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「傾いた家を直すにはどうしたらいいんだろう?自分でもできる?」
「今後誰かが住む可能性もあるし、家の傾きを直しておきたい」
完成してから時間が経過した家は、柱が傷んだり地盤が下がったりして、傾いてしまうことがよくあります。
家の傾きを放置していると体調不良や倒壊のリスクが高まるため、早めに対応する方が良いでしょう。
そこで、傾いた家の修復に関するフローチャートを用意しました。参考までに、どの方法が自分に向いているか確認してみてください。

本記事では傾いた家を直す方法として、
の3つの方法について詳しく解説します。
この記事を読めば、傾いた家を直すには、自分はどのように対応すれば良いか理解できるでしょう。
傾いた家を快適な住空間に回復させるため、ぜひ最後までチェックしてみてください。
この記事の目次
1.家が傾く原因

建物の劣化や地盤の弱さなど、家が傾く原因は何種類もあります。以下の表に、家が傾く原因・具体的な内容・被害が出やすい箇所をまとめました。
家が傾く原因 | 具体的な内容 |
建物の劣化 | 完成から時間が経つにつれ、柱や床の形が歪む |
雨漏り・浸水による腐食 | 家に使われている木材が少しずつ腐食してバランスが崩れる |
シロアリ | シロアリが家の基礎や柱を食べてバランスが崩れる |
施工不良・設計ミス | 新築時からバランスが悪く、家の重みや地震で傾く |
地盤沈下 | 家が建っている土地そのものが沈み、家が傾く |
液状化 | 地盤が液体のように柔らかくなり、家が傾く |
傾いた家を直す方法は、家が傾く原因や被害の大きさなどによって異なります。例えば地盤沈下だとまた傾く可能性があるため、専門家に相談した方が良いでしょう。
白アリが原因の場合、シロアリを駆除して木材を入れ替えれば傾いた家を直せます。自分で修復するのも良いですし、難しい場合は業者に依頼するのもおすすめです。
2.傾いた家を放置するリスク

傾いた家を放置すると、さまざまなリスクが発生します。具体的な内容は以下の通りです。
健康面のリスク | 平衡感覚がおかしくなり、頭痛・肩こり・だるさ・めまい・吐き気・疲労感・食欲不振・睡眠障害などを引き起こす |
生活面のリスク | ドアや窓がきちんと閉まらない、鍵がかかりにくい、すきま風が入る |
安全面のリスク | 亀裂・ひび割れの発生、地震による倒壊 |
生活面だけでなく、住む人の健康や安全にも悪影響を及ぼすのが傾いた家の欠点です。
このように傾いた家には多くのリスクがあるため、売却しようと思っても購入希望者が見つからないケースがよく見られます。
家の中で快適かつ安心して過ごすため、家の傾きは早めに直すことが大切です。
3.傾いた家を直す方法5選!費用と期間の目安も解説

傾いた家を直す方法には、さまざまな種類があります。今回は数ある修復方法のなかでも、よく行われるものを5種類ピックアップしました。
それぞれの直し方の、費用と期間の目安は以下の表の通りです。
傾いた家を直す方法 | 費用の目安 | 期間の目安 |
薬液注入工法 | 200万~600万円 | 1~3週間 |
土台上げ工法 | 100万~400万円 | 10日~3週間 |
耐圧版工法 | 200万~700万円 | 10日~5週間 |
アンダーピニング工法 | 300万~1,000万円 | 3週間~2カ月 |
レベル調整 | 1平方メートルあたり5,000円~ | 1日~ |
傾いた家の直し方を把握しておくと、自分で修復したり業者に依頼したりするとき、スムーズに作業や話し合いを進められます。
図も用いて解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
3-1.薬液注入工法

費用の目安 | 200万~600万円 |
期間の目安 | 1~3週間 |
対応できる家の傾き | ・5cm程度の傾き |
薬液注入工法とは、家が建っている地盤に薬液を直接注入し、固まらせることで、地盤の強度や止水性を高める方法です。
薬液を注入することで、地盤内部の空気を追い出したり隙間を埋めたりでき、地盤の強化や沈んだ箇所の隆起を促します。
地盤の土質や工事する範囲に合わせ、注入する薬液の種類や配合を決定します。安定した地盤には硬質ウレタン、軟弱な地盤ならグラウトがよく用いられます。
ただし注入した薬液がうまく固まらないことや、工事の範囲内に十分浸透しないケースもあるため、施工に慣れている業者に依頼することが大切です。
3-2.土台上げ工法

