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2025.03.10 更新 2025.03.07 公開
市街化調整区域でも売買はできるが難易度は高い|状況別手続きを解説
農業用地と住宅地の空撮

「相続した実家が市街化調整区域だけど、普通に売買ってできるの?」
「市街化調整区域って売買しにくいって聞いたけれど本当?」

相続で譲り受けた土地や建物などの不動産が「市街化調整区域」(街づくりが進まないよう建物の建て替えや増改築を制限しているエリア)だと聞いて、もしかして売買できないのではと不安に思っていませんか?

この不動産を売って、自分たちの新しい住宅購入費用にあてよう……など色々と算段していたのならなおさら、「市街化調整区域」が売買できるかどうかは非常に気になる点でしょう。

結論から申し上げると、市街化調整区域であっても売買はできます

しかし「市街化調整区域」という特性上、国や自治体による様々な制限や条件があるため、売買しやすくするためには予め必要な手続きが発生します。

さらに重要なのは、市街化調整区域に建物が残っている場合は、それがどんな状態だとしても決して壊さないことです。(詳しくは8章をご覧下さい)

そこでこの記事では、市街化調整区域の売買をスムーズに進め、これ以上固定資産税を払わなくてもいいようにするために、次のような区分に沿って売買しやすくするための方法について触れていきます。

  • 宅地
  • 農地
  • 更地
  • 山林

この記事を読むことで、

  • あなたの持っている市街化調整区域の不動産をどのように売買できるのか
  • どのような人に売ることができるのか

などを理解していただけます。さっそく見ていきましょう!

この記事の目次

1.市街化調整区域の売買はできるが難易度が高い

冒頭でもお伝えしたように、市街化調整区域であっても不動産の売買は可能です。ただし通常の不動産と比べると、売買の難易度が高くなるケースがほとんどです。

なぜなら、市街化調整区域は原則的に建物を新しく建てたりリフォームすることを禁じているため、たとえ売買できたとしても、その後の土地活用で様々な手続きや条件が課せられるからです。

例えば、市街化調整区域で不動産を購入後、家を建てたり増改築したい時は自治体から「開発許可」や「建築許可」を得なければなりません

しかし両許可の取得要件はとても厳しいため、なかなか許可を得ることができません。

せっかく念願の土地を手に入れたとしても、思い通りの建物を建てたりリフォームするのは、なかなか厳しい現状があるのです。

ただしこのような市街化調整区域の中でも、比較的売買がしやすいケースと売買しにくいケースがあります。1章ではそれぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。

【市街化調整区域の売買は専門業者への相談がおすすめ】
市街化調整区域の取り扱いにあたっては、国や自治体のさまざまな条例が関連してくるため、専門的な法律用語も多くなります。

本章では専門用語も絡めて解説していくため、ご自身の不動産がどのようなケースにあてはまるのか、判断することが難しいかもしれません。

判断を誤らないためにも、市街化調整区域の不動産については、あらかじめ不動産会社などの専門家に相談することをおすすめします。

1-1.市街化調整区域でも売買しやすいケース

市街化調整区域でも一定の条件を満たす不動産であれば、許可が不要であったり、許可されやすかったりするため、比較的売買しやすいと言えるでしょう。

具体的なケースを紹介するにあたり、関係する法律を簡単にまとめてみました。

ここからは、具体的な許可が下りやすいケースと許可が不要なケースを3つ、ご紹介していきます。

【建築許可が下りやすいケース】

下記に該当する場合は、比較的建築許可が下りやすいため、売買後に建物を建てたり増築したいと思っている買い手にとってプラスの判断材料となるでしょう。

  • 市街化調整区域指定前(線引き前:1970~1978年以前)から宅地だった場合
  • 都市計画法34条に該当する場合(市街化区域に隣接している場合など)

【建築許可が不要なケース】

また、以下のように特殊なケースに該当する場合は、そもそも建築許可が不要とされるケースもあります。

都市計画法43条に該当するもののうち都道府県知事の許可を不要とするもの
(一例)
・農業・林業・漁業などの目的で使用される建物や、従事者の住宅
・駅舎や公民館などの公共の建物
・災害などの非常時に必要となる応急措置としての建築物
・仮設の建物
・車庫や物置
・工事などで一時的に使用する第1種特定工作物(コンクリートプラント、クラッシャープラントなど)など
各事業用に開発されたエリア(都市計画事業など)に該当する場合
以下のエリアに該当する場合は、「建築許可」が不要のため売買しやすくなる
・都市計画事業(道路・公園・下水道などの整備)
・土地区画整理事業(道路などの公共物と宅地間の整備)
・市街地再開発事業(現在の市街地をリニューアルすること)
・住宅街区整備事業(大都市圏の住宅供給を促進する事業)

