空き家リノベーションの優遇融資
2027年度の新制度は個人も使えるか
「国が空き家の改修に低い金利で貸すらしい、とニュースで見た」
「制度ができるまで待ったほうが得なのか、今動いていいのか知りたい」

(宅地建物取引士)
アパート14棟・戸建て41戸を自ら運用する現役投資家
更新について:この記事は制度の決定に合わせて更新します(最終確認 2026年10月11日)。
先に、この記事の結論を3行で書いておく。
- 国交省は2027年度予算の概算要求に、空き家などを直して貸す事業者向けの新しい融資制度を盛り込んだ|窓口は住宅金融支援機構で、融資率や条件は2026年末までに詰める予定と報じられている
- 個人オーナーが使えるかは、まだ決まっていない|公表資料の図で借り手として描かれているのは「住宅借上事業者 等」で、金利・限度額・対象の築年数も未定だ
- 制度を待つより、今ある手段で「数字が合う物件」を先に押さえるほうが現実的|新制度は、決まった時点で使えれば上乗せの追い風と考える
この記事は、これから空き家投資を始めたい会社員の方に向けて書いている。
新制度の解説記事は増えてきたが、その多くは相続した実家の持ち主や、事業者に向けたものだ。
この記事では「買って直して貸す」個人の投資家から見て、この制度をどう扱えばいいかを、国交省の資料と、リハコが再生した実例の数字で整理する。

国が低い金利で貸してくれるなら、制度が始まるまで物件探しは待ったほうがいいですか?
待つ必要はないと考えています。個人が対象になるかも、金利がどれだけ下がるかも、まだ決まっていないからです。良い物件は、制度の有無に関係なく先に売れていきます。
この記事を読んで理解できること
- 2027年度の空き家リノベーション向け融資で、分かっていることと未定のこと
- 国交省の公表資料に書かれている、制度の名前と想定している借り手
- 個人の投資家が「事業者」に入るかどうかの、現時点での答え
- 新制度を待たずに今使える、住宅金融支援機構の融資・リフォームローン・補助金
- 待つか動くかを決める判断の表と、熊谷市の実例の数字
2027年度の優遇融資とは|分かっていることと未定のこと
国土交通省は、空き家などをリフォームして賃貸住宅として貸す事業者に、住宅金融支援機構が融資する制度を2027年度に新しくつくる方針だ。
国交省住宅局の「令和9年度 住宅局関係予算概算要求概要」(2026年8月)には、「住宅ストックを活用した賃貸住宅融資制度の創設(住宅金融支援機構)」という新規の項目がある。
空き家のサブリース事業や、比較的状態の良い空き家を賃貸に回す取組などを、金融面から支援すると書かれている。
報道と公表資料で確かめられた範囲を、分かっていることと未定のことに分けると次のとおりだ。
| 項目 | 現時点 | 出どころ |
|---|---|---|
| 制度の名前 | 住宅ストックを活用した賃貸住宅融資制度(新規) | 国交省 令和9年度 住宅局関係予算概算要求概要 |
| 貸し手 | 住宅金融支援機構 | 同上 |
| 予算 | 住宅金融支援機構への出資金21億円の「内数」として要求。この制度だけの金額ではない | 同上 |
| 仕組み | 資料では「出資金により信用リスクに対応」。報道では、国が機構に出す資金の運用益を使って低い金利で貸すとされる | 同上/時事通信 2026年9月8日・マイナビニュース 2026年9月30日 |
| 入居者のイメージ | 子育て世帯、中低所得者層など | 同上 |
| 開始の時期 | 早ければ2027年度。融資率や条件は2026年末までに詰める見通し | 日本経済新聞 2026年9月21日 |
| 金利・限度額・返済期間 | 未定 | 公表なし |
| 対象の築年数・物件の条件 | 未定 | 公表なし |
| 個人オーナーが使えるか | 未定 | 公表なし |
大事なのは、これは補助金ではなく融資であり、しかもまだ予算の「要求」段階だという点だ。