費用の目安 | 100万~400万円 |
期間の目安 | 10日~3週間 |
対応できる家の傾き | ・10cm程度の傾き ・地盤が強い ・応急処置として家の傾きを直したい |
土台上げ工法は、「プッシュアップ工法」や「あげ舞い工法」とも呼ばれる方法です。
傾いた家と基礎を切り離し、専用のジャッキで間を支え、ジャッキを入れてできた隙間に「モルタル」という建築材料を流し込んで家の傾きを修復します。
比較的費用も安く、期間も短期間で工事が完了するのがメリットです。
ただし工事後に再び地盤沈下が発生し、基礎が沈んだ場合は、また家と基礎の間に隙間ができて家が傾く可能性があります。
土台上げ工法は、地盤が強いところに建っている家や、応急処置として家の傾きを直したい方に向いている方法です。
3-3.耐圧版工法

費用の目安 | 200万~700万円 |
期間の目安 | 10日~5週間 |
対応できる家の傾き | ・10cmより大きくても対応可能 ・地盤が強い |
耐圧版工法は、家の基礎部分の下に耐圧版やジャッキを設置して、家の傾きを修正する方法です。
工事ではまず基礎部分の下を掘り、「耐圧版」という鉄板を設置します。
耐圧版の上に鋼管やジャッキを設置して家が水平になるまで持ち上げた後、土を埋め戻したり隙間をモルタルで埋めたりしたら工事完了です。
ただし、地盤沈下が発生すると耐圧版も傾き、家全体も再び傾いてしまうため、地盤が強い場所に建っている家に向いている方法であることは留意しておきましょう。
3-4.アンダーピニング工法

費用の目安 | 300万~1,000万円 |
期間の目安 | 3週間~2カ月 |
対応できる家の傾き | ・10cmより大きくても対応可能 ・地盤が弱くても対応可能 |
アンダーピニング工法とは、「鋼管圧入工法」とも呼ばれる方法です。
家の基礎の下を掘ってその下にジャッキを設置し、さらにジャッキの下へ「鋼管」という杭を打ち込みます。
鋼管は地盤が強いところまで打ち込まれるため、地盤が弱い場所での傾きの修正にも対応することが可能です。
しかし工事の際、掘り進める深さが他の工法よりも深くなりやすいため、工事費用は高く、工事期間は長くなる傾向にあります。
3-5.レベル調整

費用の目安 | 1平方メートルあたり5,000円~ |
期間の目安 | 1日~ |
対応できる家の傾き | ・床の傾き |
レベル調整は、床の傾きの修正に向いている工法です。腐食や劣化などによって一部の部屋の床が傾いているときによく用いられます。
床の傾き具合をレーザー水平器で計測し、床の高さの調整材を設置した上に床板を張ることで修正します。
ホームセンターで販売している材料・機材でも作業ができるため、自力で傾きを直したい方にもおすすめです。
工事にかかる費用が他の工法より安く、工事期間が短くて住むのもメリットとして挙げられます。
ただし基礎の下にジャッキを埋めたり薬液を注入したりするわけではないため、家全体の傾きの修正にはあまり向いていません。
地盤の弱さが原因で傾いているときや、家全体が傾いているときは、他の工法を試してみてください。
4.傾いた家を直す方法1:自分で直す