出典:
国土交通省関東地方整備局「都市計画事業」より一部抜粋
国土交通省「土地区画整理事業とは」
国土交通省「市街地再開発事業」
国土交通省「住宅街区整備事業」

【開発許可が不要なケース】

建築許可と同じく、用途が以下のようなケースに該当する場合は、開発許可が不要になります。

都市計画法29条の除外規定に該当している場合
(一例)
・農業、林業・漁業のために使用する建築物や、従事者の住宅用
・駅舎や鉄道施設
・図書館、公民館、変電所などの公的建築物 など
都市計画法34条に該当する場合
(一例)
・周辺住民の日常生活に必要な店舗や医療施設、学校、住宅など
・鉱物資源、観光資源など資源の有効必要な建築物
・温度、湿度、空気など特別な条件を必要とする事業で使用する建築物
・市街化区域に隣接または近接していること
・市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していること
・50戸以上の建築物(一般的に市街化区域内にあるものも含む)が連なっている地域 など

上記の条例はとても細かく複雑に定められているため、ご自身で判断するのは非常に難しいでしょう。

そのため、自分の不動産がどんなケースに該当するのか、まずは不動産会社などのプロに助言を仰ぐことをおすすめします。

1-2.市街化調整区域で売買しにくいケース

一方上記以外の場合は、以下のような理由で売買の難易度が高くなります。

地目難易度が高いケース・理由
宅地・市街化調整区域指定後(1970~1978年以降)に宅地となった場合
・都市計画法34条に該当しない場合
・都市計画法43条に該当しない場合
・都市計画法都市計画法29条の除外規定に該当しない場合
・各事業用に開発されたエリア(都市計画事業や土地区画整理事業など)に該当しない場合
農地・農地としての用途でしか売買できないため
更地・開発許可や建築許可を得る必要があるため(一部不要な場合もある)
山林・保安林だった場合、解除申請などの手続きが必要になるため

例えば「宅地」では、それぞれ都市計画法34条、43条や29条の除外規定に該当しない場合などは、許可が下りにくくなるため、売買の難易度が上がります。

また、「農地」の場合は農地としての用途で農家や農業従事者と売買する分にはいいのですが、それ以外の場合は土地の用途を変更するための手続きなどが必要になるので、売買の難易度が上がってしまいます。

「更地」についても、基本的には開発許可や建設許可を得る必要があるため、やはり買い手がつきにくくなる可能性があります。

次章では、こうした点を踏まえた上で、それぞれのケースで売買する際の手続きについて詳しく見ていくことにしましょう。

2.市街化調整区域の売買に必要な手続き一覧

市街化調整区域の売買に必要な手続きについて解説していきます。

まずは宅地・農地・更地・山林ごとに、建築許可や開発許可の申請の有無をまとめました。

許可が必要であっても、冒頭でお伝えしたように「許可が下りやすい」ケースもあるため、まずは下図を参考までにご確認下さい。

表をクリックすると、該当する章をすぐに見ることが可能です。

それでは1つずつ詳しく見ていきましょう。

2-1.市街化調整区域が「宅地」の場合

市街化調整区域が「宅地」にあたる場合は、以下のようなケースによって売買に必要な手続きが決まってきます。

1つずつ見ていきましょう。

2-1-1.市街化調整区域の「線引き前」か「後」か

市街化調整区域に「線引きされる前」「線引きされた後」かどうかで、必要な手続きが異なってきます。

線引きとは、市街化調整区域とそうでない区域(市街化区域)を分けることを指します。

1970~1978年(昭和45~53年)頃に行われたため、その前後に物件が建ったかどうかで判断します。
※地域によって時期は多少異なります。

もしあなたの不動産が「線引きされる前」の物件であるならば、前述したように「開発許可」は不要となりますので、「建築許可」のみを取るようにしましょう。

「線引きされる前」の不動産であれば、「建築許可」も通常に比べて取得しやすい傾向にあるので、「3. 市街化調整区域の売買|「建築許可」申請の流れ」を参考にして許可申請の流れをチェックしてみて下さい。

