コラム COLUMN

2024.11.01 更新 2024.10.31 公開
雨漏りする家を売却したい!そのまま売却した方が良い理由を解説

「家を売却したいけど、雨漏りしているから買い手が見つかるか不安・・・」
「雨漏りする家でも購入してくれる人を見つけるにはどうしたら良いのだろう・・・」

家を売りたいと思っている方の中には、こんな悩みをお持ちの方もいるかもしれません。雨漏りがある家は、買い手が見つかりにくく、売るときの価格も下がってしまいます。

そんなときに考えられるのが、雨漏りを修理してから売るという方法です。

しかし、雨漏りを修繕してから売却する方法はあまりおすすめできません。なぜなら、雨漏りの修繕業者には悪徳業者も潜んでいるからです。

依頼主が屋根に登れないことが分かっているので、業者が自分で屋根を割って、それを修繕して法外な金額を請求する業者さえいます。当然、全ての業者がそうではないですが、少なくないというのも事実です。

そのため、雨漏りしている家は、そのままの状態で売却することをおすすめします。

実際に不動産会社に相談してみると、雨漏りする家でも売却することが可能です。

この記事では、雨漏りする家を売却した事例や、購入希望者を見つけるコツを紹介します。

また、通常の家と比べた売却価格の違いや、売却の手順についても解説しています。雨漏りする家の売却にお困りの方は、ぜひ最後までご覧ください。

1.雨漏りする家でも売却できる!実際の取引事例を紹介

  • 住所:群馬県邑楽郡板倉町
  • 築年数:築49年
  • 訳あり:雨漏り(1階まで被害あり)

本ブログを運営しているリハコは、訳あり物件の売却のサポートや、買い取りを実施している会社です。今回は群馬県邑楽郡板倉町にある、雨漏りする家のかなりひどいケースの取引事例を紹介します。

家の持ち主は40年以上この家に住んだ後、近所のアパートに引っ越し、3年ほどこの家を放置していました。雨漏りの被害が1階まで広がっている状態でした。

お客様の声


地元の不動産屋さんに相談しましたが、見た目がひどすぎると言われ、すぐに断られてしまいました。そんな中でリハコさんに出会い、話を聞いてみると、売却が可能だということが分かりました。雨漏りで困っていた家でも、対応してくれる会社があるというのは、本当にありがたかったです。
A.N様(65歳・男性)

リノベ前のリノベ後のビフォーアフターの写真をご紹介します。

1-1.部屋

1-2.玄関

1-3.キッチン

リノベ前の写真を見ていただければ分かる通り、雨漏りがかなりひどいケースでも売却できることが分かっていただけましたでしょうか。

さすがにここまでひどいと、修繕費用も高くなりますが、それでも売主様の処分費用は無しで売却ができました。

リハコは家の売買からリノベーションまで行える不動産会社ですが、こちらのお家はリハコがお買取りし、リノベーションまで行いました。

2.雨漏りする家を売却する方法

雨漏りする家を売却する方法は、主に仲介と買取の2種類があります。

  • 仲介では、不動産会社に購入希望者を探してもらうことが可能です。
  • 買取では、不動産会社が持ち主から家を直接購入します。

それぞれのメリットとデメリットを、以下の表にまとめてみました。

仲介買取
メリット・高値で売却しやすい・すぐに売却できる
・仲介手数料が要らない
・契約不適合責任が免除されるケースがある
デメリット・仲介手数料が必要
・短期間で売却しにくい
契約不適合責任を負うリスクがある
・売りに出していることを近所の人に知られる可能性がある
・売却価格が仲介より安くなりやすい
・物件の状態によっては買取を拒否される可能性がある

仲介で購入者を探せば予想外の利益が上げられる可能性があるため、仲介で売却を進めて、それでも売却できなければ買取を依頼するという流れがおすすめです。

仲介では仲介手数料が必要にはなりますが、インターネットを通じて多くの購入者を探すため、買取で安値になってしまうよりも利益が最大化できるからです。

※「契約不適合責任」とは、家を売った際に、その家が契約内容と違っていた場合に、売主が責任を負うというものです。例えば、雨漏りなどの問題を契約時に伝えていなかった場合、引き渡し後にその不具合が見つかると、売主が修理費を負担しなければならないことがあります。

3.雨漏りする家を初めて売却するときにおすすめの方法

雨漏りする家を売却するときは、まずは仲介で依頼してみましょう。不動産会社同士の繋がりを活かしたり、物件情報サイトに家の情報を掲載したりすることで、「雨漏りする家でも購入したい」という人が見つかるかもしれません。