家の傾きが小さいときや、傾いている範囲が限られているときは、自分で直せる場合があります。
ここでは
について解説しているので、気になる項目からチェックしてみてください。
4-1.傾いた家を自分で直すのに向いている人の特徴
傾いた家を自分で直すのに向いている人の特徴は、次の通りです。
- DIYの経験があり、作業や道具の扱いに慣れている
- 「レベル調整」で作業する
- 傾きが小さい
- 家全体が傾いているわけではない
- 一部の部屋の床が傾いている
- 地盤沈下が原因の傾きではない
傾いた家を自分で直すときは、傾き具合を自分で計測したり、丸ノコで木材を切って調整材を作ったりします。
ある程度作業に慣れていないと計測の失敗やケガの原因になるため、傾いた家を自力で直すのはDIYの経験がある方に向いています。
自分で作業をする場合は、入手しやすい材料でできる「レベル調整」で家の傾きを直すのがおすすめです。
家の傾きが大きい・地盤沈下が発生しているといった場合は、家の傾きを直すために基礎の下を掘ったり、特殊な機材を使ったりと、専門的な知識や技術が求められます。
自分には難しそうだと感じたときは、業者に依頼するのもひとつの手段です。
4-2.傾いた家を自分で直すときに必要な道具と費用の目安
傾いた家を自分で直すときに必要な道具と費用の目安は、次の表の通りです。
必要な道具 | 費用の目安 |
筆記用具 | ボールペン:100~150円 紙:100円~ |
水平器 | 1,000~2万円 |
軍手 | 200円~ |
メジャー | 1,000~3,000円 |
墨壺 | 1,000~4,000円 |
レーザー水平器 | 3,000~67,000円 |
さしがね(曲尺) | 500~2,500円 |
ノコギリ | 1,000~2,000円 |
釘 | 300~800円 |
電動ドリル | 4,000~15,000円 |
調整材用の木材(角材) | 500円~/本 |
根太(ねだ)用の木材(角材) | 500円~/本 |
床板用の木材(ベニヤ板) | 1,000円~/枚 |
傾いた家を直す自分で直すには、メジャーや水平器などさまざまな道具が必要です。
工事を始めてから「あれがない!」と作業を中断することがないよう、事前準備をしっかり整えましょう。
工具の価格帯はとても幅広いので、自分が納得できる性能の物を選ぶことが大切です。
角材やベニヤ板の価格は、材質・大きさ・購入数量などによって価格が大きく異なります。
工事が必要な面積や予算を考慮しながら、必要な物を購入してみてください。

4-3.傾いた家を自分で直すときの注意点
傾いた家を自分で直すときの注意点は、次の通りです。
- 安全第一で作業し、ケガに気を付ける
- 被害が大きいことに気付いたときは、作業を一時中断する
- 家の傾きが直っても、時間が経つと再び傾く可能性がある
傾いた家を直す作業は、ノコギリや電動ドリルなどさまざまな機材を使います。作業中は軍手を付けて、安全第一で行動しましょう。
自分では対応できないほど被害が大きいことに気付いたときは、作業を一時中断し、専門業者に依頼することをおすすめします。
また、無事に作業が完了しても、時間が経つと再び家が傾く可能性があります。

「自分で作業するのが難しそう」「せっかく直してもまた傾く可能性があるのは嫌だな」と感じた方は、業者への依頼も検討してみてください。
4-4.傾いた家を自分で直す手順
自分で傾いた家を直すなら、「レベル調整」という方法が向いています。レベル調整で傾いた家を自分で直す手順は次の通りです。
- 部屋の床に「墨付け」をする
- 床の傾き方を調べる
- 床の高さの調整材を作る
- 床を張る
それぞれの作業について、以下の見出しで詳しく解説します。
4-4-1.部屋の床に「墨付け」をする
まずは部屋の床に印をつける「墨付け」という作業を行います。筆記用具とメジャーを用いて、部屋の両端に等間隔に点を付けましょう。

続いて墨壺を使い、先ほど床に付けた点を線で結びます。

墨壺で床に平行な線を書いたら、方向を変えてもう一度同じ作業を行います。筆記用具とメジャーで等間隔に点を付け、墨壺で線を引き、碁盤の目のようになったら「墨付け」の完了です。

線が交差する部分を「○」で印を付けておくと、次の作業をスムーズに進められます。
4-4-2.床の傾き方を調べる

床の傾きを調べる準備として、部屋の形と墨付けした線を書き写した記録用紙を作ります。
記録用紙を作成したら、レーザー水平器とさしがねで床の傾き方を計測します。
レーザー水平器を部屋の隅に設置し、墨付けの線が交差するところにさしがねを当て、1箇所ずつ測るのが基本の流れです。