逆にあなたの不動産が「線引きされた後」に宅地として使用されていたものであるならば、「建築許可」と「開発許可」(開発行為が伴う場合に必要)を得なければなりません。

その際は3章に加えて「4. 市街化調整区域の売買|「開発許可」申請の流れ」も一緒にご確認下さい。

【線引きされた時期を知るには?】
登記簿謄本で次の2点を確認しましょう。

・土地の登記簿の地目欄に「宅地」と書いてあるか
・建物の建築年月日が、自治体が市街化調整区域として「線引き」した時期より以前か

上記項目が2つとも該当しているのであれば、あなたの物件は市街化調整区域に「線引き」される前から住宅として使用されていたことになります。

そのため、建物の建て替えや増改築する際には開発許可(建築許可は必要)を取る必要がなくなります。

2-1-2.都市計画法第都市計画法29条の除外規定に該当している場合

開発行為をする場合でも、都道府県知事から許可を得なければならないと定めた都市計画法第29条では、以下のようなケースの場合は開発許可が不要としています

・農業、林業・漁業のために使用する建築物や、従事者の住宅用
・駅舎や鉄道施設
・図書館、公民館、変電所などの公的建築物 など

上記の条件に該当するかどうかは、管轄している市町村の役所で確認してみましょう。

2-1-3.都市計画法34条に該当している場合

前項のケースに該当しない場合でも、市街化区域に隣接している場合など、特例として扱われる開発行為は、例外的に開発を許可されます(都市計画法第34条)。

・周辺住民の日常生活に必要な店舗や医療施設、学校など
・鉱物資源、観光資源など資源の有効必要な建築物
・温度、湿度、空気など特別な条件を必要とする事業で使用する建築物
・市街化区域に隣接または近接していること
・市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していること
・50戸以上の建築物(一般的に市街化区域内にあるものも含む)が連なっている地域 など

市街化区域に隣接していて、住民が生活する上で必要となる施設や店舗などは、家の建て替えや増改築のための開発許可を得やすくなっていることがわかります。

2-1-4.都市計画法43条のうち都道府県知事の許可が不要な場合

前項までは開発許可が不要だったり、許可されやすいケースについて見てみましたが、ここでは建築許可についても見てみましょう。

都市計画法第43条に該当する次のような場合は、建築許可が不要とされています。

・農業・林業・漁業などの目的で使用される建物や、従事者の住宅
・駅舎や公民館などの公共の建物
・災害などの非常時に必要となる応急措置としての建築物
・仮設の建物
・車庫や物置
・工事などで一時的に使用する第1種特定工作物(コンクリートプラント、クラッシャープラントなど)など

2-1-5.各事業用に開発されたエリア(都市計画事業など)に該当している場合

また、それぞれの事業のために開発されたエリアであれば、建築許可が不要となります。

具体的に「事業」とは、次のようなものを指します。

「事業」とは
・都市計画事業
⇒都市計画施設の整備に関する事業。
引用:国土交通省関東地方整備局「都市計画事業」より一部抜粋

・土地区画整理事業
⇒道路、公園、河川等の公共施設を整備・改善し、土地の区画を整え宅地の利用の増進を図る事業。
引用:国土交通省「土地区画整理事業とは」

・市街地再開発事業
⇒建築物及び建築敷地の整備並びに公共施設の整備に関する事業。都市機能の低下がみられる地域において、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図ることを目的とする。
引用:国土交通省「市街地再開発事業」