予算が国会で決まり、機構が商品の条件を公表するまでは、使えるかどうかも、どれだけ有利かも分からない。
「21億円」の読み方:報道では「21億円」が目立ちますが、資料では住宅金融支援機構への出資金21億円の「内数」と書かれています。同じ出資金の内数として災害復興住宅融資なども並んでおり、21億円がそのままこの融資の枠になるわけではありません。
新制度の対象になりそうな物件か、今の時点で一緒に見てみませんか
条件はまだ未定ですが、「直して貸せば数字が合うか」は今でも確かめられます。物件の写真と所在地をお送りいただければ、工事の範囲と、そのエリアで決まる家賃の見立てをお出しします。
国が空き家リノベーションを後押しする理由
国が空き家リノベーションを後押しするのは、空き家が増え続ける一方で、子育て世帯などが手の届く家賃の住まいが足りていないからだ。
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年の空き家は900万戸で過去最多、空き家率は13.8%で過去最高になった。
このうち賃貸用・売却用・別荘などを除いた、使い道の決まっていない空き家は385万戸で、2018年から37万戸増えている。
空き家の数(総務省 令和5年住宅・土地統計調査)
- 空き家率13.8%で過去最高
- 2018年から51万戸の増加
- 賃貸・売却用・別荘などを除いた数
- 2018年から37万戸の増加
一方で、国交省の概算要求資料は、住宅価格の上昇と「住宅ストックと居住ニーズのミスマッチ」を課題に挙げている。
資料では、4人以上の持ち家世帯の32%が100㎡未満の住宅に住み、高齢の単身・夫婦の持ち家世帯の54%が100㎡以上の住宅に住んでいるという数字が示されている。
広い家が余り、広い家が必要な子育て世帯には届いていない、ということだ。
それでも空き家を直して貸す動きが広がらない理由について、時事通信は「資産価値の低い空き家は金融機関に担保として認められにくい」点を挙げている。
国交省の資料も、空き家などをリフォームして賃貸に活用する取組は始まりつつあるが、事業の立ち上げや継続には資金調達が課題だとしている。
新制度は、この「直せば貸せるのに、お金が借りられない」という詰まりをほぐすためのものだ。
個人オーナーは使えるのか|「事業者」の読み方
個人オーナーが使えるかは、2026年10月11日時点では公表されていない。現時点の答えは「使える前提で計画を立てない」だ。
報道はどれも、対象を「事業者」と書いている。
国交省の資料の事業イメージ図でも、機構からリフォーム資金を借りて返す側は「住宅借上事業者 等」と描かれ、地方公共団体との連携も添えられている。
空き家を借り上げて直し、子育て世帯などに貸すサブリース型の事業者が、まず想定されていると読める。
| 公表資料・報道の言葉 | 個人の投資家から見た読み方 |
|---|---|
| 住宅借上事業者 等 | 空き家を借り上げて貸す事業者が中心。「等」に個人の大家が入るかは書かれていない |
| 比較的状態の良い空き家 | 大規模な工事が必要な築古物件まで対象になるかは不明。物件の条件は今後の公表待ち |
| 地方公共団体との連携等 | 自治体のまちづくりに沿う事業者を優先する想定と報じられている。物件のある市町村の方針が関わる可能性がある |
| 子育て世帯、中低所得者層 等 | 入居者の想定。家賃の水準や入居者の条件が付くかは未定 |
参考になるのは、住宅金融支援機構が今ある賃貸住宅向けの融資では、個人も申込みの対象にしていることだ。
たとえば「賃貸住宅リフォーム融資(住宅セーフティネット)」は、申込みできる人を「個人または法人」としている。
ただし、新制度が同じ扱いになるとは限らない。個人の可否は、条件が公表されてから確かめる。
会社員が副業で1戸だけ貸す場合は、やっぱり対象外になりそうですか?