記録用紙には、それぞれの交差点でレーザー水平器の光が当たった時のさしがねの数値を記録します。
4-4-3.床の高さの調整材を作る
続いて、角材と丸ノコを使って床の高さの調整材を作ります。作成する調整材の数は、墨付けでできた交差点と同数です。
調整材を作るときは、記録用紙に記載したさしがねの数値を参照しましょう。
記録用紙の1番小さい数値を基準に、差を埋めるための調整材を作成します。
例えば1番小さい数値が0だった場合、さしがねの数値が15だった交差点には厚さ15mmの調整材を作ります。
どの交差点にどの調整材を置くのか分からなくなるのを防ぐため、調整材には設置する交差点の数値を記載しておくことをおすすめします。
4-4-4.床を張る
すべての調整材を各交差点に置いたら、その上から根太(ねだ)用の角材を設置し、調整材と角材を釘で固定します。
調整材のすぐ上に床板を置くこともできますが、間に根太を設置することで、床の安定性と強度を向上させられます。
調整材と根太用の角材を固定できたら、上から床板を設置し、釘と電動ドリルで固定して完成です。
5.傾いた家を直す方法2:業者に依頼する

傾いた家を直す方法2つ目は、業者に依頼することです。
ほとんどの業者は特殊な技術や機材を用いて作業をするため、「自分で対処するのが難しい」と判断したときは相談してみると良いでしょう。
ここでは業者への依頼に向いている人の特徴や、依頼費・作業の流れについて解説します。
5-1.業者に傾いた家の修復を依頼するのに向いている人の特徴
以下の項目に当てはまる方は、傾いた家の修復を業者に依頼するのに向いている可能性があります。
- DIYをしたことがない
- 修復に必要な材料・道具を集めるのが大変
- シロアリの駆除の仕方と被害箇所の修復方法が分からない
- 腐敗した箇所を自力で安全に直せるか不安
- 地盤沈下が原因で家が傾いている
- 部屋の床が大きく傾いている
- 家全体が傾いている
- 家の傾きをきれいに直したい
- 自力で家の傾きを直すのが難しいと感じている
傾いた家を直すには、正確で丁寧な作業が必要です。作業に慣れていない人が自力で直そうとすると、想定していたより傾きが改善されないケースがあります。
業者はシロアリ・腐敗・地盤沈下といった原因別に対処するノウハウが蓄積されており、機材も充実しているため、家の傾きをきれいに直したいときはプロにお任せするのがおすすめです。
5-2.業者に傾いた家の修復を依頼するときにかかる費用の目安
業者に傾いた家の修復を依頼するときの費用の目安は、工法によって異なります。工法ごとの費用の目安は、以下の表の通りです。
傾いた家を直す方法 | 費用の目安 |
薬液注入工法 | 200万~600万円 |
土台上げ工法 | 100万~400万円 |
耐圧版工法 | 200万~700万円 |
アンダーピニング工法 | 300万~1,000万円 |
レベル調整 | 1平方メートルあたり5,000円~ |
具体的な金額は、傾きの大きさ・工事が必要な範囲・使用する機材や材料などによって異なります。
事前に見積もりを行って、納得できる金額を提示した業者に工事を依頼しましょう。
駐車場代が請求されることもある
工事に必要な材料や機材を持ってくるため、工事期間中は車が頻繁に出入りします。
家の敷地内で業者の車を駐車するスペースを確保できない場合や、車の台数が多い場合、業者は近所のコインパーキングなどに車を駐車することになります。
コインパーキング代を工事の依頼主に請求することもあるので、留意しておきましょう。
5-3.業者に依頼して傾いた家を直す流れ
業者に依頼して傾いた家を直す流れは、次の通りです。
- 家の傾きについて業者に相談する
- 業者による現地調査を受ける
- 調査報告書と見積書を確認
- 事前打合せ・近所への挨拶
- 工事開始
- 工事完了後の家の状態を確認
それぞれの手順について、詳しく解説します。
5-3-1.家の傾きについて業者に相談する
まずは電話やメールなどで、家の傾きについて業者に相談します。業者に相談すると次のようなことをよく尋ねられるので、返答できるよう情報を整理しておきましょう。
- 地盤の状態
- 家の傾き具合
- 基礎の形・状態
- 困っていること
- ライフスタイル