・住宅街区整備事業
⇒市街化区域内の農地や空地を活用、集約化し、公共施設・宅地基盤等を整備する事業。
引用:国土交通省「住宅街区整備事業」

あなたの所有している物件が、上記事業エリアに該当するかどうかは、各自治体の役所窓口で調べることが可能です。気になる方は一度問い合わせてみることをおすすめします。

次章からは市街化調整区域の農地・更地・山林など個々の状況に応じて、どのような対応が必要なのかについて詳しく解説していきます。

2-2.市街化調整区域が「農地」の場合

あなたが所有している市街化調整区域が地目で「農地」となっている場合は、「農地」以外の使われ方(駐車場や学校用地など)をすることができません。

そのため、用途が非常に狭まってしまうので、不動産売買もかなり厳しくなる可能性があります。

農業を営む人に農地として売買するのは問題がないのですが、それ以外の用途で売買したい場合は、「農地転用」の申請をして都道府県知事の許可を得なければなりません。

もし「農地転用」の許可を得ずに農地を売買したあと、その土地が駐車場や学校用地などとして使用された場合、土地の所有者に原状回復命令などが出されるリスクがあります。

そのため、現在地目で「農地」となっている土地を別の目的で使用したい場合は、必ず事前に「農地転用」の申請を行うことをおすすめします。

詳しくは「5.市街化調整区域の売買|「農地転用」申請の流れ」で述べていますので合わせてお読み下さい。

2-3.市街化調整区域が「更地」の場合

市街化調整区域が「更地」の場合も売買が可能です。

ただし他の地目と同様、新しく建築物を建てる場合は「建築許可」を得る必要があります。

「開発許可」については、以下のようなケース(「土地の区画形質の変更」と呼びます)で、許可を取る必要があります。

このように市街化調整区域が更地の場合でも、建物の建築・リフォームに複数の制約がかかることがわかります。

そのため売買の際は、売主であるあなたが必要に応じて自治体や国に許可を申請する一方で、買主にも建物を自由に設計・建築するのに制約がある旨を、事前に伝えておいた方がいいでしょう。

2-4.市街化調整区域が「山林」の場合

登記上の地目が「山林」の場合でも、売買はできます。

あなたの保有している「山林」が「保安林」である場合でも、山林として売買する分には土地の売買に制限はありません。

出典:新潟県「保安林制度の趣旨」より

売買に制限はありませんが、山林・保安林の売却によって持ち主が変わった場合は、その旨を自治体に届け出る必要があります

また、他の地目と同様、山林を売却したあとに、買主が住宅を建てたい場合は、地目を「宅地」に変更しなければなりません。

さらに保安林の場合には、「保安林の解除申請」が必要となります。

保安林の解除には、土地の特徴もあって申請手続きが複雑かつ時間がかかる上、新たに建物を建てたり、区画変更の許可を取るのが非常に難しいという傾向があります。

加えて、山林内の木は森林法によって守られているため、家を建てるために伐採したい場合は、所有者が「伐採造林届出書(伐採届)」を自治体に提出する義務があります。
※届出の義務があるのは、「地域森林計画対象民有林(5条森林)」に指定されていた場合。

そのため、保安林である山林を売買するのは、とてもハードルが高いことを理解しておくといいでしょう。

【保安林?地域森林計画対象民有林(5条森林)?それぞれの確認方法】

保安林詳細は各都道府県の窓口にお問い合わせ下さい。
地域森林計画対象民有林(5条森林)都道府県や市町村の林務課などにお問い合わせ下さい。

このように、市街化調整区域の山林を売買する際は、

  • 現在の山林の状況(保安林に指定されているのかどうか)
  • その後の用途(山林として使い続けるのかどうか)など

により、売主側が様々な対応をしなければならないので注意が必要です。

市街化調整区域の売買はやっぱり難しい?
とはいえ宅地として使用できない市街化調整区域は、買い手もなかなかつかず、いつまでも売れ残ってしまう可能性があります。

それでも、不動産を保有している限り毎年固定資産税の支払いは発生してしまうため、売主の負担はどんどん増えてしまいますよね。

市街化調整区域がどうしても売れない場合は、「手放す」という選択肢も残っています。

いつまで経っても買主が見つからない場合は、不動産を手放すことも検討することをおすすめします。

詳しくは下記記事を参考にして下さい。
市街化調整区域を手放したい!5つの方法を戸建・土地・農地別に紹介

3.市街化調整区域の売買|「建築許可」申請の流れ

それでは、ここまでたびたび登場した「建築許可」の実際の申請について、大まかな流れやかかる期間、費用などを見ていきましょう。

1つずつ見ていきます。

3-1.建築許可を申請する流れ

建築許可を申請する流れは以下のように進んでいきます。

市街化調整区域で建築許可を得るためには、まずは対象不動産のある自治体に相談します。自治体によっては「事前相談書」などのように、不動産の詳細を記入する用紙の提出を求めます。