ただし、不動産会社によっては、雨漏りする家の仲介を行っていない場合もあります。できれば複数社に声をかけ、「雨漏りのある家を売却したことはありますか?」と尋ねてみてください。

実績がある会社なら、「契約不適合責任」の問題なども考慮して、契約書を作成してもらうことが可能です。

雨漏りのある家を売却するときは、売却後にトラブルが無いよう努めてくれる不動産会社を選べるかどうかが、一番のポイントになってきます。

雨漏りのある家を仲介できる会社が見つからなかったり、仲介では購入希望者が見つかりそうにないときは、買取を選択してください。

まずは不動産会社のスタッフに家の状態を見てもらい、査定額や売却の可能性を確認してから、売却方法を検討しましょう。

4.雨漏りする家は通常の売却価格と比べるとどのくらい下がるの?被害が大きければ100万円も下がる

雨漏りする家の売却価格は、被害が大きければ大きいほど売却価格が下がります。例えば、細かいひび割れを補修する「コーキング処理」を施すときは、売却価格が数千円〜5万円ほど低下します

瓦のズレ等の小さな被害の場合は、売却価格が通常より30万円前後下がると考えて良いでしょう。法律では屋根に上るには足場が必須である旨が定められており、戸建ての場合は足場代だけでも20万円はかかるためです。

屋根全体をカバーして修繕する「カバー工法」での修復が必要と判断された場合は、100万円ほど売却価格が低下します

雨漏りする家の売却価格の下がり幅は、雨漏りの被害の大きさと必要な修復工事の内容によって異なります。

そのため、雨漏りのある家を売るときは、不動産会社と相談して、売却価格を下げてください。購入者が雨漏りを修繕するため、その費用を減額してあげる必要があります。

その代わり、物件の持ち主側では雨漏りの修繕を行わないため、悪徳な施工業者に工事を依頼してしまうリスクを避けられるのは大きなメリットになります。

5.雨漏りする家の購入希望者を見つけるコツ

ここでは、雨漏りする家の購入希望者を見つけるコツを4つ紹介します。工夫次第で雨漏りする家でも購入者をスムーズに見つけたり、想定していたより良い価格で売却したりできるため、実践できそうなものがあればぜひ試してみてください。

5-1.雨漏りする箇所を修理してから売りに出す

本当に信頼できる雨漏り修繕の業者が近くにいる場合は、修繕してから売りに出すことをおすすめします。売却の資料に「雨漏りあり」という表記の有無によって、売却できる確率と価格が変わってくるからです。

ただし、修理を依頼するのは雨漏りの被害が少ない家だけにしてください。雨漏りを修繕しても家が希望価格で売れるかどうかは分からないからです。

100万円かけて雨漏りを修繕しても、家の立地や状態などで希望価格で売却できない可能性があります。

結局、価格を下げることになるなら、雨漏りのある状態で価格を下げて売却した方が手間もなくスムーズです。

目安の価格は、本当に信頼できる業者が30万円以内で修繕できる場合のみ、修理依頼をしてみてください。その他の場合は、修繕せずに雨漏りのある状態で売りに出すと良いでしょう。

5-2.修繕保証を付けたうえで売りに出す

こちらも本当に信頼できる業者が身近にいる場合に限りますが、屋根の修理後は、修繕保障を付けてもらってください。

修繕保証とは、修理が完了してから一定期間内に不具合が再び発生した場合、施工業者に無償で補修してもらえる保証のことです。

売却後に雨漏りが発生しても無償で工事をしてもらえるため、購入者の負担軽減や安心感に繋がります。

雨漏りに関する修繕保証の期間は、住宅の種類や修繕の状況によって異なります。雨漏りの修繕保証が有効な期間の目安を、以下の表にまとめてみました。

住宅の種類・状況修繕保証が有効な期間の目安
新築住宅10年間
防水工事1~3年間
リフォーム5年間

信頼できる雨漏り修繕の業者に依頼するときは、保証の有無を確認してください。修繕した後に売却をする場合は、修繕保証を付けたうえで売りに出せば、購入者も安心してもらえるため、スムーズに売却することができます

5-3.訳アリ物件の取り扱いを専門とする不動産会社を利用する

不動産会社の中には、訳アリ物件を専門に取り扱う会社もあります。最近では、古い戸建てをリノベーションして賃貸として貸し出す投資家が増えているため、安く購入できる訳アリ物件を探している不動産会社も増えています。