今は誰にも分かりません。対象になれば使えばいいですし、ならなくても数字が合う買い方をしておけば困りません。新制度を当てにした計画にしないことが大事です。
入居者として想定されている子育て世帯に、戸建てをどう貸すかは、空き家を子育て世帯に貸す記事で詳しく書いている。
新制度を待たずに、今の手段で資金計画を立ててみませんか
物件価格・工事費・家賃から、自己資金とリフォームローンの組み合わせを試算します。熊谷市の実例で、実際に組んだ資金計画もお見せできます。
制度を待たずに、今使える資金の手段
空き家を買って直して貸すための資金は、新制度がなくても今ある手段で組める。中心は、自己資金とリフォームローンの組み合わせだ。
主な手段を並べると、次のようになる。
| 手段 | 中身 | 注意点 |
|---|---|---|
| 自己資金 | 築古の戸建ては物件価格が安く、購入費を現金でまかなえることが多い | 工事費の超過に備えて、1〜2割の予備を手元に残す |
| 金融機関のリフォームローン・不動産投資向けローン | 工事費を借りて、家賃から返す | 投資用に使えるかは商品ごとに違う。申込み前に「賃貸に出す」ことを伝えて確かめる |
| 住宅金融支援機構 賃貸住宅リフォーム融資(住宅セーフティネット) | セーフティネット住宅として登録する賃貸住宅のリフォーム資金。工事費の80%まで、最長20年の全期間固定金利。戸建ても対象 | 融資期間中は登録を続ける必要がある。高齢者や子育て世帯などの入居を拒まない住宅になる |
| 補助金 | 国や自治体の空き家改修の補助 | 投資用・賃貸用が対象外の制度も多い。着工前の申請が条件になることが多い |
住宅金融支援機構の賃貸住宅リフォーム融資(住宅セーフティネット)は、機構の公式ページによると、融資額が300万円以下なら抵当権の設定が要らず、保証人も要らない。
国の新制度と同じく、子育て世帯などに貸す住宅を対象にした融資で、今すでに使える数少ない公的な選択肢だ。
一方で、セーフティネット住宅の登録には面積や設備などの基準があり、すべての物件が合うわけではない。
借り方の全体像は築古戸建て・空き家の融資の記事、補助金は空き家リフォームの補助金は投資用でも使えるかの記事で、公式ページを確かめながら詳しく書いている。
「住宅ローン」は使えません:フラット35などの住宅ローンは、ご本人やご家族が住む家のためのものです。賃貸に出す空き家の購入や工事には使えません。
制度を待つか、今動くか|判断の表
多くの場合、制度を待つより今動くほうがよい。ただし、新制度の低い金利がないと数字が合わない物件なら、待つのではなく見送る。
待つことの損得を、場面ごとに分けると次のとおりだ。
| あなたの状況 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 今ある資金の手段で、手残りが出る物件が見つかった | 今動く | 新制度は早くて2027年度で、個人が使えるかも未定。良い物件は待ってくれない |
| 新制度の低い金利を前提にしないと手残りが出ない | 見送る | 金利が下がらなかったときに持ち出しになる。融資の条件に頼る物件は、そもそも価格か工事費が合っていない |
| まだ物件を探し始めていない | 今動く | 家賃相場の確認や、管理会社・工事業者との関係づくりは時間がかかる。制度が決まるころに準備が整っている状態をつくる |
| 自己資金が少なく、借入なしでは始められない | 準備して待つ | 今ある融資を当たりつつ、2026年末ごろの条件公表を待つ。条件が出たら、この記事も更新する |
| 相続した空き家を自分で直して貸したい | 準備して待つ | 名義・残置物・建物の状態の確認は今のうちに進められる。融資の使い道は条件公表後に決める |
判断の軸は1つで、「新制度がなくても数字が合うか」だ。
合うなら今動き、制度が使えるようになったら借り換えや次の物件で活かせばいい。
合わないなら、制度ができても無理をして買う物件ではない。
避けたいこと:正式な条件が公表される前に、「新制度で借りられるはず」という前提で売買契約や工事の契約を結ぶことは避けてください。金利や対象が想定と違ったときに、資金が足りなくなるおそれがあります。
新制度がなくても数字が合う空き家を、先に押さえませんか
リハコは関東の築古物件を仕入れ、工事費と家賃の見立てまで数字にしてからご紹介しています。物件の紹介と収支シミュレーションは無料です。