「事前相談書」に基づいて、自治体側で建築許可が必要な不動産かどうかを判断します。万が一、建築許可が必要な不動産となった場合は、「建築許可申請」を提出します。

その審査で許可が下りれば、市街化調整区域であっても建物の建て替えなどが可能になります。

3-2.申請にかかる費用

申請にあたり自治体に支払う費用は、面積に応じて変更します。

たとえば千葉県における費用は以下のように決められています。(費用は変更することがあります。都度自治体窓口にてご確認下さい。)

出典:千葉県「開発行為申請等に係る手数料一覧表」より

このほかに、提出書類として用意しなければならない公的書類などの発行費用がかかります。一部参考までにご紹介します。

戸籍謄本450円(1通あたり)
公図の写し450円(1通あたり)
土地登記事項証明書600円(1通あたり)

このように、建築許可申請の際は「自治体側に支払う手数料+その他書類などの費用」がかかることを理解しておくといいでしょう。

4.市街化調整区域の売買|「開発許可」申請の流れ

市街化調整区域で、開発許可の申請をする際の流れも確認してみましょう。

開発許可を取得できるかどうかは、自治体の基準に沿って判断されます。一概に「許可が下りる」とは言えませんので理解しておきましょう。

実際の申請にあたっては、書類提出だけなくさまざまな事前準備が必要となります。

専門的な書類の用意などもあるため、できれば市街化調整区域の売買にくわしい専門家などプロに任せると安心でしょう。

それでは申請の流れと費用について詳しく解説します。

4-1.開発許可を申請する流れ

開発許可を申請する流れは、以下の通りです。

「開発行為許可申請書」は都道府県知事もしくは市長に提出します。

提出にあたっては、事前に「開発予定地に標識の設置」を行い、「住民への説明」を行う必要があります。

さらに開発許可を申請する人が、開発を行う土地の所有者でない場合は、土地の権利者などから同意を得る必要もあります。

どちらにしろ開発行為をするにあたっては、周辺住民からの同意を得なければなりません。

場合によっては多くの時間を要することがありますので、開発許可の申請は時間に余裕を持って行いましょう。

4-2.申請にかかる費用

「開発行為許可申請書」を提出するまでの事前準備や提出にあたっては、書類の準備に手がかかります。できれば行政書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

こうした法律のプロに依頼した場合、費用相場としては面積1平方メートルあたり1,500円前後で計算しておくといいでしょう。

申請する面積によって費用が変わるので、あらかじめ予算を建てると心配ありません。

150㎡の不動産の場合20~25万円程度

さらに自治体へ支払う開発行為関連の手数料もかかります。それぞれの用途と免責によって費用が異なります。

たとえば、上記3パターンで見た0.1ヘクタール(1ha=10000㎡なので0.1ha=1000㎡)未満の開発申請にかかる費用は以下の通りです。

用途面積費用
自分の居住用0.1ha未満8,600円
自分のビジネス用0.1ha未満13,000円
自分用以外の用途0.1ha未満86,000円

ぜひ参考にして予算を組んでおきましょう。

5.市街化調整区域の売買|「農地転用」申請の流れ

次に市街化調整区域での農地転用について、申請の流れやかかる期間、おおよその費用について解説していきます。

5-1.農地転用を申請する流れ

市街化調整区域で農地転用をしたい場合は、都道府県知事の許可が必要になります。申請する際は、次のような流れで進めていきます。

まずは対象農地を管轄している農業委員会に、農地転用が可能な土地かどうかを確認してもらいます。

農地転用の申請には、様々な書類が必要なので、この時に用意しなければならない書類もあらかじめ教えてもらうとスムーズに申請作業を進めることができます。

その後、「転用許可申請書」を農業委員会に提出し、都道府県知事の許可が下りるのを待ちます。

但し4ヘクタールを超える農地の転用を、都道府県知事が許可する場合には、あらかじめ農林水産大臣に協議することとされています。

無事許可が下りれば、農地以外の用途として土地を使用することができます。

但し市街化調整区域で農地転用の許可を得ることはとても難しいです。

専門的な書類の用意や煩雑な申請作業で多くの手間がかかるため、あらかじめ専門家(建築会社や土地家屋調査士など)に依頼するといいでしょう。

市街化調整区域の「農地転用」について詳しく知りたい場合は、各市町村に設置されている農業委員会に確認しましょう。

自分の自治体の農業委員会の探し方
各都道府県の農業委員会は(一社)全国農業会議所のサイトより検索できます。

5-2.申請にかかる費用

「農地転用」の申請自体には費用はかかりませんが、申請にあたって以下のような費用がかかります。

【農地転用にあたりかかる費用例】
・申請の際に添付する書類の発行費用:登記事項証明書、位置図、公図など様々な書類が必要。発行手数料は1通につき数百円~数千円となる。