仲介を行う不動産会社は、訳アリ物件の購入希望者を独自に探すネットワークを持っているため、購入希望者が見つかりやすいです。

また、買取に対応している不動産会社は、自社でリフォームを行ってから購入希望者に売ったり、自社で賃貸物件として貸し出したりするビジネスモデルを持っています。

訳アリ物件にも一定の需要があるため、こうした専門的に取り扱う不動産会社を利用すれば、雨漏りする家も売却しやすくなるでしょう

6.雨漏りする家を売却する流れ

雨漏りする家を売却する際は、基本的には以下のような流れで不動産会社を探し、売却の手続きを進めます。

  1. 複数の不動産会社に仲介ができるか相談する
  2. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  3. 売却活動に取り掛かる
  4. 購入者と売買契約を結ぶ
  5. 売却する家を引き渡す
  6. 必要な場合は確定申告を行う

それぞれの手順について、以下の見出しで詳しく解説します。

6-1.複数の不動産会社に仲介ができるか相談する

まずは複数の不動産会社に、雨漏りがある家でも仲介ができるか相談してみてください。仲介で売却できれば高値で売れる可能性が出てきます。

そして査定を依頼し、雨漏りする家がどれくらいの価格で売却できるのかを把握しましょう

2社以上に査定を依頼することで査定額やサービスの内容を見比べられるため、より自分に合った不動産会社を見つけやすくなります。

査定の仕方は、簡易査定と訪問査定の大きく2種類あります。それぞれの特徴は、以下の通りです。

査定方法特徴
簡易査定査定を依頼したときに伝えた情報や、不動産会社の独自調査で得たデータをもとに査定額を算出する
訪問査定実際に現地まで不動産会社のスタッフが赴き、現状や周辺環境を確認したうえで査定額を算出する

簡易査定は手軽かつ素早く査定額を知りたいときに、訪問査定は具体的で正確な査定額を知りたいときに有効な方法です。査定を依頼するときは、雨漏りしている箇所がある旨を正直に伝えましょう。

6-2.不動産会社と媒介契約を結ぶ

売却の仲介を依頼したい不動産会社が決まったら、「媒介契約」という契約を結びます。媒介契約とは、家を売却する際、不動産会社が間に入って購入希望者を探してもらうために結ぶ契約のことです。

媒介契約には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類あります。それぞれの違いは、以下の表の通りです。

一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
他の不動産会社とも媒介契約を結ぶ××
自分で購入者を探して取引する×
売却状況の報告の頻度決まりなし2週間に1回以上1週間に1回以上
契約期間決まりなし3カ月以内3カ月以内

2社以上に仲介を依頼したいときは一般媒介契約、自分でも購入希望者を探したいときは専任媒介契約、1つの不動産会社にすべてお任せしたいときは専属専任媒介契約を結ぶと良いでしょう。

6-3.売却活動に取り掛かる

売却の方針が決まったら、売却活動を始めます。不動産会社のスタッフがすべて進めてくれるので安心です。家の情報をインターネットで物件情報サイトに掲載したり、同業者と連携して購入希望者を探したりします。

6-4.購入者と売買契約を結ぶ

購入者が決定したら、売り主と購入者の関係者が不動産会社に集まり、売買契約を結びます。売買契約を結ぶ際は、次のようなことを行います。

  • 本人確認
  • 重要事項の説明
  • 売買契約書への捺印
  • 手付金の支払い(買主様)

売買契約を結ぶときは、身分証明書や印鑑証明書といった書類が必要です。不動産会社からの指示に従い、早めに準備を進めることをおすすめします。

重要事項の説明には、家の不具合に関する内容も含まれています。雨漏りに関する情報に抜け漏れがないか、改めてじっくり確認したうえで契約を結びましょう。

6-5.売却する家を引き渡す

売買契約を結んだときに決めた日程で、売却する家を購入者へ引き渡します。売買契約を結ぶときに同席した人に加え、金融機関の担当者や司法書士が参加するのが一般的です。売却する家を引き渡すときは、次のようなことを行います。

  • 登記関連書類の確認
  • 購入者によるローンの実行
  • 仲介手数料の支払い
  • 抵当権の抹消
  • 家の鍵や書類の引き渡し

家の鍵を購入者に渡す前に、売主の方で電気代・ガス代・水道代といった公共料金の精算を済ませておく必要があります。家の引渡し日が来る前に、未払いの公共料金がないかよく確認しておきましょう。

6-6.必要な場合は確定申告を行う

家を売却して得たお金は「譲渡所得」に分類され、利益が出た場合は「譲渡所得税」という税金の納付が求められます。雨漏りする家を売却するときの収支がプラスになる場合は、確定申告を行って税金を納めましょう

確定申告の時期は、所得が発生した翌年の2月16日〜3月15日です。例えば2024年12月1日に家を売却して譲渡所得が発生した場合、2025年2月16日〜3月15日の間に確定申告をします。