空き家リノベーション投資の実例|熊谷市の戸建て
リハコが再生した埼玉県熊谷市の戸建ては、購入180万円、リフォーム600万円、家賃は月6万円で貸している。
国の新制度ができる前の物件で、資金は自己資金とリフォームローンで組んだ。
CASE熊谷市の戸建て|空き家リノベーションの数字
- 購入額180万円実績値
- リフォーム額600万円実績値
- 総額780万円購入+リフォーム
- 家賃6万円月額
家賃は年72万円になる。ここから管理費・修繕の積立・固定資産税・所得税などが引かれるため、手残りはこれより少ない。
この物件は、リフォームローンを活用して実際の手出しを約180万円ほどに抑えている。
家賃6万円で決まるエリアだと先に分かっていたから、600万円の工事をかけても回収できると判断できた。
新制度が使えるようになれば、こうした工事費の借入の条件が良くなる可能性はある。しかし、結果を分けたのは金利ではなく、買う価格と工事の範囲と家賃の読みだ。

この物件の工事の中身とビフォーアフターは、空き家再生の事例の記事にまとめている。
工事の範囲ごとの相場は空き家リフォームの費用相場の記事で、最低限50〜150万円、標準500〜700万円、フル700〜1,000万円の3段階で整理している。
制度が決まったら確かめる5つの点
条件が公表されたら、個人が対象か、金利、融資率、物件の条件、申込みの窓口の5つを確かめる。この記事も、公表に合わせて書き直す。
報道では、融資率や条件は2026年末までに詰める見通しとされている。そのうえで、予算が国会で決まってから制度が動き出す。
公表されたら確かめる順番
- 対象者個人の大家が入るか
- 金利今の借入とどれだけ違うか
- 融資率工事費の何割まで借りられるか
- 物件の条件築年数・面積・入居者の条件
- 窓口機構の直接か、自治体経由か
※いずれも2026年10月11日時点では未公表です。
とくに見ておきたいのは、入居者や家賃に条件が付くかだ。
子育て世帯や中低所得者層向けという想定から、家賃の上限や入居者の要件が付く可能性はある。その場合は、金利の差と家賃の制約を比べて、使うかどうかを決める。
情報の確かめ方:国交省の「住宅:予算関係」のページと、住宅金融支援機構の公式ページで公表されます。ニュースやブログの要約だけで判断せず、公式の条件を確かめてから動いてください。
制度の条件が出たら、あなたの計画で使えるか一緒に確かめます
物件や資金計画をお送りいただければ、公表された条件に当てはめて、今の借入と比べた損得を整理します。物件探しの段階からのご相談も歓迎です。
まとめ|制度は追い風、ただし待つ理由にはしない
2027年度の新しい融資制度は、空き家を直して貸す動きに国が本腰を入れはじめた、という意味で追い風だ。
ただし条件の多くは未定で、個人の投資家が使えるかもまだ分からない。
- 新制度は住宅金融支援機構の融資国交省の令和9年度概算要求に「住宅ストックを活用した賃貸住宅融資制度の創設」として新規に盛り込まれた。補助金ではない。
- 21億円は出資金の内数機構への出資金21億円の内数で、この制度だけの枠ではない。融資率や条件は2026年末までに詰める見通しと報じられている。
- 背景は空き家900万戸と住まいのミスマッチ総務省の調査で空き家は900万戸。担保価値が低く、直して貸す資金が借りにくいことが壁になっていた。
- 個人が使えるかは未定資料の図で借り手は「住宅借上事業者 等」。使える前提で計画を立てない。
- 今ある手段で資金は組める自己資金とリフォームローンが中心。機構のセーフティネット住宅向けリフォーム融資は個人も申し込める。
- 判断の軸は「新制度がなくても数字が合うか」合うなら今動き、合わないなら見送る。熊谷市の実例は購入180万円・リフォーム600万円・家賃6万円。
- 公表されたら5つを確かめる対象者・金利・融資率・物件の条件・窓口。この記事も合わせて更新する。
制度を当てにせず、数字が合う物件を探すところから始めてみます。
それが一番確かな始め方です。リハコでは、工事費と家賃まで数字にした物件をご紹介しています。制度の条件が出たら、使えるかどうかも一緒に確かめましょう。
制度を待たずに、数字が合う空き家投資を始めませんか
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