・専門家(行政書士など)に依頼した場合の費用:8~15万円程度

まずはあなたが農地転用の申請をする際は、どのような添付書類が必要なのかを農業委員会にて確認し、大まかな費用を把握しておくと安心です。

リハコの司法書士なら農地転用費用をお安くできる可能性がありますので、お気軽にご相談ください。

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6.市街化調整区域の売買|「伐採造林届出書(伐採届)」申請の流れ

市街化調整区域内の山林を売却したあと、万が一買主が住宅を建てるために山林の木を伐採したいとなった場合は、森林法に基づき、所有者が「伐採造林届出書」を自治体に提出する義務があります。

この章では「伐採造林届出書」を申請するまでの流れと許可が下りるまでの期間、費用について見ていきましょう。

6-1.伐採造林届出書(伐採届)を申請する流れ

伐採造林届出書の申請は、次のような手順で進めていきます。

参考:林野庁「 伐採造林届出書作成の手引き 伐採造林届出制度の概要」を参考に図を作成

まずは「伐採造林届出書」を作成し、山林の管轄である自治体に提出します。

それを受けた自治体では、届出内容が市町村の森林整備計画に合っているかどうかを確認した上で、必要だと判断した場合には、内容を変更するよう指導を行います。

内容を確認した結果問題がないと判断されたら、「適合(確認)通知書」が発行され、伐採が可能となります。

万が一、こうした届出を行わずに無断で伐採を行った場合や、届出とは異なる計画が実施された場合は、自治体によって伐採中止や計画変更、造林といった命令が出されることもあります。

場合によっては、罰則の対象となることもあるので、必ず届出を出すようにしましょう。

6-2.申請にかかる費用

伐採造林届出書の申請にかかる諸費用については、山林を管轄する市町村窓口であらかじめ確認しておくようにしましょう

7.市街化調整区域を売買する方法5つ

ここまで市街化調整区域のそれぞれの不動産に応じた売買の条件についてお伝えしてきましたが、実際にはどのように売却を進めていけばいいのでしょうか?

市街化調整区域のような特殊な事情を持つ不動産は、以下のような方法を利用することで確実な売却へと繋げることができます。

  • 専門業者に買い取ってもらう
  • 不動産仲介業者に売買を依頼する
  • 空き家売買サイトを利用する
  • 農協や農業委員会に相談する
  • 隣地の所有者に打診する

それぞれの特徴は以下の通りです。

1つずつ見ていきましょう。

7-1.専門業者に買い取ってもらう

もっとも確実な方法は、市街化調整区域のような特殊な不動産を専門的に扱っている、プロの業者に買い取ってもらうことです。

【買取業者が買い取る場合のイメージ】

売主が直接業者に不動産を売るため、確実に・スピーディに売却することができます。

その際は以下のようなメリットとデメリットが生じることも知っておくといいでしょう。

詳細
メリット・売却までの時間が短い
⇒業者に直接不動産を売却するので、売れるまでの時間がかからない。
早ければ2日程度、遅くても1週間程度で売却した分の現金を受け取れる。

・契約不適合責任を問われない
⇒不動産の引き渡し後、契約書と異なる状態が出てきた際、売主が賠償責任や契約解除などの責任を問われる「契約不適合責任」を負わずに済む。
デメリット・売却金額が安くなる
⇒業者に直接売却すると、価格が安くなる傾向にある。
業者は買った不動産にリフォームを加えて再度販売に出すため、そのリフォーム代や工事費があらかじめ売却金額に乗せられているため。

上記のような理由から、プロの業者への買い取り依頼をした方がいいのは、一日でも早く不動産を売りたい、契約後のトラブルに巻き込まれたくないという方が向いていると言えます。