業者によっては返答内容をもとに向いている工法を提案しているところもあり、自分の家にはどのような工事が必要なのかイメージしやすくなりますよ。
相談は無料で受け付けている業者がほとんどなので、気軽に問い合わせてみてください。
5-3-2.業者による現地調査を受ける
続いて業者と日程を調整し、傾いた家の現地調査を受けます。現地調査でよく確認する項目は、次の通りです。
- 地盤の強さ
- 家の傾き方
- 基礎の形状
- 家の周りの状況
- 家の傷み具合
業者は調査に必要な機材を車に積んで来ることもあるので、事前に車を止められるスペースを確保したり、家の近くの駐車場を紹介したりすると良いでしょう。
悩んでいることや疑問などがあれば、遠慮なく業者の人に尋ねてみてください。
5-3-3.調査報告書と見積書を確認
現地調査を終えると、業者は集めた調査データをもとに調査報告書と見積書を作成します。
地盤や家の状態、家の傾きを修正するのに必要な工事などの説明があるので、よく確認しておきましょう。
家の傾きは住む人の安全や体調にも関わるため、不明点や疑問点がある場合は納得できるまで業者の人と相談してみてください。

5-3-4.事前打合せ・近所への挨拶
作業を依頼する業者が決定したら、事前打合せを行います。事前打合せで話し合う主な内容は、次の通りです。
- 作業をする時間
- 作業をする場所
- 家の中での作業について
傾いた家を直すための作業をしている間は、地面を掘ったり業者の車が出入りしたりと、普段より賑やかになることがよくあります。
近隣住民にも作業の音が聞こえる場合があるため、作業開始前に近所への挨拶をしておきましょう。
近所への挨拶は、業者の担当者も同行するケースがほとんどです。
挨拶のときに「作業音がうるさいと感じたら、弊社までご連絡ください」と一言添えて、家の持ち主と近所の人の関係に配慮している業者もありますよ。
5-3-5.工事開始
事前打合せと近所への挨拶が完了したら、いよいよ工事開始です。ほとんどの場合、工事は日中に行われます。
工事内容は工法によって異なるため、以下の表を参考にしてみてください。
工法 | 工事内容 |
薬液注入工法 | 家が建っている地盤に薬液を直接注入し、固まらせることで、地盤の強度や止水性を高める |
土台上げ工法 | 傾いた家と基礎を切り離し、専用のジャッキで間を支え、ジャッキを入れてできた隙間に「モルタル」という建築材料を流し込んで家の傾きを修復する |
耐圧版工法 | 家の基礎部分の下に耐圧版やジャッキを設置して、家の傾きを修正する |
アンダーピニング工法 | 家の基礎の下を掘ってその下にジャッキを設置し、さらにジャッキの下へ「鋼管」という杭を打ち込む |
レベル調整 | 床の傾き具合を計測し、床の高さの調整材を設置した上に床板を張る |