税金の特例制度を適用し、譲渡所得税の納税額が0円になった場合も、特例制度を適用するための確定申告が必要です。分からないことがあれば税務署にいけば丁寧に説明してもらえるので、申告漏れを防ぎましょう。

7.雨漏りする家を売却するときの注意点

ここでは、雨漏りする家を売却するときの注意点を4つ紹介します。気を付けるポイントをしっかりと把握し、スムーズに家の売却に取り掛かりましょう。

7-1.家の売却を先延ばしにしない

雨漏りする家を売却するときは、家の売却を先延ばしにしないよう注意しましょう。家の売却を後回しにすると、次のようなことが起こるリスクが高まります。

  • 雨漏りの箇所の拡大
  • 雨漏りによる二次被害の悪化
  • 経年劣化による売却価格の低下
  • 近隣住民からの苦情の発生
  • 子孫の間での相続トラブル

劣化すればするほど購入希望者は見つかりにくくなりますし、雨漏りした箇所の腐食が進むと建物が倒壊する可能性も出てきます。雨漏りする家を売却したいと思ったら、なるべく早く行動に移すようにしましょう。

7-2.雨漏りしていることを正直に購入者に説明する

家を売却するとき、売主には「告知義務」という義務が課されます。告知義務とは、売却する家に関する注意事項を、購入者にあらかじめ伝える義務のことです。

告知義務に違反すると、購入者から契約解除や売却価格の減額を求められたり、損害賠償請求をされたりするケースがあります。以前雨漏りした箇所を修繕し、現在は雨漏りしなくなっていても、雨漏りが発生していた旨は購入者に伝えなければなりません。

家を売却する際、雨漏りに関する情報はマイナスポイントですが、現状や経過を正直に説明することが大切です。

7-3.雨漏りによる二次被害の報告も忘れない

雨漏りすると、二次被害としてカビや腐食が発生したり、シロアリが住みついたりする場合があります。雨漏りによる二次被害にも告知義務があるため、購入者への説明を忘れないようにしましょう

8.雨漏りする家を売却するときにかかる費用

雨漏りする家を売却するときにかかる費用は、通常の家を売却するときの費用とほとんど変わりはありません。主に必要な費用は、以下の表の通りです。

費用金額の目安
仲介手数料最大30万円+税
※売却価格が800万円以下の場合
印紙税200円~5万円(売却価格が1000万円以下の場合かつ、軽減税率の適用の有無により異なる)
譲渡所得税売却価格、特例の適用の有無により異なる

雨漏りしている箇所を修理したうえで売却する場合は、上記の費用に修理費が加算されます。工事内容ごとの修繕費の目安は、次の通りです。

  • 外壁の修理:5万円~
  • 窓枠・ベランダ等からの雨漏りの補修:5万円~
  • 瓦のズレの補修:30万円~
  • 屋根全体をカバーして補修(カバー工法):100万円~

雨漏りしている箇所を直したうえで売却するときは、修繕費の一部を売却価格に上乗せすることも可能です。細かい費用は修理の規模や使用する材料・工法などによって異なるため、詳しくは施工業者に尋ねてみてください。

9.雨漏りする家を売却するときにかかる期間

雨漏りする家を仲介で売却する場合にかかる期間の目安は、3カ月〜1年です。通常の家を売却するよりも時間がかかるケースが多いため、長い目で売却活動を進めましょう。時間が経つほど物件価値が下がることを見越して、早めに売却に取り掛かるのもおすすめです。

雨漏りの被害が大きく、仲介では購入希望者が見つかりにくいと考えられる場合は、不動産会社に買取を依頼するのもひとつの手段です。

10.まとめ:雨漏りする家も売却できる!

不具合がない家よりは値段が下がりますが、雨漏りする家でも解体せずに売却できます。まずは仲介で売却できないか相談し、難しそうなら買取に方針を切り替えてみると良いでしょう。状態が悪く、仲介だと購入希望者が見つかりそうにないときは、初めから買取を依頼するのもおすすめです。

このブログを運営しているリハコは、空き家の売買からリノベーションまで行える不動産会社です。雨漏りする家にも対応しており、契約不適合責任で売主様が不利にならないよう売却が可能です。

雨漏りする家の扱いにお悩みの方は、ぜひお気軽にリハコまでお問い合わせください。

藤本 祐輔
記事監修
藤本 祐輔
代表取締役

同志社大学を卒業後、株式会社光通信に入社し営業職に従事。2019年から不動産賃貸業をはじめ、築古戸建の再生を主とした賃貸業を営む大家さんの一面を持つ。空き家問題をさらに大きな枠組みで解決するために、「空き家を復活させ、街を復活させ、活気あふれる日本をつくる」という理念で株式会社リハコを設立。保有資格は宅地建物取引士と空き家相談士。

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