7-2.不動産仲介業者に売買を依頼する

不動産仲介業者に売買を依頼する方法もあります。

【不動産仲介業者に売買を依頼する場合のイメージ】

不動産仲介業者に物件の売買を依頼し、買主を見つけてもらう方法です。

仲介業者は物件情報をインターネットやチラシなどを活用して、幅広く流して買主を募るため、時間はかかりますが、価格面ではあなたの希望額に近い金額での売買が期待できます。

仲介業者に依頼した際のメリット・デメリットは以下の通りです。

詳細
メリット・売却金額が高くなる
⇒不動産仲介業者が物件を広い範囲で紹介してくれるため、多くの買い手が集まりやすい。
その中でも高額で買い取りを希望する人が現われれば、高い金額で売却できる可能性が高まる。
デメリット・売却までの時間が長い
⇒仲介業者を通すと、売却までに平均して3~6か月ほどかかる。

・契約不適合責任は売主が負う
⇒前述した「契約不適合責任」は売主が負うため、物件引き渡し後も安心できない。

このように見ると、不動産仲介業者に依頼すべき人は、できるだけ高い金額で不動産を売却したい人だと言えるでしょう。

7-3.空き家売買サイトを利用する

空き家売買サイトを活用して、市街化調整区域の不動産を売買する方法もあります。

空き家売買サイトとは、全国各地にある空き家情報を掲載しているサイトです。

民間企業が運営しているものから、各自治体が運営しているものもあり、登録・利用料は無料で誰でも使用することができます。

出典:LIFULL HOME’S「空き家バンク」トップページ

田舎暮らしや地方移住を検討するユーザーが多く利用ししており、各エリアの魅力や特性も共に紹介されているため、買主が物件の購入を検討する材料も多く揃っています。

このようなサイトにあなたの物件を登録することで、地域を超えた広い範囲で買主を募ることもできます。

空き家売買サイトを利用した際のメリット・デメリットは以下の通りです。

詳細
メリット・幅広いエリアで買主を募ることができる
⇒サイトを通じて、県内外問わず広い範囲で買主を見つけることができる。
特に地方移住や田舎暮らしを前向きに検討する、活力ある層にリーチ出来る可能性が高い。
デメリット・料金や条件交渉は売主が行う
⇒空き家売買サイトはあくまでも物件の紹介のみ行っているため、売買価格や条件などの交渉は売主が直接行う必要がある。法律・金融の知識がないと、トラブルが発生して対応に負われるリスクもある。

デメリットでも挙げましたが、空き家売買サイトは物件の情報を広く公開してくれる反面、買主とのやりとりはすべて売主が行う必要があります。

しかし市街化調整区域には、建物の建て替えや増改築にあたり様々な制約があるため、法的・金銭的などの専門知識がないと、スムーズな取引を行うことが難しいでしょう。

そのため空き家売買サイトを活用するのは、プロの業者に買い取ってもらえなかったり、不動産仲介業者を通じても買主が見つからなかったときなどの、「次の手」として利用することをおすすめします。

7-4.農協や農業委員会に相談する

農協や農業委員会に相談する方法もあります。

地目が田や畑、農地となっている場合は、農地として使用するよう定められているため、買主も農業委員会から許可を得た農家や農業従事者に限られてしまいます。

そこで、少しでもあなたの土地を買ってくれる可能性のある農家や農業従事者を見つけるためにも、農協や農業委員会に相談してみることをおすすめします。

あなた一人では見つけられなかった買主も、様々な情報が集まってくるこのような組織であれば、見つけることができるかもしれません。

7-5.隣地の所有者に打診する

隣地の所有者に打診するのもいいでしょう。

たとえば隣地が店舗や会社などだった場合、来店者や従業員のための駐車場などで土地を使いたいという場合もあります。

なぜなら、建築を伴わない駐車場(柱と天井のない青空駐車場のタイプ)であれば、国や自治体から許可を得る必要がないため、スムーズに使用を開始することができるからです。