業者によっては家の中の傾き具合を確認するため、何回か家の中に入って測量を行うことがあります。
工事期間中でも快適に過ごしたり、業者の人が作業したりしやすいよう、家の中を少し片付けておくと良いでしょう。
5-3-6.工事完了後の家の状態を確認
工事が完了したら、業者と一緒に家の状態を確認します。工事した箇所以外でも点検してほしい部分がある場合は、業者に声をかけてみてください。
問題なければ修正箇所をまとめた図面等を受け取り、家の傾きの修復は終了です。
家の傾きを直した後、軋むような音がする場合がある
家の傾きを直した後は、家から軋むような音がする場合があります。
軋むような音がする理由は、家に使われている木の接合部が元の位置に戻ろうとするためです。
数カ月~数年傾いていた家は、木の接合部も家の傾きに合わせてクセが付いています。
長い時間をかけてクセが付いたところを1カ月足らずの工事で直すため、その反動で家から軋むような音がするのです。
木の接合部が元の位置に馴染んだら音もしなくなるので、不安になり過ぎなくて大丈夫です。
5-4.業者に傾いた家の修復を依頼するときの注意点
傾いた家の修復を業者に依頼するときは、業者選びに注意しましょう。
業者のなかには低品質な工事をして、高額な料金を請求するところもあります。
業者選びのときに確認すると良い項目を以下の表にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
詳細 | |
会社の特徴・方針 | ・一級土木施工管理技士の有資格者が在籍している ・一級建築士の有資格者が在籍している ・建設業許可を取得している ・工事の実績が豊富にある ・リフォーム会社や不動産会社と取引している |
工事の内容 | ・挨拶回りなど、近所への配慮を率先して行う ・家の基礎の種類ごとに工事の仕方を使い分けられる ・工事中の仮住まいが不要 ・工事中の安全管理ができている ・工事に関する保証が付いている |
お客様への対応 | ・傾いた家の状態や工事の方針を分かりやすく説明する ・電話・メールへの返信が早い ・見積もりの作成までは無料で行っている ・無理に契約を迫らない |
これらの項目に当てはまらなくても、なんとなく違和感を覚えたり、担当者と合わないと感じた場合は、契約を見送っても構いません。
自分に合う業者を見つけるため、2~3社に現地調査と見積もりを依頼して、じっくり比較・検討したうえで契約する業者を決定しましょう。
現地調査・見積もりには複数人で参加しよう
可能であれば、現地調査・見積もりには複数人で参加することをおすすめします。
複数人で参加することで、自分1人では見つからなかった問題点を見つけやすくなります。
業者の話を直接聞けるので、どのような工事が行われるのか、工事中はどう過ごしたら良いかなど、家族間の情報共有もできるしょう。
工事を依頼する家に住んでいる家族や、近所にいる親戚・友人などに声をかけて、現地調査や見積もりには2人以上で参加してみてください。
6.傾いた家を直す方法3:不動産会社にそのままの状態で売却する

不動産会社のなかには、傾いた家のような訳あり物件の取引を手掛けているところもあります。
将来的に誰も住む予定がないとき等は、不動産会社へ売却するのも良いでしょう。
ここでは、
について解説します。
6-1.不動産会社に傾いた家を売却するのに向いている人の特徴
傾いた家を不動産会社に売却するのに向いている人の特徴は、次の通りです。
- 将来的に人が住む予定がない
- 傾いた家を直す費用を用意するのが難しい
- 家の維持・管理を負担に感じている
- 家が古くなっており住み続けるのが難しそう
- 少しでも早く傾いた家を手放したい
- 引っ越し・老人ホームへの入居などで近いうちに空き家になる
不動産会社のなかには業者と提携したり、独自に修復に対処する機材を揃えたりして、傾いた家をそのままの状態で買い取っているところもあります。

