剥がれる。

リハコが再生した空き家の室内(群馬県桐生市川内町・改修前)。残置物と雨漏りの跡。「満室・高利回り」の数字の裏側にあるのも、結局はこういう現実だ
| 価格が高い | 利回りの数字は良く見えても、そもそもの売買価格が相場より高い |
| 中身が良くない | 家賃を相場より高めに設定して数字を作っているだけ。退去が出た瞬間に剥がれる |
| 結論 | 都合のいい物件は基本存在しない。もし本当にあったら、プロが買う |
そういう都合のいい物件は基本存在しないし、仮に存在したとしても、素人に回ってくるわけがない。
もし本当にあったら、プロが買う。
これが市場の現実だ。
「ボロ戸建て=儲かる」というスタートから入ってくる人も多い。
だが、そんなことはない。
確かに、直さずにそのまま入居付けして利回り20〜30%で爆裂に儲けるやり方は存在する。
だがその裏には、雨漏り、シロアリ、入居者トラブル、訴訟リスク、健康被害と、見えない爆弾がいくつも埋まっている。
散々ボロボロの物件を経験して、訴訟リスクや健康被害のストレスを味わってきた人間として言い切るが、それは高いリターンを得ているのではない。
爆裂なリスクを負っているだけだ。
そして、ここが一番本質的な話だ。
リスクが高すぎる投資は、脳死でお金を投じ続けることができない。
最初の一件はできるかもしれない。
だがそれは投資というよりギャンブルに近い。
うまくいけば次もいける。
だが失敗したら、損失を出して終わりだ。
個別株に全額を突っ込んでいるのと変わらなくて、賢い投資とは言えない。
リスクを抑えた投資だけが、継続できる。
継続できる投資だけが、正しい投資だ。
高利回りは疑う:「なぜ今、満室のこの物件を売るのか」を売主側の事情まで確かめてください。答えが出てこない物件は、価格か中身に理由が隠れています。
5. 空き家再生は「1から作り込む」から、リスクを抑えてスタートできる
では、高利回りの罠を避けながら不動産に分散するには、どうすればいいですか?
答えの一つが、空き家再生です。爆弾を最初に全部処理した状態から投資が始まります。残るリスクも、保証会社と保険にほとんど外へ出せます。

リハコが再生した築古戸建て(群馬県桐生市川内町・改修前)。この状態から、雨漏りもシロアリも配管も、すべて開けて確認して作り込む
オーナーチェンジ物件は、他人が作り上げた「完成品」を、中身を見られないまま買う投資だ。
壁の裏がどうなっているか、配管が生きているか、家賃設定に無理がないか。
爆弾が入っているかどうかは、買ってみるまで分からない。
空き家再生は真逆だ。
空き家の状態から、1から作り込んでいく。
雨漏りもシロアリも配管も、すべて開けて確認し、直すべきところを直してから貸し出す。
他人の抱えた爆弾を引き継ぐのではなく、爆弾を最初にすべて処理した状態で投資が始まる。
家賃も、相場を見て無理のない水準で自分たちが決める。
つまり、リスクを限りなく抑えた状態で投資をスタートできるのが空き家再生だ。
残りのリスクも、ほとんど外に出せる。
| 残るリスク | どこに外出しするか | 外出しした結果 |
|---|---|---|
| 滞納リスク | 保証会社に全部投げる | うちも全部投げていて、これで対処できている |
| 火災リスク | 火災保険に入る | 保険料を収支予測に最初から織り込めば、リスクではなく、ただのコストになる |
| 建物の倒壊・入居者の死傷リスク | 施設賠償責任特約でカバーする | 旧耐震の物件でも効く。1戸あたり年間数百円〜千円程度と、驚くほど安い |
ここまでリスクを外出しした上で、それでも残る大きなものが一つある。
「時間」のリスクだ。
投資したお金が売却益のように一気に返ってくるわけではない。
毎月の家賃という形で、長い時間をかけて回収していく。
つまり、リターンが即座には手に入らない。
これが、空き家再生の投資家がいちばん大きく負うリスクだ。
もちろん、リスクがゼロになるわけではない。
空室が長引くこともあれば、想定外の修繕が出ることもある。
ただ、そのほとんどは保険と保証会社、そして最初の作り込みで小さくできる。
逆に言えば、この「時間」を受け入れられる人が、他のリスクを小さくした状態で、割の良い利回りを手にできる。
空き家再生の利回りが何%か、という話をここでするつもりはない。
ただ、リハコがどう考えているかだけ書いておく。
リハコでは、仕入れ価格をとにかく抑え、リフォームをしっかりした上で、税引き後の実質利回り7%以上を目指している。
税引き前ではなく、税引き後である。
利回りの数字は、経費と税金を引いたあとに手元にいくら残るかで見なければ意味がない。
税引き後まで考えることが、かなり重要な点だ。
安く仕入れた分と、しっかり直して空室を作らない分が、結果として利回りになる。
順番はこれだけだ。
しかもオルカンのような現金一括ではなく、融資を使って、税引き後でこの数字だ。
プロでもない個人投資家なら、御の字どころか十分すぎる。
「これくらいなら次も投資しやすい」と思える水準。
脳死で続けられる水準に、必然的に落ち着くのがこの考え方なのだ。
残る大きなリスクは時間:滞納は保証会社、火災と倒壊は保険に出せます。外に出しにくいのは、家賃で時間をかけて回収するという点です。
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6. 減価償却|高所得者ほど効く、もう一つのリターン
家賃以外にもリターンがあると聞きました。どういうことですか?
税金です。リフォームした部分は、木造なら22年で減価償却できます。税率50%の人なら、400万円のリフォームの実質負担は200万円になります。