また、会社や店舗の資材置き場などとしても活用ができます。こちらもやはり許可不要となるため、市街化調整区域であっても使用しやすいのです。

このような状況から、なかなか売れない市街化調整区域は、念のため隣地の所有者にニーズがあるかどうかを確認してみましょう。

8.【重要】市街化調整区域に家が残っている場合は売却前に取り壊さないこと

ここまで市街会調整区域の売却方法についてお伝えしましたが、最も気を付けたいのは、市街化調整区域に家が残っている場合は、売却前に取り壊さないことです。

なぜなら市街化調整区域では、基本的には建物の建て直しや増改築を禁じているため、一度建物を解体してしまうと新しく建てるのが難しくなってしまうからです。

一度更地になってしまった市街化調整区域は、ニーズが高くないため売却の難易度がぐっと上がってしまいます。

せっかく高い解体費用をかけて建物を解体しても、買い手がつかなくなっては本末転倒です。

どのような特殊な物件であっても、建物が残っていれば買い手は見つかりやすくなります。そのため、市街化調整区域内の建物は、取り壊さないようにしましょう。

市街化調整区域の売買でお困りならリハコへご相談下さい

リハコでは以下のような3つのポイントで、市街化調整区域の物件であってもスムーズな売買をお手伝いできます。

(1)そのまま活かすから解体費用がかからない

リハコは空き家をお買取り後に、高品質なリノベーションを行います。

更地にする場合は、空き家の持ち主が解体費用を払う必要がありますが、リハコは空き家をそのまま活かすため、解体費用がかかりません。

(2)ボロボロの空き家でも凄腕職人が直すから

多くの方が売れないと諦めている古く使い勝手の悪い空き家でも、流行を取り入れた魅力的な物件へと生まれ変わらせることができます。

【リハコのリノベーション事例】

上記の事例のように、「傾きがある+不便な立地に建っている」という不利な条件を持つ物件であっても、購入希望者が殺到するほどのお洒落な物件へと生まれ変わっています。

リハコは空き家をお買取りしたあと、このようにリハコの全負担でリノベーションを行っています。

(3)破格の安さでリノベーションするから

リハコは自社で設計から施工までのリノベーションを全て行います。

破格の安さでリノベーションができるため、その費用分、高く空き家をお買取りすることができるのです。

特に売買しにくいとされる、市街化調整区域の「山林」に分類される物件も取扱い実績があります。

出典:リハコ「【インタビュー】千葉県流山市の市街化調整区域で空き家売却を成功したご夫妻」より

上記物件の売主様は、約10年もの間、買い手のつかない市街化調整区域の「山林」保有で悩まれており、リハコにご相談いただきました。

この物件は市街化調整区域にあるだけでなく、玄関が3階にあり、車道が「道路」になっているという特殊な構造となっていました。

そのため解体費用が700~800万円近くかかると言われ、かといって手放すこともできないまま、長年固定資産税と草刈り代で年間5万円強の費用を払い続けていました。

しかしリハコにご相談いただいてから約2ヶ月で、現地調査や市役所への相談、買主への打診などを経て、無事売却に成功。お客様の長年のお悩みを解決することができました。

出典:リハコ「【インタビュー】千葉県流山市の市街化調整区域で空き家売却を成功したご夫妻」より

このように、たとえ市街化調整区域内の不動産であっても、リハコでは誠心誠意サポートさせていただきます。

空き家売却&再生のプロとして、できることを一緒に進めていきましょう。
どのような状況の空き家であっても、決して諦めずに一度ご相談下さい。

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9.まとめ

今回は市街化調整区域の売買についてご紹介してきました。

市街化調整区域は、原則として建物を新しく建てたり、増改築を行うことを禁じられているエリアです。

しかし、同エリアの不動産を売買することは可能です。

但し、売買後の土地活用で様々な手続きや条件が課せられるため、ひとつひとつ確認を行いながら進めていく必要があります。

その際、詳しい法律の知識や専門的見地に基づいた判断が必要になるため、悩まれた場合はぜひ市街化調整区域の売買に強い専門家に依頼することをおすすめします。

藤本 祐輔
記事監修
藤本 祐輔
代表取締役

同志社大学を卒業後、株式会社光通信に入社し営業職に従事。2019年から不動産賃貸業をはじめ、築古戸建の再生を主とした賃貸業を営む大家さんの一面を持つ。空き家問題をさらに大きな枠組みで解決するために、「空き家を復活させ、街を復活させ、活気あふれる日本をつくる」という理念で株式会社リハコを設立。保有資格は宅地建物取引士と空き家相談士。

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