立地の良さや修復後の家の状態によっては高値で取引できる物件もあるので、傾いていても買い取ってもらうことが可能です。
不動産会社によっては、相談から契約・決済までの手続きが最短2週間で完了するところもあります。
売却完了までのスピード感も魅力のひとつなので、早く傾いた家を手放したいときや、誰も住む予定がないときは、ぜひ不動産会社への売却も検討してみてください。
6-2.不動産会社に傾いた家を売却するときにかかる費用の目安
傾いた家の修復を業者に依頼するなら最低でも100万円〜、自分で直しても数十万円の費用がかかるケースがよくあります。
そこで傾いた家をそのまま不動産会社へ売却することで、修復費を節約することが可能です。
ただし売却の手続きを進めるにあたり、印紙税や譲渡所得税といった他の費用が発生することは留意しておきましょう。
不動産会社に傾いた家を売却するときの費用相場は、以下の表の通りです。
費用 | 内容 | 費用相場 |
印紙税 | 売買契約書の作成にかかる税金 | 1,000~1万円 |
譲渡所得税 | 家の売却益にかかる税金 | 譲渡所得×20.315~39.63% |
登録免許税 | 抵当権の抹消にかかる税金 | 不動産の価額×2% |
ちなみに譲渡所得税は、特例を活用することで税金の納付額を減額できる場合があります。
傾いた家を直すために必要な費用と、不動産会社に家を売却する費用を見比べて、負担が軽い方を選ぶのもひとつの方法です。
6-3.不動産会社に傾いた家を売却する流れ
傾いた家を不動産会社にそのまま売却するときは、次のような流れで手続きを進めます。
- 傾いた家の買取に対応している不動産会社を探す
- 現地調査と査定を受ける
- 不動産会社と売買契約を結ぶ
それぞれの項目について、詳しく解説します。
6-3-1.傾いた家の買取に対応している不動産会社を探す
まずは、傾いた家の買取に対応している不動産会社を探します。
傾いた家は「訳あり物件」に該当するケースがあり、通常の不動産会社に依頼すると次のようなことを言われる場面が多いため、あまりおすすめできません。
- 「うちでは買い取れません」
- 「0円で引き取ります」
- 「家の傾きを修復してからでないと取引できません」
- 「傾いた家の修繕費を払ってもらえませんか?」
- 「買取金額から家の傾きの修繕費を差し引きます」
傾いた家の買取に対応している不動産会社であれば、家の傾きを直す方法を知っていたり、業者との繋がりがあったりするため、家が傾いていても買い取ってもらうことが可能です。
傾いた家をそのまま売却するときは、傾いた家の買取に対応している不動産会社を探してみてください。
傾いた家を売却するなら「買取」がおすすめ
傾いた家を売却する方法は、主に「買取」と「仲介」の2種類あります。それぞれの違いは、以下の図の通りです。

傾いた家は、訳あり物件に該当する場合があります。
通常の物件と比べると安全面や快適さに問題があるため、「仲介」だとなかなか購入希望者が見つからない可能性があります。
傾いた家をそのまま売却するときは、「買取」に対応している不動産会社に相談してみてください。
6-3-2.現地調査と査定を受ける
傾いた家の買取に対応している不動産会社を見つけたら、いくらで買い取れるか算出するため、現地調査と査定を受けましょう。
不動産の価格は、さまざまな項目を確認したうえで算出されます。現地調査・査定時によく確認される項目は、次の通りです。
- 築年数
- 面積
- 間取り
- 駅・バス停までの距離
- 日当たりの良さ
- 残置物やゴミの量
- 家の傾き具合
- 過去に家の傾きの修繕が行われたか
- 家の破損・劣化の状態 など
家の傾き方や損傷の具合など、現場を見ないと分からないことも多いので、査定を受けるときは必ず不動産会社の人に現地まで来てもらうようにしましょう。
現地調査・査定は2~3社に依頼しよう
現地調査・査定を受けるときは、2~3社に依頼することをおすすめします。複数の不動産会社に調査と査定を依頼することには、次のようなメリットがあるからです。
- 買取額の相場を把握できる
- サービスの内容・スタッフの対応等を比較し、より自分に合った不動産会社と契約できる
複数の業者に依頼することで買取額の相場を把握できるため、高すぎる・安すぎる査定額を提示した悪徳業者を見つけやすくなります。
サービス内容や対応も会社によって異なるので、比較したうえで契約することで、より納得できる取引ができるでしょう。
不動産会社に1件1件連絡を入れるのは大変なので、SUUMOやHOME4Uなどの不動産一括査定サイトで、一度に複数社へ査定を申し込むのもおすすめです。
6-3-3.不動産会社と売買契約を結ぶ
査定額に納得でき、傾いた家を売却する不動産会社が決定したら、売買契約を結びます。
契約時は身分証明書や住民票などの提出を求められる場合があるため、準備物について担当者に尋ねておきましょう。
不動産の契約では専門用語が登場したり、難しい取り決めが記載された契約書を作成したりするので、分からないことあれば遠慮なく担当者に質問してみてください。
売買契約に必要な手続きをすべて済ませ、代金が振り込まれたら売却完了です。
7.リハコは傾いた家をそのままの状態で買い取っている不動産会社!