リハコが再生した空き家の和室(群馬県館林市広内町・改修後)。リフォームした部分は、新築と同等の耐用年数で償却できる
空き家再生には、家賃収入とは別に、もう一つ大きなリターンがある。
税金だ。
リフォームした部分は、新築と同等の耐用年数で減価償却できる。
木造なら22年だ。
この意味を、具体的な数字で見てほしい。
年収2,000万円以上・税率50%の人が400万円のリフォームをした場合
- 経費に計上できる額:400万円リフォーム400万円を、木造の耐用年数22年で按分して計上する
- 軽くなる税負担:約200万円400万円 × 税率50%(所得税+住民税)を、償却期間トータルで見た額
- 実質のリフォーム負担:約200万円400万円 − 約200万円
例えば100万円の物件を買って、400万円のリフォームをしたケース。税率は所得税と住民税の合計。
この構造が分かると、リフォーム費用の見え方が根本から変わる。
税率50%の人なら、リフォームが500万円から600万円になっても、実質の自己負担は250万円が300万円になるだけだ。
だったら、なるべくリフォーム価格を抑えることばかり考えるより、しっかり直して物件を安定させた方が、最終的な投資の結果につながる。
目先の支出を削って爆弾を残すのではなく、税の仕組みを味方につけて物件の質にお金をかける。
これこそが「投資」と呼べる行為だろう。
そしてもう一つ。
22年で按分するということは、毎年コンスタントに減価償却費を計上し続けられるということだ。
帳簿上の経費が長く効き続けるから、税負担が平準化され、キャッシュフローが赤字になりにくい。
これがなぜ重要か。
通常の築古不動産投資では、購入価格を建物に按分すると、法定耐用年数を超えた木造は4年で一気に償却するケースが多い。
4年目まではいい。
節税効果も大きい。
だが5年目以降、償却できるものが何も残らない。
経費が消えた分だけ税負担が跳ね上がり、家賃は入っているのに手残りは赤字。
そういうケースが多々あるのだ。
「5年目の崖」|4年で一気に償却するか、18年でなだらかに償却するか
縦軸は年ごとの減価償却費。通常の築古投資は建物400万円を4年で償却(年100万円)。空き家再生は建物(4年)とリフォーム(木造22年)の按分で、500万円を18年でならして償却するイメージ(年約28万円)。金額は目安。
空き家再生投資には、この「5年目の崖」がほぼない。
建物の4年とリフォームの22年を按分して、18年かけてなだらかに償却していくから、ある年から突然税負担が跳ね上がる、ということが起きにくい。
「絶対に赤字にならない」とまでは言わない。
だが赤字転落の可能性は構造的に低い。
家賃を時間をかけて回収していくという空き家再生の性質と、18年という償却の設計が、きれいに噛み合っているのだ。
按分償却が効く:4年で一気に償却すると、5年目に崖が来ます。建物の4年とリフォームの22年を按分し、18年でなだらかに引けるかどうかで、手残りの安定度が変わります。
まとめ:空き家再生を、分散の一つとして取り込もう
結局、オルカンの次の一歩として何をすればいいですか?
より高い利回りを追いかけることではありません。値動きに晒されない伝統的な資産を、ポートフォリオのもう一つの柱として据えることです。

リハコが再生した空き家の外観(群馬県館林市広内町・改修後)。爆裂に儲ける必要はない。脳死で積み上がっていく仕組みを、もう一本持つ
整理しよう。
この記事のまとめ
- 分散が、すべての土台投資の土台は分散。分散できているだけで偉い。
- 不動産には「タイミングのリスク」がない株式・債券と並ぶ伝統的な資産クラスで、暴落の朝に青ざめることがない。家賃は階段状に積み上がる。
- 融資が使える自己資金の何倍もの資産を持ち、返済は入居者の家賃が払う。ただし利回りと金利の差は厚く取る。
- 「10%・20%」は疑うオーナーチェンジや高利回りボロ戸建ての数字は、爆裂なリスクの対価にすぎない。
- 空き家再生は、爆弾を最初に処理する1から作り込み、残るリスクも保険と保証会社に外出しできる。残る大きなリスクは、家賃を時間をかけて回収する「時間」。
- 22年償却で「5年目の崖」がないリフォーム分は木造22年でなだらかに償却できる。高所得者ほど実質負担が下がり、キャッシュフローが赤字になりにくい。
オルカンを毎月積み立てているあなたは、すでに投資の入り口を正しく通っている。
次の一歩は、より高い利回りを追いかけることではない。
値動きに晒されない伝統的な資産を、ポートフォリオのもう一つの柱として据えることだ。
その柱として、リスクを処理し切った状態からスタートでき、家賃が階段状に積み上がっていく空き家再生は、オルカンと同等以上の説得力を持つと言い切っていい。
爆裂に儲ける必要はない。
脳死で積み上がっていく仕組みを、もう一本持つ。
それが空き家再生という選択だ。
最後に、私自身の話をしておく。
私は、これ以上安定した商品を知らない。
だからアパートを十数棟、戸建てを40〜50棟、保有し続けている。
もし他に分散できる先があるなら、本気で教えてほしい。
実際に今も、オルカンと不動産からさらに分散できる商品はないかと探しているところだ。
全然、見つからないけれど。
もちろん、一般的なサラリーマンに、そこまでの数を勧めているわけではない。
推奨しているのは3〜4戸だ。
各物件で購入価格は100万〜300万円、リフォームに500万〜700万円ほどかければ、十分にいい投資ができていると思っている。
あくまで個人の考え:ここに書いたのは個人の考え方であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資の判断は、ご自身の状況に合わせて行ってください。
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