傾いた家を「そのまま」売却したいときは、訳あり物件の買取を得意としている「リハコ」にお声がけください。
リハコでは他の不動産会社があまり対応していない、傾いている物件でも積極的に買い取っています。
7-1.傾いた家など訳あり物件の買取が得意
リハコではこれまで、天井の崩落やゴミ屋敷など数多くの訳あり物件を取引してきました。
もちろん家が傾いており、修理に手間と時間がかかる物件も可能な限り買い取っています。

- 住所:茨城県かすみがうら市
- 築年数:40年
- 訳あり:傾き
- 買取価格:180万円
こちらは実際に、傾いている状態でお買取りした物件です。
家を修繕しようにもジャッキアップ工法だと200万〜500万円かかるため、売主様も頭を悩ませていました。
リハコにとっても初めての傾いた家でしたが、そのまま買い取ったあと綺麗にリノベーションができました。

家が傾いている原因がシロアリや腐食であっても、リハコはそのまま買い取ることが可能です。
家具を真っすぐ置くのが難しかったり、立つと違和感があったりする物件でも、リハコではリノベーションを通して新しい入居者や所有者に引き継ぐ体制を整えています。
7-2.傾いた家を修復してから新しい住民に引き継ぐことが可能
リハコでは傾いた家を「レベル調整」という工法で修復してから、新しい住民に引き継いでいます。
買い取った家をそのまま売却するのではなく、若いファミリー層が住みたくなるような、実用的かつおしゃれなリノベーションを行っているのが魅力です。
先ほど紹介した茨城県かすみがうら市の物件では、次のようなリノベーションを行いました。




このような修繕やリノベーションを経て、大切な思い出が詰まった家を、リハコが全力で次の入居者・所有者に引き継ぎます。
「家の傾きさえ直ればまだ人が住めそう」「子どもの頃から長く過ごした家だから、なかなか手放せない」という方も、ぜひリハコにご相談ください。

8.まとめ
今回は、傾いた家を直す方法を5種類紹介しました。記事内で紹介した工法と費用・工事期間の目安は次の表の通りです。
工法 | 費用の目安 | 期間の目安 |
薬液注入工法 | 200万~600万円 | 1~3週間 |
土台上げ工法 | 100万~400万円 | 10日~3週間 |
耐圧版工法 | 200万~700万円 | 10日~5週間 |
アンダーピニング工法 | 300万~1,000万円 | 3週間~2カ月 |
レベル調整 | 1平方メートルあたり5,000円~ | 1日~ |
自分で家の傾きを直すなら、「レベル調整」という工法で作業することをおすすめします。
薬液注入工法・土台上げ工法・耐圧版工法・アンダーピニング工法は、薬液の配合を決めたり基礎の下にジャッキを設置したりと専門的な技術が求められます。
家の傾きが大きいときや、自力で家の傾きを直すのが難しいと感じたときは、業者に工事を依頼しましょう。
しかし業者に工事を依頼すると、ほとんどの場合100万円以上の費用がかかります。
資金面の負担を軽減したい場合は、不動産会社に売却するのもひとつの手段です。
関東圏の訳あり物件や空き家の買取を手掛けている「リハコ」も、傾いた家をそのままの状態で買い取っています。
傾いた家をお持ちの方は、ぜひお気軽にリハコにご相談ください。

同志社大学を卒業後、株式会社光通信に入社し営業職に従事。2019年から不動産賃貸業をはじめ、築古戸建の再生を主とした賃貸業を営む大家さんの一面を持つ。空き家問題をさらに大きな枠組みで解決するために、「空き家を復活させ、街を復活させ、活気あふれる日本をつくる」という理念で株式会社リハコを設立。保有資格は宅地建物取引士と空き家相談士。

リハコが解決します
「0円で処分します」「100万円の処分費用をお支払いいただければ引き取ります」と他社に納得いかない買取査定を受けた方こそ、リハコにご相談ください。
ゴミ屋敷、築50年以上、再建築不可、未登記、隣地越境、市街化調整区域、10年以上空き家、ハクビシン、傾き物件、雨漏り、ツタや草、旗竿地、築古アパート、シロアリ
このような訳ありの空き家でも、 納得のいく価格で売り出すこと ができます。

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